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土曜ワイド工場
 
残さず食べようお弁当


弁当持って公園へ行きます。

駅弁や速弁、コンビニ弁当など、外出時に弁当を購入して食べることがありますが、食べ終わったら必ず弁当の容器が残ります。陶器で出来た釜飯の容器やダルマの形をした弁当の容器を子供の頃持ち帰った記憶はありますが、食べ終わった弁当の容器は通常捨ててしまいます。

けれども、もし弁当の容器が食べることが出来るもので出来ていたらどうでしょうか。容器も食べてしまうので食べた後に残るのは弁当に付属していた割り箸や飾りに使われたバランぐらいになるはずです。というわけで、今回は何処かに行って弁当を食べても後にはほとんどゴミを残さない。そんな立つ鳥跡を濁さずな弁当を試作してみたいと思います。

(text by 吉成



「まさかいくらなんでも寿司」弁当。鱒(ま)、鮭(さ)、蟹(か)、いくらが入っています。

事の発端は、とある日の電車での移動

普段私は仕事場へ弁当を作って持って行っています。先日午後から遠方での打ち合わせがあった為、昼食時間を挟んで移動することとなりました。上野駅で駅弁を買って特急電車に乗り込みました。


これが食べられれば・・・

名前はダジャレだが味は真面目に美味しい弁当を食べ終わると当然弁当の容器が残ります。そして、入れられていた袋に空の容器を入れて降り際にゴミ箱へそれを捨てようとした時でした。ゴミを押し込もうとするとゴミ箱が結構いっぱいでゴミが入りづらい。やはりお昼時で同じように弁当を食べた人が多く、ゴミ箱に弁当の空き容器が沢山捨てられていた為ゴミが入りづらかったのです。その状況を見て突如思いました。「弁当の容器も食べられればこんなにゴミが出ないのになあ。」と。 

 

まずは食材の選定

そんな訳で容器も食べることが出来る弁当を試作してみたいと思います。季節は秋。弁当を持って出かけるには最適の季節となりました。晴れた空の下、芝生の上にシートを広げて弁当を食べる。気持ちがいいものです。そんな時に容器も食べられる弁当を持っていけば持ち帰るゴミも少なく済むはず。残さず食べられた空の弁当箱が戻ってくると、美味しく食べてもらえたのだなあと思うもの。それこそ容器まで残さず食べれば更にその気持ちが伝わるかもしれません。そんな気持ちの入る弁当を作ってみましょう。

まずは容器となる食材の選定です。「米を固めて板状にした後に組み合わせる」、「板状に切り分けた根菜を組み合わせる」など色々と案はあったのですが、食べやすさ、容量、作りやすさ、強度などを考えて選んだ食材はこれです。


カボチャ丸ごと1個、ドーン!

 サイズの比較の為に隣に携帯を置いてみました。結構大きさのあるカボチャです。外側が硬く、タネをくり抜くと内部が空洞となり十分な容量があります。特に味付けが無くても味のハッキリとした野菜なのでそのままでも食べることが出来ます。

ちなみに、このカボチャを購入する際、店頭には切り分けられたカボチャしか売っていなかったので店員の方に聞いて奥から出してきてもらいました。仕事帰りに購入したため、スーツ姿で片手に丸ごとの大きなカボチャ。そんな姿で店内を歩いるのはチョッと変わっていたのか、すれ違うオバチャンに二度見されました。 

 

容器を製作しよう!

それではまず弁当の容器を製作していきます。カボチャを上下に切り分け、種を取り除き、加熱して食べられるようにします。


この方向に切ったことはあまり無い。

 まずはカボチャを上下に切り分けます。切るラインを決めて包丁で目印を付けていきます。

刺さった包丁が怖い。

 続いて目印に沿って包丁を入れていきます。カボチャは硬いので切り分けられたものでも切りづらいですが、丸ごとは更に切りづらい。包丁の根元である程度切り込み、その後先端を差し込んでいきます。細心の注意を払って作業を進めます。

真っ二つ!

 格闘すること約5分。上手い具合に上下に切り分けられました。どちらかに実が寄っていると容器の形状にならないかもしれないと心配していましたがそんなこともなく、内部の容量も十分ありそうです。

洗って、干して、煎ればいいおつまみになります。

 次はスプーンで種と綿を取り除きます。ちなみに、取り除いた種は洗って、干して、フライパンで煎れば食べられます。香ばしく、ピーナツともまた違った美味しさがあります。

手前が容器。奥にある上部が弁当のフタになります。

 種を取り除くといい具合に容器の形になってきました。このままでは生なので硬くて食べることは出来ません。これを加熱して食べられるようにします。

ラップで密封。電子レンジへ。

加熱は少し濡らしたものをラップで密封して電子レンジに入れて行います。

今回このようなカボチャを丸ごと一個使った容器を初めて作っているように書いていますが、実は以前にも作ろうとしたことがあります。同じように中身を食べた後に容器も食べられるということで製作にとりかかりました。その際は、味がついていたほうが食べやすいと思い鰹ダシに醤油などを入れて煮ましたが、完全に煮てしまうと強度が保てず持ち上げると崩れてしまったのです。完全に失敗でした。今回はその失敗を踏まえての電子レンジでの加熱です。

加熱完了!カボチャのいい香りがしてきます。

 加熱は下の部分が約10分。上のフタとなる部分が8分ぐらい。数箇所に楊枝を刺してみると反対側まで簡単に通ります。加熱は成功した模様。強度も十分あるようで容器の形を保っています。この時点までは成功です。

実は、最終的に問題点がいくつか出てくるのですがそれは後ほど。


こうして弁当の容器となる部分は製作完了。続いてこれにご飯やオカズを詰めていきます。


オニギリ、オニギリ、ちょいと詰めて弁当製作続けます >
 

 
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