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ちしきの金曜日
 
浮かれ電飾を鑑賞する:名古屋編

今年もこの季節がやってきた。「浮かれ電飾」の季節だ。今回は浮かれレポートとしては初上陸、名古屋からお届けします。太閤ゆかりの地はさぞかしその浮かれっぷりも天下統一級かと。

大山 顕



■名古屋浮かれ情報、なし

気がつけば2004年から数えて5年目のこの「浮かれ電飾鑑賞」。定点観測でその年ごとの傾向を追うのも面白いと思いつつ、毎年いろいろな場所へ出かけていって鑑賞させていただいている【→2004年、→2005年、→2006年、→2007年】

今年は、結婚式など人生の要所要所におけるその浮かれっぷりに定評のある名古屋に取材に行ってみた。名古屋といえばわれわれデイリーポータルZライターにとってはかねてより懸案の都市。これまでもその謎に包まれた文化形態にせまるべく、多くの取材を試みてきた

かように期待の高まる名古屋浮かれ電飾事情だが、困ったことに世の中には浮かれ電飾情報があまりないのだ。名古屋のどこに充実した浮かれ電飾地帯があるのか。観光ガイドには駅前の電飾ばかりが載っている。ええい、そういうのはいいんだよ。一般家庭を載せたまえ。

 

■長年のカンで探す


ここらへんがにおうぜ

こうなったら、カンだ。取材時間はあまりない。名古屋中心部からそう遠くない場所を選びたい。地図をじっと見つめていると、なんとなく浮かび上がってきたのは、一宮。理由はない。ぼくの魂がささやいたのだ。そんな魂はいやだ。

はたして浮かれ電飾はあるのか。

 

■結論から言うと、たしかにあった。が、しかし。


和風な佇まいに抑制のきいた浮かれ。きらいじゃないぜ。

ほどよい規模の浮かれ。住宅の雰囲気にも合っている。

もはやこれぐらいは「浮かれ」とは言わないんじゃないかと思ったり

たしかにあった。浮かれていた。

しかし、物足りない。いや、浮かれ電飾相手に物足りないも何もありゃしないと思うのだが、この期待を裏切るこぢんまりさはどうだ。こんなものか、名古屋。

なんの情報もなくふらりと訪れたわりにはちゃんとあった点はぼくのカンを評価していただきたいところだ(誰に?)。しかし例年訪れていた場所に比べると、その浮かれっぷりはごく常識的だ。自制心が感じられる、というか。ぼくが勝手に描いていた名古屋像とは異なる。

そして、もうひとつ重要なのは、「浮かれ電飾地帯」がない、ということだ。たいていの場合一軒がはじめると隣近所がこぞって競い合い、結果的に、一体が地域ぐるみで浮かれるといった事態が生まれるのだが、ここではそういったご近所づきあいが見られない。これはどういうことか。

 

■浮かれ名古屋スタイル仮説


いよいよ派手な浮かれっぷりだが、実は

上のものなどはかなりの浮かれっぷりではあるが、実は表を向いていない。どういうことかというと、道に面していない側で思う存分浮かれているのだ。おかげで写真は遠くの駐車場から身を乗り出して撮らなければならなかった。

下のものも同様。スタイルとしては昨年最後にご紹介した、日本庭園風でありながら浮かれ電飾、というケースだが、これも面しているのは裏。道路側は浮かれていない。


出た!昨年衝撃を与えた浮かれ和洋折衷のケース。だが。

もちろん、住宅の向きそれ自体が道路面に対する浮かれアピールを不可能にしている、という側面も否定できないが、それにしても「裏手浮かれ」が多い。いままで見てきた浮かれ電飾地帯では「裏手でしかできないのならやらない」あるいは「表面でできる範囲にとどめる」という意志がうかがえた。きがする。たぶん。

名古屋では決して「表に大きくアピール」がポイントではない、というのはそれがほんとうだとしたら面白い発見だった。


おお、これはかなりこなれた浮かれ電飾プレイ。しかし、これも道の裏手だった。

こちらも畑に面している。道路側はスルー。農作物に向けての感謝が浮かれ電飾か。

柵で囲われた内側にツリー。そこまで表に見せたくないのか。

そしてもうひとつ、「よそはよそ、うちはうち」という仮説だ。


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