思いがけない落とし穴
結界は張られた。そして結果を言うと、逃げ出したくなったのは侵入者でもなんでもなく、私自信であった。
罠をしかけた場所が大変に人通りの多い場所だったのだ。侵入者だけでなく、社員の方々が多数通るということをすっかり忘れていた。
そうなのである。同僚、先輩さらに会社の偉い人までが罠にかかってしまったのだ!
「!」とびっくりマークをつけるとなんだかおもしろおかしいが、現場はかなり気まずかった。真面目な話をしながら足早に通り過ぎる人々が次々と罠にかかっていく。
(ひもに引っかかって)「うわっ」
(鳴子の音)ガラガラガラガラー!
(青くなって謝る私)「あっ、すみません、すみません」
侵入者を防ぐどころか、この仕組みを取り付けた私がむしろ円滑なビジネスの敵になっているという状態。これはまずい。 |