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ちしきの金曜日
 
でかい船を引っ張る小さい船

 

小さい小さいと思ってたけど、近くで見たらけっこうデカい
洞海マリンシステムズ株式会社の田島さん


これがタグボートだ

 タグボートを間近で見る。デカい船を引っ張っている時は「笑っちゃうくらい小さい!」と思ったが、こうして間近で見ると意外にも大きかった。舞の海や寺尾といった小柄だった力士も、実際に間近で見るとけっこう大きいらしいので、つまり周りの船がデカ過ぎるからすごく小さいように見えていたのだ。(ちなみに寺尾は185cm。全然小さくない。)

 もっとも、今回私が見たのはタグボートの中でもかなり大きいものだそうだ。6000馬力もあるという。6000馬力と言われてもピンと来ないかも知れないが、馬6000匹分と思うと凄さがじわっと来る。これはこのサイズの船にしては異様なパワーなのだそうだ。

 今回案内して頂いたのは、タグボートを所有する洞海マリンシステムズ株式会社の田島さん。さっそく中を案内してもらうべく、船に乗り込んだ。

 田島さんは当たり前のように細い架け橋を歩いていった。が、この橋の細さはどう見たって当たり前じゃないと思う。

 田島さん曰く、乗組員がここを渡っていて落ちたという話はあまり聞いたことがないという。むしろ酔っ払ってその辺を歩いていて海に落ちた話はしょっちゅう耳にするそうだ。緊張感がない場面の方がむしろ危険だということか。

 実際渡ってみたら意外と安定感があり、私でも大丈夫だった。

この細い架け橋から乗り降りする。
不安。。
船の上から見るとこんな感じ。

 

ぶつけてもいい船  

 普通の船はぶつけないように運航するものだが、タグボートは逆で、ぶつけて押すのが基本だそうだ。紐をつけて引っ張るだけでなく、押し付けもする。

 ただし相手の船を傷付けないように、タグボートの前面にはゴムタイヤがぶら下がっている。また、横にもゴムが付いている。

引くだけでなく「押す」ためのタイヤ。
これ、ほんとに「タイヤ」で、ツルツルになったトラックのタイヤなどを利用してるようだった。
サイドからの押し用
引っ張り用のぶっといロープも積んでいる。

 

スクリューが2コ

 操縦方法がまた変わってる。

 タグボートにはスクリューが2コ付いていて、しかもそれぞれが独立して360度向きや出力を変えることができるという。

タグボートの操舵席
 左のレバーを動かすと左側のスクリューの向きを、右のレバーを動かすと右側のスクリューの向きをそれぞれ変えることができる。また下のハンドルを回すと2コのスクリューが同時に向きを変え、普通の船っぽく舵を切ることができる。
顔みたい。
 スクリューが見えるように、ドックで整備しているところの写真も見せてもらった。
【参考】 タグボートのスクリュー

 このスクリューが2コついてることにより、タグボートは真横に水平に移動したりその場で360度回転したりといった普通の船では絶対できないような動きをすることができるのだそうだ。

中に住める

 この船はインド洋とかまで行くことができ、また実際行くことがあるようで、内部には人が住むのに必要な設備が一通り揃っている。


休憩室

洗濯場。奥は風呂。
けっこう広かったトイレ。窓がかっこいい。
炊事場。すごく家っぽい。
船内はこういう急な階段で登り降りする。

 実際、社員のかたの何人かはここにほぼ住んでるそうだ。慣れてしまうと自分んち状態で、これがけっこう居心地がいいんだとか。

 当然、外に飲みに行っても、帰って来るところはタグボート。でも酔ってあの細い橋を渡らなくてはならないかと思うとちょっと心配だ。が、酔ってあそこで落ちる人はなぜかいないらしい。
 それより、警察官に家はどこかと聞かれた時が返答に詰まるという。たしかに
「あれだ。」
と言ってタグボートを指差したら、
「相当酔っ払ってるなこいつ。」
と思われそうだ。


小さくてかっこいい

 タグボートはデカい船の離着岸の手助けをする他にも、座礁した船を救助したり、海底ケーブルを敷設するための下作業など、さまざまな作業を行っているそうだ。知れば知るほどかっこいい船だ。

帆船の陰に隠れ、慎ましげに進むタグボート。

まさに「裏方」って感じで働くタグボート。かっこいいなぁ。

 でかい船をタグボートが引っ張ってる様子は、過去に何枚か撮ってたと思っていたのだが、探してみたらあまりなく、非常に慎ましげに働く様子しか写ってなかった。特に個人的にインパクトがあった豪華客船を引いてる写真は一枚もみつからなかった。悔しい。今度はタグボートを撮るために豪華客船の入出港を狙いたいと思う。

取材協力:洞海マリンシステムズ株式会社


 
 
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