江戸時代の人たちは石を鉄で叩いて火をおこしていたという。その技術、知っていれば現代の世でも便利なんじゃないか。火おこしの練習をしながら町で火の出る石を探してきました。
(安藤昌教)
きっかけは博物館の展示から
そもそものきっかけは先日別件の取材のために訪れた横浜市歴史博物館。事情があって本体の取材は日の目を見ない記事となってしまったのだが、念のためにと立ち寄った体験コーナーがやけにおもしろかった。
床一面に巨大すごろく。
部屋に入ると床一面に江戸時代の双六がしかれており、サイコロを転がして実際にプレイすることが出来るようになっている。気分はやじさんきたさんだ。
そのほかにも隣にある遺跡(博物館の隣は大塚・歳勝土遺跡だ)から出土した土器とか分銅なんかも展示されているのだが、なかでも興味深かったのがこちら。
火打ち石体験コーナーだ。江戸時代の人たちはこれをつかって日常的に火をおこしていたのだという。話に聞いたことはあるがじっさいに見るのは初めてだった。しかもここは体験コーナーというだけあって実際に叩いて火を出しても良いのだ。
石の破片が飛ぶのでメガネをかけましょう。
火おこしの方法
利き手に火打ち金を、反対の手に火打ち石を持つ。石の鋭い角を選んでマッチを擦るように火打ち金を上下に動かし、軽く石に当てると火花がでる。これを火口(ホクチ)とよばれる麻のほぐしたもの等に着火させ、火種とするのだ。
写真で僕の顔がすこし引けているのはびっくりするほど火花が出るから。指導してくれた係の方は「大丈夫、熱くないから」と言っていたが、実際何度か熱かった。その旨伝えると「それは火じゃなくて摩擦熱よ」と言っていた。
実際にやってみると少々コツはいるが、慣れてくるとおもしろいくらいに火花が出る。これは石を削るのではなく逆に鉄が削られることにより着火するのだとか。とういことでここにある火打ち石は石英という硬い石なのだ。
つまり硬い石ならばこの火打ち金で叩くと火が出るということか。ほぼ魔術だ。そのへんの石を叩いて火を出すべく、火打ち金を持って外へ出た。