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ロマンの木曜日
 
明治から続くロケット祭り 朝比奈大龍勢

あわただしくなってきた

祭りの始まる12時が近づくにつれ、のどかな田んぼにできた会場の雰囲気があわただしくなってきた。
祭りのはっぴを着た人同士が、大きな声で言い合いをしている。立ち入り禁止場所の規制に関して口論になっているようだ。
お祭りとはいえ、ロケットを打ち上げるのだから危険がつき物だ。
会場のあちこちにある場所取り済みのスペースの中には、どうやら龍勢を打ち上げる連の人たちのものもあるようだ。
それまで桟敷に座っていたヘルメットをかぶったひとたちが、見学スペースからやぐらの方へ歩いていった。


打ち上げに向かう龍勢連の人たちだろうか
朝比奈大龍勢は県指定の無形文化財なのだ

会場を散歩

発射やぐらを見通せるところに場所をとり、会場を散歩した。
そろそろ見学席に人が集まり始めている。
ほかの見学者はほとんどが親戚家族単位の大所帯だ。
地方から来ている人は人数が少ないのですぐわかる。
気の早い人たちが酒を飲み始めている。
持ち込まれた鍋に火が入り、あちこちからおいしそうな匂いがしてきた。
僕もおなかがすいたので、屋台のある会場の中心の広場へ向かった。


地元の物産が販売されている
なぜか将棋の駒が


祭り開始

12時少し前に場内にアナウンスが響いた。
地元の町長さんらの挨拶ののち、太鼓の演奏、そして大龍勢打ち上げの口上がはじまった。
いよいよ打ち上げのようだ。


龍勢ではない普通の花火が打ちあがる

口上が楽しい

この、打ち上げられる龍勢を作った連の代表による打ち上げ前の口上が楽しい。
独特の節回しで読み上げられて、打ち上げのカウントダウン代わりのような感じだ。
この龍勢連に出資した地元企業などのスポンサーの名前も読み上げられる。
僕も周りの人たちと同じように串焼きとビールで小宴会をしながら、打ち上げを待った。


外で食う肉はうまい


点火

「おおりゅうせい〜」という口上のあと、点火の合図がされた。
シュバババっと火花がやぐらに立てられた龍勢沿いに走った。
その火花が龍勢の先端部分に伝わったところで、龍が空を飛ぶために力を込めるみたいに、グググと龍勢の本体から煙がでる。
今にも飛び立ちそうなのだが、発射の勢いがたまるまで数十秒そのまま煙を吐き続ける。
そして本体の火薬に火がつくのだろうか、空気を切るヒュウーという音と、火花が噴き出す音ともに龍勢は空に向かっていった。

ジュバジュバジュバっと力を蓄え
思いっきり飛んでいく

ほんとに龍だ

思っていたより速い。
本気のロケットだ。
まっすぐ空に向かって飛んでいった後、ぱんと弾けて、いろんな色の光と煙を出しながら、次々に分かれていく。
ゆっくりと落ちながら光が枝分かれしていくのが、ほんとに龍が舞っているみたいに見える。
いや、ほんものの龍は見たことがないけど、きっとこんな感じなんだろう。

落下傘で落ちながら、さらに分裂していく

発射の様子をアップで見ると、龍勢がロケットだということがよくわかる。



 

 
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