コクがすごい
一発目ということもあり、積雪量自体は少なかったものの「ああ、雪が降ったんだな」と分かるものが出来た。
さしずめ「初雪」と名付けたくなるような一杯である。
具のカブが白いのがまずかったか。なんだか脂がアクのように見えて、正直あまりキレイではない。
でも全体をかき混ぜたところ、沈んでいた味噌が浮いてきてくれてアクのようだった背脂が急にイキイキと存在を主張し始めた。
肝心の味だが、これがすごかった。とにかくコクが出まくった。そして脂のやさしい甘さといったら!
「肉っけゼロなのに、肉の気配をビリビリ感じる味噌汁」といえば伝わるだろうか。肉のエッセンスを「これでもか!」と感じられる一品と言える。これはあれだ、バラ肉をふんだんに使った豚汁と同じような味だ。
もうこれだけで十分すぎるほどに満足だが、さらに日常に背脂チャッチャを取り入れるべく、次なるメニューへと進むことにしよう。
蕎麦はどうだ
次もわりとあっさり目な物を用意した。
さっきよりも大量に背脂という名の雪を降らせたいところだが、いかんせんおたまが小さすぎる。ついでに言うと穴も小さい。いっそ、湯豆腐のときに使う目の粗い網でも買ってくるべきだったか。
そう思いながら、チャッチャし続けた。
どうだろう。二度目ということもあり、さっきより降らせ方が上手になっているような気がする。そして、色のバランスの素晴らしさよ。
まるで「芝生の上に雪がうっすら積もったよ」と言いたくなるような出来映えではないか。なんとも美しい。
知らずに見せたら「とろろ蕎麦?」と言われそうであるが、もちろん乗っているのは背脂だ。どうだ。
味はといえば、昆布と鰹の和風ダシなのにコクが出まくっていた。醤油味のせいか、蕎麦なのになぜかラーメンを連想してしまう。
喉をツルツルと蕎麦が通っていく。うまい。つくづくうまい。
固形物はどうだ
たぶん汁物は、どれもスープにコクが出ておいしくなってしまう気がする。まだ2品しか試してないが、そういう手応えを感じてしまった。となれば、これ以上続ける意味があるだろうか。
次は違う種類の食べ物へのチャッチャにチャレンジしてみたい。たとえばコレなんてどうだろう。
言葉がない。「好きな物が2つも揃ってしまってどうしよう」と、うろたえるような物が出来てしまった。
勝つのは黄身のコッテリか、それとも背脂のコッテリがそれを組み伏せるのか。…ああ、食べる前からワクワクしてしょうがない。
これがマズかろうはずがあろうか。フワフワな状態の背脂とトロリとした黄身が一つ皿の上で出会ってしまったのだ。そして仲を取り持つのが醤油と来た日にゃアナタ。
これはえらいことですよ。とんでもないことですよ。
冷静になって考えてみたら当たり前だ。これは背脂チャッチャ系ラーメンの上に乗った味付け玉子と同等のおいしさだ。
ああ、猛烈にごはんが食べたい。…あ、じゃあ次はごはんなんてどうでしょう。