先日、取材で奈良に行ったとき、なんだか気になる餃子屋を見つけた。右の写真はその店の前に立ててあったメニューの看板。あんまり聞いたことのない餃子が並んでいるではないか。
ひき肉と野菜を細かく刻んで混ぜ合わせ、薄い皮で包んで焼いたり茹でたりする料理。辞書で調べると餃子の項にはそう書いてあるが、ここにあるのはどうも違う。
タコ餃子にイカ餃子?これは気になる、入ってみよう。
調べてみると変わった餃子を出す店はいろいろあるようだ。そういうわけでインパクト餃子を食べ歩いてみました。
(小野法師丸)
●構えはあくまで普通なのだが
まず紹介するのは、今回の記事のきっかけとなった、奈良市にある餃子屋さん「餃子専門店 貘貘(ばくばく)」だ。
大きな通りから一本入った路地にあるこのお店。店名の響きも元気がよく、それだけで活気を感じるのだが、並べている餃子たちが先ほどの写真の通りどうにも気になる。これは入ってみるしかないだろう。
餃子の種類はかなりいろいろあって迷う。ご飯の上に卵でとじた餃子を乗せたというどんぶり物もあり、選択肢が既成の餃子観を超えた充実ぶりだ。
うーん、どれにしよう。定番的な普通の餃子も頼みつつ、今回は海産物系を攻めることとした。
やってきたのはまずエビ餃子。エビ餃子、という名前だけ言えばそれほど珍しくはないかもしれない。
ただ、一般的なそれは中の具に細かく刻んだものが入っているものだと思うが、ここの場合は見た目から思いっきり素材がわかる。まるごと入っていて、しっぽが飛び出しているのだ。味の方は想像通り、手堅くおいしい。
もう一つはタコ餃子。こちらもビジュアルでわかるようになっているのが印象的だ。
吸盤がはっきりわかるタコ餃子。エビと同じく、見た目でわかりやすいのはこのお店の餃子の特徴と言えるかもしれない。
視覚の不思議感が消えないままに食べてみる。…餃子とタコ焼きを行ったり来たりするといった感じの食べ心地。脳が2つの食べ物を判別しかねている。
わかりやすさが特徴の餃子たち、もう一つ頼んだイカ餃子はさらにこれでもかとわかりやすい。
いや、イカということはわかりやすいが、逆に餃子ということはわかりにくくなっているかもしれない。だってこれ、普通に見たらイカでしかないだろう。
かじってみると、確かに餃子だ。ヤリイカの中に餃子の餡を詰めて焼いたものなのだ。
これまでの餃子は変わった具を中に入れてきたわけだが、これの場合は皮がイカ。逆の発想でアレンジが効いているわけだ。きみは確かに餃子だ、疑ってすまなかった。
おいしくて楽しかったインパクト餃子たち。奈良以外にもきっとあるであろう、変わった餃子を出す店を探してみた。