●視覚を騙して脚長感をかもし出せ
先ほどのズボン製作に当たって、「脚を長く見せるに当たって、ズボンの股上というのはかなり重要な要素だろう」と書いた。そのこと自体は確かにそうだと思う。
ただ、「股上が深いと脚長に見える」ということの真偽になると疑わしい。先ほどの例でも残念ながら実証できてない。
さらに、脚長目的での股上拡張ズボンの話を何人かにしたところ、「逆に、股上が浅い方が脚長に見えるんじゃないの?」と言う人もいた。そうなのか?
どうなんだろうと思ってファッション関係のページなどをいろいろ調べてみる。うーん、「股上が深いと脚長に見える」という話も「股上が浅いと脚長に見える」という話も両方あるではないか。
ネット上に混在する2つの説。1つは試してうまくいかなかったのだが、今度は逆にしてみよう。ちょうど先日、服の整理をして処分しようと置いてあったズボンがあるのだ。
先ほどの反対、つまりは「ものすごくローライズなズボン」というわけだ。作るのは簡単、股のつながり部分をぎりぎり残して、股上を切り取ってしまえばいい。
目印の線を描き、ハサミでジョキジョキと切る。古いズボンよ、別の目的をもったズボンとして再生するがいい。
切れっ端感も漂わせる脚長ズボン2号。股のところが一応つながっていることで、なんとかズボンとして留まっているという感じだろうか。
さあ、どうなんだろう。ズボンを着る前に普通に履いた写真と並べて比べてみよう。
なんか微妙だ。結果の現われ方そのものがよくわからないという、実験した意味を否定する一番よくないパターンだ。
印象としては、「普通にズボンを履いてシャツを出している」という感じに見える。それではズボンを改造した意味がない。さらには脚長化した写真の方が短足に見える気がする。
股上を深くしても浅くしても効果が見られない。ならば違う角度から工夫を加えればいいのだろうか。
そこで思いついたのが、目の錯覚を利用する方法だ。まずはズボンに直線を描くように白いテープを貼っていく。
左右両方に同じ長さでテープを貼る。ここで思い出してほしいのが、大抵の人は子供の頃に何かの本で見たことがあるであろう、同じ長さの線の長短が違って見える目の錯覚だ。
線の両端に向きが違う矢印をつけることで、同じ長さの線が違って見えるという錯覚。確かに上の写真でも、線の長さはしっかり違って見えると思う。
ではまずテストとして、この状態で履いてみよう。
どうだろうか。確信するまではいかないのだが、向かって左の脚の方がなんとなく長く見える気がしないだろうか。
もしかするとこれはうまくいっているかもしれない。向かって右側の脚の矢印の向きを変え、脚長ズボン3号として履いてみようではないか。
あれー? なんか、別に脚長になんか見えない気がする。
さっきの実験タイプのときに錯覚で長く見えていたことが錯覚だったかのように、ノーマル状態のズボンと比べてみても別に脚が長くなんか見えない。変な線の入ったズボンを履いている人、というだけだ。
おかしい。頼むからなんとか騙されてくれよ、視覚。
また別のやり方でいかないとダメだろうか。脚を長く見せることにこんなにもムキになっている自分がいる。