●おんなの駅で見つけた、ずっと探してたもの

　看板に導かれてやってきた「おんなの駅」。名前こそ一昔前の演歌の曲名のようではあるが、その実体は村の農水産物などを売っている、道の駅のような施設だ。

　うん、こういう施設、実は好き。こういうところで売ってる野菜や果物って、安くて新鮮でおいしいんだよね。

　…いや、そうじゃないだろう。ここは「おんなの駅」なんだ。素早く現実に目覚めるんじゃなくて、思春期の自分と対峙するんだ。ただ、それにしてもいいにおいが……。

　おお、おいしそうなにおいの源は、サーターアンダギーの専門店ではないか。ごつごつした沖縄風のドーナツと言えばよいだろうか。甘さと油の香ばしさが食欲を誘う。

　そして、店名の下に貼ってある商品ラインナップの中に、気になるものを発見。

　ドラゴンボールである。ものすごい苦労をしてこれを集めるという話を聞いたことがあるが、普通に売ってるみたいだ。しかもお手頃価格。

　「Ｚ」があるというのも意外。ボールそのものに、Ｚとかついてたわけではないような気が…。

　おいしそうなにおいに誘われて、揚げたてを購入。

　こんなに簡単につかんだり手に入れたりすることができるとは。タピオカ粉を使用した揚げ菓子であるという説明や、星が透けて見えないことは気にしないで、かじりついてみた。

　これはうまーい！　ふわふわだー！

　我ながらバカっぽい感想だが、実際に食べたとき口を突いて出た言葉がそうだったので仕方がない。普通のドーナツよりも軽い感触で、外はカリッと、中はフワッとしている。

　ドラゴンボール、超おすすめ！

　説明はこれでいいのか。人はおいしいものと出会ったときバカになるという実例がここにある。

　ドラゴンボールのおいしさに普通の旅行モードになりかけた自分を、山芋コーナーが戻してくれた。無造作に箱に詰められた、ごつごつと猛々しい山芋たち。

　旅行中ということで山芋を買う感じでもないのだが、ひとつひとつ無意味に吟味してしまう。いろんな山芋がいて、それでいいではないか。

　そう、ここは農産物販売所でもある。地元の特産品たちを求めて、建物の中にも入ってみよう。