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フェティッシュの火曜日
 
メカを味わう〜工作機械の展示会

まさにメカ!って感じのメカ。

 機械を見るのは楽しいけれども、平凡な人間である僕は、どうしても雑念が湧いてしまう。いわゆる「僕たちの生活は、こんな機械に支えられているんだね」という、社会見学的な感想でる。そんな深読みした見方をしないで、もっと料理を味わうように、絵を鑑賞するようにメカを味わえないだろうか。メカをメカとして、向き合いたいのだ。

 そこで考えた。自分の生活に全然かすらない機械を見ればいいのだ。自分との接点を見いだせない機械を。そのチャンスをうかがっていたところ、工作機械の展示会というイベントを発見。これはわけがわからなさそうだ。そもそも工作機械って何なのかもよくわからない。メカを楽しむチャンスだ!

(text by 石川 大樹



入るとすぐに会場なので受付は屋外

工作機械の展示会

 今回訪れたイベントは、工作機械の展示会「JIMTOF2000」だ。このイベント、とにかくでかい。会場のビッグサイトには10個のホールがあって、普通の展示会では1つか2つのホールを使うことが多いのだけれども、今日は全ホール大解放で全部工作機械だ。

 そしてそんな会場の中にあるのは、大量の、僕の日常とは全く縁のない機械。なんか工場とかで使う機械らしいよ、ということ以外、事前知識はゼロだ。100%憶測で言うと、全自動ですごいスピードでねじ穴を開ける機械とか、すごい力で固い金属をぐにゃりと曲げたりする機械がたくさんあるに違いない。いろんな工作機械を見るぞ!完全に動物園感覚で会場にやってきた。


あまりに会場が広いのでシャトルバスが出ていて、パンフレットには巡回プランまで用意されている

ガイドブックもこの厚み。置いてあるのは10円玉です。

 

蓋を開けてみれば

 いろんな機械を見るぞ!と意気込んでやってきたこの展示会だが、蓋を開けてみると、時代は僕が考えるより遙かに進んでいた。工作機械のブースで目に入ってきたのは、ずらりと並んだ「マシニングセンタ」という機械。実はこれ、ほとんど万能みたいな工作機械で、金属パーツの成型も、ねじ穴開けも、ほとんどの作業をひとりでこなしてしまう。いろんな機械どころか、時代は一台完結なのだ。


土台とアームが同時に動きながら削り出していく

 このマシニングセンタの心臓部は、ドリルのついたロボットアーム。このアームが、思いのほかしなやかな動きでグイグイ動きながら、材料の金属をどんどん加工していく。しかもアームと同時に、素材の金属を支える方の台もグイグイ動く。

 この動きは5軸制御という仕組みだそうで、アームと土台が両方動くことで、5方向の制御(上下、左右、前後と、傾き、回転)を実現している。そしてこの5軸制御が工作機械業界のトレンドのようだ。

 


アームの見た目は各社そんなに変わらない印象

黄色いのも


一番ギュンギュン動いていたアームを動画で
 この5軸制御、ロボットのぎこちない動きを想像していると、予想外の身のこなしを見せてくれて驚く。突然ぐいっと首をひねったり、ブーンと大きくスイングしてみたり。その予想のつかない動作は、まるでフラミンゴでも見ているみたいだ。動物園感覚でやってきた展示会で、ほんとに動物みたいなものを見た。

 そしてひとつひとつの動きは、思いのほかしなやかで、ロボット臭さは感じさせない。細かい作業は動きがゆっくり慎重になるあたりなどは、妙な人間くささすら感じてしまう。

 


上のアームはデモ用。実際はこんな部屋の中で動いています

 

 

ドリル12連装。ロシアンルーレットしたい!(嘘!)

ドリル選び放題

 マシニングセンタのすごさはそれだけではない。マガジンと呼ばれる、大量のドリルを格納する場所があり、ロボットアームは勝手にドリルを持ち替えて、素材を削ったり、穴を開けたりといろいろな作業をするのだ。賢い!

 当日はデモ運転のため持ち替える様子は見られなかったのだけど、たくさんのドリルがスタンバイされているところはそれだけで迫力があった。

 


このチェーンソーの刃みたいな部分も

実はひとつひとつがドリルのホルダーだったのです


極めつけ。この箱の中に何十本ものドリルが

ずらり並んでと刃をぎらつかせている

 

 

 
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