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はっけんの水曜日
 
ドラゴンボート日本代表チームの練習に参加してみた

漕ぎ方を習ったら練習スタート

ボートに全員が乗船したら岸払い。隣に座った方にパドルの持ち方、水のつかみ方、抜き方などを簡単に教わる。てこの原理すら使わないで漕ぐボートなので、理屈自体は簡単である。

フォームや体の使い方がよくわからないが、細かいことはやりながら覚えていくしかない。私がちゃんと漕げなくてもこれだけ人が乗っていればボートは進むだろう。


こうグーッと力を入れてググーっと漕ぐそうです。すみません、文章でうまく説明できません。 腰の位置は固定したままで。ちょっとどきっとしました。

一通りの漕ぎ方を教えていただいたところで、ボートの先頭に乗る鼓手(練習では近所迷惑になるので太鼓を使わない)から、本日の練習テーマが示される。水を強くかくことを意識するとか、パドルを抜くタイミングをマスターするとか。テーマあってこその練習だ。

私が今乗っているドラゴンボートがレジャーとしてのボートではなく、あくまでスポーツとしてのボートであることを強く意識させられた瞬間だ。


鼓手が持つパドルが竹刀に見えるのは気のせいです。かわいがりとかはありませんでした。

でもとりあえず、私の目標はボートから落ちないことにしておこう。(別に前フリじゃないです。最後まで落ちません。)

しかしいくら体力はないとはいえ、普通の手漕ぎボートだったら釣りのときに何度も漕いでいる。ドラゴンボートでも結構やれるんじゃないかという気も実はしていたりする。

 

ドラゴンボート、やってみたら超楽しい!

最初の練習は、全員が漕ぐのではなくて、隣に座った人とペアになり、片方が漕ぎ、漕がない方は漕いでいる人の漕ぎ方をチェックするというもの。漕ぐ時間は250メートルレースを想定しての一分間ずつ。一セットが終わったら、ボートの中を時計回りに回転してパートナーを変えていく。

常にフォームをチェックしてくれる人がいるので、私のような初心者には嬉しい練習メニューである。こちらからはパートナーにアドバイスが一切できないところが心苦しいが。

やることがわかったところで早速スタート。「イッチ、イッチ、イチニッサン」というイチロニッサンみたいな鼓手のかけ声に合わせてパドルを漕ぐ。


なんだこのへっぴり腰は。

なるほど。やってみるとこれが楽しい。

鼓手のかけ声にタイミングをあわせて、体のなるべく前から深く水に刺したパドルを強く引き寄せる。体の真横でパドルを抜く。パドルが掴んだ水の抵抗が直に感じられる。みんなの力でこの自分が乗っているボートが進んでいるのがはっきりとわかる。

みんなと同じことを同時にやるというのが単純に興奮する。似たような競技であるムカデ競争よりも爽快感があっておもしろい。

メンバーの一人が、「ドラゴンボートは究極の団体競技なんです!」といっていた意味がすぐに理解できた。これは入会して本気でやってみるのもいいかもしれない。

 

でも楽しい分だけ辛い

だがしかし、うわこれたのしー、なんて素直に思ったのは最初だけで、当然すぐに体が痛くなってきた。

普通のボートは二本のオールで体を左右対称に使って漕いでいくが、ドラゴンボートは一本のパドルで片側だけを漕ぐ。これに慣れてうまく体を使うことができれば辛くないらしいのだが、こちらは運動不足の素人。普段絶対に使われることのない、普通のボートで使う筋肉とも違う部分が悲鳴を上げる。


苦しい。それはもう苦しい。


ドラゴンボートを漕ぐ行為、水の上を走る疾走感が楽しいことは間違いないのだが、楽しさと正比例して苦しい。きっと明日は筋肉痛。

酒は飲むほどに楽しくなるが、その分二日酔いが辛くなるのに似ている。

パドルをなるべく水に深く刺して多くの水をかくと、ググッと前に進む感じ、役に立っている感じがして楽しいのだが、その分パドルは重くなる。楽をしようと浅く刺したパドルはスッと軽いが、なんのためにこのボートに乗っているんだと自分を責めたくなる。


楽しそうに釣りをしているファミリーに目がいくが、今はドラゴンボートだ。

それでもようやく少し漕ぐのに慣れたかなと思った頃に、漕ぐ側が左右入れ替わり、また頭と筋肉が混乱する。

※本番のレースでは左右が途中で入れ替わることはありません。慣れていない方でも漕ぐことで、筋肉の使い方を再確認したり、初心者にとってどういうところが難しいのかを理解するための練習だそうです。

結構やれるかなと自分で思っていたが、全然できないのが悔しい。どうにもイメージしているように体が動いてくれない。

そんな悩める私に対して、予想以上にやれている男がいた。もちろん安藤さんである。


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