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ひらめきの月曜日
 
ごはんで日本庭園が作れないか

とりあえず更地を作ろう

ごはんを平らにする。ただそれだけのことが、こんなに大変な作業だとは思わなかった。

庭園造りは、たとえニセ物であっても根気の要る作業なのである。なにごとも経験ですね。


シャモジに水を付けて、
とにかく凹凸のないように頑張った。

ごはんの盛りつけは「ふっくらと粒が潰れないように」というのが基本ではあるが、今回はそんなことを言ってられる状況じゃない。当然無視を決め込んだ。

どんなに米粒がペッタリ潰れようと、表面が均一にさえなってくれればそれでいい。


更地が出来たら、あとはフォークで模様を付けよう。

苦心の末に出来たごはんに、うずまきを描くところまでなんとか辿り着いた。

しかし「ここまで来たらあとは楽勝だな」と鼻歌交じりでごはんにフォークで模様を付け始めた途端、その鼻歌は絶叫へと変わった。


ああっ! せっかくの平らなごはんが滅茶苦茶に!

なんといいますか、日本庭園を造ろうってのに、洋風の器具に頼った私が間違ってたのかもしれません。

やっぱりここは、地道に箸を使うべきでした。


これでなんとかしてやろう。
お、イケるんじゃないか?
なんとかここまで形になった。
で、柱(ちくわ)を置いてみた。

…いったい、これのどこが庭だというのか。

 

何ごともなかったかのように次へ

人間、いつまでも過ぎたことにこだわってはいけない。そういえば、枯山水以外の庭もステキでしたよねぇ。さっそく似たようなものを作ってみましょう。


白米と玄米の市松模様。
うん。なかなかイイじゃないか。

「あらステキだこと」とは思うが、どうにも簡単すぎて拍子抜けしてしまう。そして、思いは再び枯山水へと向かうのであった。

 

リベンジだ

どうしても枯山水の再現を諦めきれない自分がいる。なんとかしてもう一度、あの庭を造ってみたい。無謀だろうと再びチャレンジしてみたい。

目標は大きく。それこそが人間を成長させてくれるキーワードであり、無茶を承知で挑むことも時には必要なのだ。気を大きく持ちすぎて書くことまで大きくなっているが、これくらいでちょうどいい。

今度は皿じゃなく、ちゃんとした容器を使おう。スケールも多少は大きくしよう。そしたらきっと、さっきより日本庭園っぽく見えてくれるんじゃなかろうか。


今回のために、わざわざお重を買ってきました。ごはんを平らにするのはもう慣れたもんです。
さっきより、うずまきも増えてます。

どうでしょう。ちょっとは「庭っぽい」とお思いになりませんか。人間、ときには思い込みも必要ですよ。

さらに庭っぽさを強調するために、岩を置いてみた。


「鶏の唐揚げ」という名の岩。

誰になんといわれようと、もう私には日本庭園にしか見えない。私だけの小さな庭。私だけの小宇宙。

これが箱庭療法なら、どんな診断が下されてしまうのか恐ろしいが、ごはん&唐揚げという最強のタッグを前にして、他人に四の五の言われたくはない。

最後に緑(ブロッコリー)を配置して、ついに枯山水風日本庭園は完成した。


このまま飾って置きたいくらいだ。

いやあ、満足です。造った本人が満足してるんだからいいじゃないですか。ダメですか。

作って楽しみ、見て和み、鑑賞し終えたら食べられるという三拍子揃った庭なんて、世の中にそうはないぞ。

野菜ジュースのカレーをかけて、おいしく食べた。


これがホントのカレー山水。

えー、おそまつさまでした。

庭園の別の楽しみ方

花が咲いてるわけでもなく、水が流れているわけでもない庭を見て「なんてステキなんだろう」と思うことが若い頃よりも増えてきた。こういうことを指して「枯れてきた」というのならば、喜んで受け入れたい。

そういえば実家の庭にも父の趣味で巨大な岩がデデーンと置かれていて、子どもだった私は「どこがいいんだか」と冷ややかな目で見ていたが、今ではその気持ちがよく分かる。

岩を買う財力も置く場所もない私には「マネごと」しか出来ないが、思った以上に楽しめました。ま、「造ったそばから食べられる」ってところが一番楽しかったんですが。

玉ネギ枯山水っていう手もあったな。

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