冬になるとなんとなく生きづらさを感じるのは、木の葉がばんばん散って寂しいとか、賑やかな年末行事が厭世感を駆り立てるとか、そういうメンタルな事情もあるが、端的に言って「寒い」という理由がウェイトを占めると思う。
特に僕は冷え性なので、寒さにとても敏感だ。真冬になると足先が恒温動物たる人間とは思えないほど冷え切ってしまうのだ。あの苦しみは筆舌に尽くしがたい。
本格的な冬がやってくる前に、いかにすれば足先の温度を保つことができるかを調べてみることにした。
(text by 藤原 浩一)
外気=足先
本日は、主にさまざまな靴下のバリエーションを試してみることによって、足先の温度がいかに保たれるかを検証したいと思う。
早速近所の公園にやってきたわけだが、こうやってビニールシートを敷いている時点で足先はすでに冷え切っている。表面温度を計ることのできる赤外線温度計を借りることができたので、計ってみた。
足の温度は17度
およそ17度。この日の最高気温が18度くらいだったので、僕の足先は外気と同じになっていると言える。足の毛細血管に欠陥があるとしか思えない。
ちなみにまだ温かい顔面の表面温度は30度くらい、発熱しない物体である携帯電話の温度は16度であった。
携帯電話16度
足先と外気がほぼ同じということは経験的に知っていたが、こうやって数値として現われてしまうと怖いものがある。気温が5度くらいに下がったら「あ、今おれの足、5度なのかな」とか思ってしまいそうだ。
ただ、そのくらいの気温になるとで足先は紫色になっていたり、しもやけになっていたりする場合が多いので、そこまで温度のことを考える余裕はないかもしれない(例年の傾向)。要するに地獄である。
ひどい冷たさ
ソックスの保温効果
さて、まずはじめにいつも履いているソックスの保温力がいかほどなものか調べてみたい。
今回の実験では、お湯に足を浸けて30度くらいに温まった後、10分間でその温度をどのくらい保つことができるかを調べたいと思う。
容器の中で熱湯と水を混ぜて、足湯に適した温度にする。比較するために右足だけを温めることにする。
足先が30度くらいになるよう温める
ところで、なぜ「お湯に浸けたあとの保温力」を調べるのだろう。
ご存じだろうか。筋金入りの冷え性の人が、冷えたままの足を温まっていない布団の中に突っ込んでも、一向に温まることはないことを。
冬場の髪の毛が冷たいのと同じだと思ってほしい。はじめに熱を持たせないと冷え性の足は温かいままでいてくれないのである。冷え性の足は無益なヒートシンクと化している。
一度、お湯で温めておくのは、そもそも足が発熱することを期待していないからである。
ソックスを履く
温めてから10分経過した右足の温度は20度から21度くらい。
温めていない左足の温度が18度だったので、2度か3度は高いものの、感じとしては、右足もこの後もう10分でも放置すれば元の温度まで下がってしまうだろう。
やはり冷え性はこのソックスで冬を越すことはできなそうだ。普通にしていては30度に温めても10分後は21度になる。これを基準にあれこれ手を尽くしてみることにする。
温めた右足は21度くらい
冷えた足 VS レッグウォーマー
先ほどのソックスの丈が短いことは見て明らかだ。足首の部分がまるだしになっていて、見るからに寒そうである。
そんな弱点を補ってくれそうなのが、このレッグウォーマー。レッドウォーリアーみたいな名前でかっこいいと思うが、はたして効果はいかがなものか。
手触りはあたたかいが…
先ほどと同様にして足をお湯に浸けた後、すぐさま冷やさないようにソックスとレッグウォーマーを装着する。そして待つこと10分。
家を出た時は、わりと過ごしやすい気候に思われたが、やはりじっとしていると肌寒い。というか、かなり寒い。できるだけ寒い方が実験がしやすいと考えて3時過ぎ頃に撮影を始めたことを悔やんだ。
足は10分後には21度になってしまう
10分後の足先の温度は21度。先ほどのソックスだけの時と変化なしである。僕の冷えた足とレッグウォーマーの戦いは、冷えた足に軍配が上がった。
例年の知恵、重ね履き
冷え性の僕にとってレッグウォーマーはただの飾りだということが発覚した。だが、例年僕自身どのようにこの冷えと戦ってきたかというと、レッグウォーマーなんかではなく、ソックスの重ね履きに他ならない。
ちょっとでも足の温かさを逃すまい。その思いが僕にソックスを重ねさせる。
ソックスと何か変なのを重ねて履く
冬用のソックスが毛玉だらけだったのでこんなのしか用意できなかった。が、重ねておけば問題ないだろう。
さて10分後の温度はいかに。
イケているかと思ったら22度
22度。さっきと比べて少し暖かい感じはしたものの、実際はそこまで変化ない。
履いた時は「お、これは」と思うのだが、じっとしているとやっぱり足先が冷えてきて、お湯のありがたみも徐々に失われて来るのがはっきりとわかる。
冷え性に成す術はないのか。まだ諦めるのは早い。こんどは少し趣向を変えてみよう。