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はっけんの水曜日
 
あっためて飲むとおいしいお酒はどれだ?
酒舗 石塚さん
お燗は店内の試飲スペースに、おなべを持ち込んで


寒い中を歩いている時、ぼわっと思い出した。
そういえばチェコ旅行した時は、道ばたでホットワインを売っていたなあ、と。
紙コップに入れてもらって、石畳を歩きながら、ちびちび飲んだ。赤ワインに何かスパイスを入れたような飲み物だった。あれは、美味しかった。ちょうどいい量とアルコールの強さだった。
欧州の多くの国では、ホットワインを道ばたで売るのは、定番なんだとか。
じゃあ、日本でもホットワインが売ってる露店がないかな、と検索したのだが…、
見つけましたよ、1件。なんと、ディズニーシー内。行く機会、ほぼ無し。

ホットワイン美味しいのになあ、日本にも甘酒や熱燗があるけれど、他にも温めて美味しいお酒ないかなあ…とグツグツ考えていたところ、
先日、記事『練馬で、すっぱいビールが美味しかった』で取材させて頂いた、ちょっと変わった酒屋さん・「酒舗 石塚」さんが、「じゃあ、ウチで試飲会開催しましょう」と言ってくださったのだ。ヤッタ!
そんなわけで今回は、「お酒のプロのナビゲートで、ホット酒を試そう!」という主旨です。

(text by 大塚 幸代

今回もナビゲートしてくださったのは、店主の若旦那(通称、若)。
まずひとつめは、栃木のお酒、『仙禽』(せんきん)。
しぼってすぐの生酒で、フレッシュで、ガスがプチプチいっている。
「これは中取りですね」
酒知識が全然覚えられないので、「中取りってなんですか?」と訊いてみる。
「お酒を搾る時、最初にしぼったのが『あらばしり』、次が『中垂れ』、 さいごが『せめ』っていうんですが、その『中垂れ』の部分です。お酒の香りと旨味が一番ある、いい部分ですよ。
普通、生酒は温めないものですが、温めてみましょう」
じいっと、とっくりが温まるのを待つ。
「沸騰したお湯の火をとめて、とっくりを入れて、ゆっくり待つのが一番いいですね、40℃くらいになるまで。
いちばん避けて欲しいのは、電子レンジでチンですね」
温まったら、まずは一口。
の、飲みやすい。スーッと入る…。ボキャブラリーの少ない筆者を許して頂きたい、冷たい状態でも美味しい生酒が、ふわーっとやわらかく開いて、口に入っていく感じ。生酒ってもっとアタックの強いものじゃなかったっけ。別モノになっている。何だこりゃ。

次は私が「試しに温めてみてください」とリクエストした、ベルギーのブラックチェリー味のビール、『ブーン クリーク』。ビールなんか普通、温めないだろう、と思っていたら…。
「これはベルギー本国では、常温で飲みますし、温めて飲んだりもしますよ」と、若。
え! そうなのか。
「でもこれも、なかなか入手困難なってきてるんですよね。天然酵母で造ってるから、生産数に限りがあって。
だからワインと同じく、毎年、味が変わるんですよ」(肩ラベルに、造られた年のビンテージが書いてあるそう)
そんなこと全然知らなんだ、と思いながら、お燗されたビールを飲む。
エッ。アルコールを感じない。
ジュースみたいだ、飲みやすいことこの上なし。ホットワインより飲みやすい。ちなみにアルコール度数は4%と結構高い。危険だ。

「もう一つ、これは向こうでは温めて飲むという、クリスマス用のビールを飲みましょう」
『グーデン カロルス クリスマス』、これもベルギービールだ。ラベルがかわいい。
中にはいろんなものが入っている。コリアンダー、オレンジピール、アニス、リコリス、カラメルモルト…。そしてアルコール度数10%。ほんとにビールなのか、これ。
冷たいまま飲むとハーブ味が強い濃いビールだが、温めるとやっぱり飲みやすい。ハーブが苦手な人でもイケそうな味だ。
「実はこれは滋養のための飲み物でもあって、日本で言うと養命酒に近いんですよ」
こんなビールが養命酒だったら、毎日、飲みたいところだが…。

次は高知県土佐・菊水酒造の「蜂蜜酒」、MEAD(ミード)。
なんと、はちみつ100%で出来ているお酒、アルコール11%。
「ミードは、ドイツではよく飲まれているんですよ。これはレンゲのはちみつで出来たものですね…」
まずは香りをかぐ。あああ、まさにはちみつ。冷たいままだと、ねっとりと甘い。
でも温めたら、酸味が出て来た。はちみつレモンくらいの飲みやすさ。ヤバい、スイスイいける。ディズニーシーでも売れそうだ。

『ヴィニョ・デ・マルス』
これはワイン+ブランデーで出来ているという、濃厚なお酒。
「温めないまでも、常温で飲んで欲しいお酒なんですよね」と若。
そのまま飲んでも、干しぶどうのように濃厚な味で美味しいのだけれど、温めると…つぼみが、ぶわーっと花開いてしまったよう。常温が14歳の少女だとすると、お燗は20歳以上の乙女って感じ。何言ってんだ私は。
つまみに持って行った、ブリーチーズによく合った。もっと臭いチーズのほうが、合ったかもしれない。

そして次は、白ワインだ。ホットワインって、赤かロゼしか見た事がなかったので、白もアリなのか、大変興味があった。
『ピースポーター・ミシェルスペルク アウスレーゼ』
はドイツの白ワイン。ラベルを見ると「よく冷やして」って書いてあったのだが…(ラベルは一括して印刷する場合が多いから、特に寒い冬は、常温で飲んだほうがいいお酒でも、こういうのが貼ってあることが多いんだとか)。
しかし、あっためると飲みやすい。感想が「飲みやすい」ばっかりで申し訳ない。
「これはそのまま飲んでも美味しいワインですけれど…、ドイツなんかでは、あまり美味しくない安いワインには、香辛料を入れて、ホットワインにして飲みやすくするのが定番みたいですね。ホットワイン用のハーブの入ったティーバックも売ってますよ」
そのティーバック、欲しい。

次は難易度高し。「黒糖酒・さとうきびのお酒」スピリッツ32度。
さとうきびだけで作ったお酒なんだそうだ。要するにラム。
これは、温めただけでは飲めないので、お湯で割った。
最初、お酒に顔を近づけたら、目に染みてびびった。強いお酒の匂いをみる時は、化学実験のように、手で鼻にあおって嗅がないといけないらしい。
これもまた、ラムが苦手な私にも、とげとげしくなく丸い味で飲みやすく、飲んだら身体がほかほかしてきた。

そして最後に試飲させて頂いたのが最終兵器。
『む』83年(25年物)樽出し原酒、
なんと度数が64%。これもそのままでは飲めないので、お湯割でいただく。
「このウイスキー、『モンデ酒造』というとワイナリーの蔵に眠っていた、25年物のオーク樽を、ウチで一樽丸ごと買って、 瓶詰めしたものなんです」
…普通の酒屋さんは、そういうことやるのだろうか。やっぱりこのお店は変わった酒屋さんだと思う。ちなみに1樽は450リットルだとか。
「でも、いわゆる『天使の分け前分』が自然と蒸発してしまっているから、実際は中身の原酒は半分以下の量で…、この価格では、赤字で真っ赤かなんですよねえ」と、ぼやく若。
まずはひと口。香りが強い。でも飲み口はやわらかで、とても64度とは思えない。ウイスキー苦手な私でも、全然飲める。何だ。魔法か。
「このウイスキー、どういうルートで伝わったのか知りませんが、銀座の一部のクラブやバーで人気があるらしくて、大きな車で乗って来て、買っていくお客さんもいらっしゃいますよ」とのこと。
これがギンザの味か! ザギン!!

最後に、前回紹介した『大地の煌めき』(お芋のお酒、ほぼモンブラン味)もあっためて頂く。焼き菓子のような味になっていた。デザートまで、あっためたお酒!

■とりあえず、温めてみてはいかがかと

ポイントは分かった。

  • ぬる燗(沸騰させない、じわじわ温める)
  • お酒の種類はビールでも何でもいいけど、
    濃い、もしくは甘い酒がたいてい失敗がない(淡麗辛口系はやめたほうがいい)

ということらしい。
いやあ、温めるっていい。冬にぴったり。この寒さが終わるまでは、個人的な「お燗酒ブーム」は終わらないと思う。あちち。

■酒舗 石塚 東京都練馬区関町東1-1-8 03-3920-1124
http://www16.ocn.ne.jp/~ishizuka/27.html
紹介した中のお酒には入手困難なものもありますので、お店に問い合わせてみてください。
試飲会は不定期ですが、詳しくは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、mixiのコミュニティ
「酒舗 石塚」
ttp://mixi.jp/view_community.pl?id=1221978
まで。

また、店内で常時、いろんなお酒の試飲が出来ます。
事前に、四代目の若旦那に予約しておくと「若のナビゲートによる、比較試飲」もやって戴けるそうです。



 
 
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