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フェティッシュの火曜日
 
ボロ市でボロを買えなかった
ボロ市は12月と1月の二回開催

12月と1月の世田谷にはボロ市がある。古着や農耕具を売買する市だったが今では色んなものが売られて賑わいを見せている。

取材に行くのだが行かないか?と世田谷ご近所ライターの高瀬さんに誘われた。ちょうど時代劇の撮影で使う着物を買いに行こうと思ってたのでついてった。

(text by 大北 栄人




古着がどしゃーっと

農村世田谷のビッグイベントボロ市

世田谷区といえば今では23区内最高に家ばっかりある区だが(86万人います)、戦前までだだっ広い農村だった。400年くらい前の徳川でなく北条氏の時代に楽市が始まり、農家の人が必要なもの、古着や農耕具をメインにした市になってったのがボロ市。

世田谷といえばボロ市。鼻息を荒くして、ボロ市に行くんだ、と言ってた小学生集団が世田谷線からピューッと駆け下りていってたくらいのビッグイベントである。いわば世田谷のポケモンセンターみたいなものだろう。そしてすいません、ポケモンセンターをよく知りません。


一日20万人。朝9時からやってるのだが午後5時でもまだまだ人がいる。

〜ボロ市の売り物いろいろ〜

ボロ市のウリは扱うジャンルの豊富さにあるのだと思う。気になったものを少しばかり並べます。


ボロ市っぽいもの今と昔

かつてボロ市の名物はボロを編みこんだワラジだった。丈夫だ!と評判を呼び、飛ぶように売れて、正月前の農家の貴重な現金収入となったそうだ。しかし今や昔。ワラジを履かないので売ってない。じゃあ何が売ってんのか、という話だがそれはほんとに色んなものが売っている。

とはいっても古着や農耕具などの昔のボロ市っぽいものも売っている。そして何でも売るのも今のボロ市ならではだ。今と昔が入り混じってるところにボロ市のよさがあると思う。

←こっち側昔のボロ市っぽさ こっち側今のボロ市っぽさ→


砥石なんかは昔のボロ市っぽい
骨董品は今のボロ市っぽさだろう。象牙でできたイセエビという豪華すぎるものも受け入れる今のボロ市の雑多性

宮大工の方が作った神棚。昔の大きな家には必要だったもの。
「3倍〜5倍伸びる」という謎のコピーがついたカットソーもヒットする今のボロ市

ウスと杵も昔からあるっぽい。でも一体どうやって持って帰るんだろう?
ガス湯沸かし器。なんでも売るなあ、今のボロ市。

こんな洗剤まで!?と思ったが、昔からこんな日用品が売られてきたのだろう
屋根工事。くるとこまできてるぞ。

花瓶。「助かるわ…」というおばあちゃんの台詞に死期を感じてしまうのはなぜだろうか。
今の哀しさ代表はサンタ姿で吹かれるオカリナ!子どもが一人、聞き惚れていた旋律の哀愁といったらもう衝撃的!

お上、という存在も昔っぽい(むりやりですが)。あ、「スリが出る」というのは昔っぽいですね。
今は手術費用の募金を男の子がスカート姿で集めていて本気なのかどうか疑わしくなる複雑な時代です。

〜食べる高瀬〜

ライター高瀬さんの目的はボロ市の取材だった。この人は普段食べ物に関する記事をよく書いていてボロ市取材なんてめずらしいなと思ったら、やっぱりよく食べていた。ボロ市もボロ市でまた物産展やら食べ物がけっこうあるのだ。この脇のあまさもボロ市だ。


一軒目でカニを買う高瀬さん。この後ずっとカニを携えて。

ボロ市だけども食べる

会場に着く前にも屋台はちらほら出ていた。本日一軒目の屋台には足の長いカニが並べられていた。一杯1500円のところ1000円にしてソース(自家製のものを売られていた)もつけるという。威勢良くまけてくれるのは祭り気分を盛り上げてくれる。

しかし一軒目であんなに大きいカニを買ったらこの後ずっとカニをぶらさげていかないといけない。よし、パスだ。

心の中でそんな答えを出してすっきりした自分をあざ笑うかのように高瀬さんは買っていた。むむむ、早い。さすがだ。まだ会場着いてないのに。


これも会場外の肉まん屋。ボロ市に行く前におなかを満たしてしまうのか。さすがだ。
こういうパカッとした写真を集めたかったのか、でもまあ寒空の下食べる肉まんはうまい。

大好物だというおやき
こちらは豚汁
なんだこれ、玉こんにゃくか
甘酒も寒いときがうまい
黒部ダム名物鴨みそ?
買った!

名物の代官餅は午後5時時点で売り切れ。残念。

名物の代官餅、売り切れ

代官屋敷前で行なわれているボロ市の名物、代官餅。つきたてのお餅がおいしい、と評判らしいが売り切れていて残念。

食べて食べて突き進んだ高瀬さんが大ボスである代官餅を食べられなかった。この件があったから記事にするのをあきらめたのかもしれない。わたしゃやっぱり書かないことにした、と託された取材写真データの中の食べ物の多さを見てそう思った。

しかしそんな高瀬さんが代わりに書いた記事がパンを油で揚げるものだった。(昨日掲載の記事『逆転の発想からのフライ』)食べ物が好きすぎるだろう!とひっくり返りそうになった。

 

 
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