浅草寺で人気者になった忍者
雨だというのに雷門前は観光客でごった返していた。外国人観光客の姿も目立つ。
記念撮影をする観光客のスキを狙って忍者の決めポーズを撮影した。
撮影を開始して1時間以上、安藤さんの忍者ぶりがどんどん板についてきた。どんなポーズを取ってもバシッと決まる。
その証拠に、あっという間に観光客たちの間で人気者になっていた。
外国人観光客に囲まれる忍者を見て、僕と林さんは英語版の成功を確信した。これだけキャッチーなキャラクターである。きっと外国人読者たちの目を引くに違いない。
この素材を生かしたデザインを完成させる。 それが僕に与えられた使命である。
デザイン完成
撮影から戻り、早速デザイン作業に取りかかった。背景色が黒、という指定をもらっていたので、最初から忍者の写真は切り抜きで使用する事に決めていた。だったら、浅草まで行かなくてもいいのでは? そう考えるのが合理的だ。しかし、室内で撮った写真と浅草で撮った写真とでは表情が違ってくると考えたのだ。それは200枚以上にのぼった写真を見ても明らかであった。忍者スタイルになったばかりの安藤さんと、浅草寺での安藤さんは別人である。浅草寺の安藤さんはもはや安藤さんではなく、忍者そのものだ。
そんな安藤忍者のビジュアルを使用して、次のようなデザインを作ってみた。全部で3案だ。
【A案】
素材集の浮世絵をメインビジュアルに採用。サイトロゴは日本海の荒波をイメージしている。全体的に黒背景ではあるが、最新記事部分には白色を敷き可読性を高めた。また、最新記事と過去記事のアイコンとして忍者を使っている。
【B案】
A案のバリエーション違いとして、メインビジュアルに忍者を採用。最新記事と過去記事のアイコンには中トロを使い、読者の食欲を刺激する。また、過去記事の背景にいる忍者は、浮かんだり消えたりすると楽しい。
【C案】
白と赤の2色使いでシンプルな構成を実現。余計な飾りは一切排除して記事に集中出来るように考慮した。ロゴ下に小さく忍者を配置。
あれだけ時間をかけて撮影したのにちっとも忍者の写真が使われていない。きっとそう言われるだろう。僕もそう思う。A案に至ってはメインビジュアルが素材集のイラストだ。
しかし、あれ? これって忍者? という程度の露出の方が忍者っぽいのでは、と思ったのだ。
ちなみに、A案ではアイコンとして、C案では小さなメインビジュアルとして採用した写真は、青が点滅して焦っている忍者を切り抜いて左右反転させたものです。