随分のっぺりした印象の蔵だ。漆喰で均一に塗られているというのもあるが、上部に窓が無いというのが大きいのだろう。木々や塀によって下部の窓が目に入らないというのも一つの要因か。
ところで、私が何故蔵に惹かれるのか。ここまできてようやくそれが分かってきた。それは安心感だ。「あ、まだ蔵が残っているんだ」というような安心感。古い木造建築を見たときにもそのような感じはあるが、シンプルな造型の蔵はよりシンボリック。古いものの象徴として、見たときに得られる安心感は強い。
樋口一葉も利用した、質屋の蔵
さて、先ほどは文京区といっても豊島区に近い北西部の千石だったが、今度は南東部、千代田区よりに位置する本郷。そこには、5000円札でおなじみの樋口一葉ゆかりの伊勢屋という質屋がある。次の蔵はその伊勢屋の土蔵だ。 |