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ひらめきの月曜日
 
豆腐カステラを食べてもらった

いろいろ混ぜればいいんじゃないか?

食べた人に「これはお菓子だ!」と断言される豆腐カステラがあってもいい。豆腐の味も感じつつ、だけどお菓子だと認定されるもの。そういうものを作りたい。

カステラってことは焼き菓子だから、こういう手法で間違ってはいないと思うんだが…。


まずは卵を甘くしといて、
そこにバナナを入れることにする。
バナナを叩くという作業は初めてだ。
叩いたバナナはスクランブルエッグそっくりになるというコネタを捻り出しつつ。

ここに小麦粉を入れたら、それこそ本物のカステラになってしまう。だが豆腐カステラというからには、豆腐を入れなければ。

でも何ごとも簡便化を目指す現代人は、こういう物に頼ってしまうんである。


これだって火を通せば固まるんだから同じことだろう。
ってことで、豆乳をドバババと投入。
ゆるゆるのタネを玉子焼き器に入れて、
あとは火にかけるだけ。

我が家にはお菓子を焼くためのオーブンもあればバナナをペースト状にするミルサーもある。あるのだが、ここは徹底的にそういう物を排除することにした。

理由を聞かれると困る。しいて言うなら「洗い物を極力減らしたいから」といったところか。人間、横着をしようと思ったらどこまでも出来るもんですな。


が、カステラとは似ても似つかぬものが出来た。
肝心の焦げ目がピターッと張り付いておる。

なにが「横着は出来るもんですな」だ。こういうことは、ちゃんとした物を作ってから言ってほしい。

ともあれ、肝心の味は…。


このしっとり加減は、豆腐カステラそっくり。
これは普通にうまい。遠くで豆腐の味も微かではあるが感じられる。

ああ、うん、これはもしかしたらバナナプディングじゃないかな。豆腐カステラならぬ豆腐プディング。

…違う。こういう物を作りたかったんじゃない。味はいいとして見た目が決定的に違う。もっと焼き色を付けなないことには、いかに図々しい私でもさすがにカステラは名乗れまい。


リベンジ食材はサツマイモ。
やはり細かく切ってから、豆乳&卵液と共に焼く。

「さっきの失敗を忘れたのか。また同じ方法で焼くつもりか」という叱責の声が聞こえそうだが、私とて同じ轍は踏むつもりはない。今度は鍋をあらかじめ温めておいた。

まあ見てて下さいよ。というか、見て下さい!


ひっくり返したらホレ! カステラの表面にそっくり!
じっくり焼いたから、鍋からもペローンと剥がれるし!

今回は超弱火でじっくり焼くという方法を取った。狙いがドンピシャすぎるほどだったことは、カステラそっくりの皮が証明してくれている。

では、切ったものをご覧いただこう。


これは誰がなんと言おうとカステラだべ?

すばらしい。これなら胸を張って豆腐カステラ(さつまいも入り)を名乗っても罰は当たるまい。

味も本物そっくりで…と言いたいところだが、これも「さつまいもプディング」としか言いようのない味になってしまった。大量に入れたイモのせいで、せっかくの豆腐の味も遙か彼方だ。


見た目に多すぎるイモ。
でも、このゴロゴロがうまい。

今回は砂糖がほとんど入ってないにも関わらず、これだ。そういえばサツマイモもよく「おかずかお菓子か」で話題になる食べ物であるが、こうして焼いてみると「お菓子!」と言いたくなりますね。

 

甘くないのも食べたいわ

お菓子と断定される豆腐カステラづくり(一方的にカステラと言い張る)については、勝手に達成した気分になった。でもどうにも口の中が甘くなりすぎた。

ここらで、果物の代わりに他の物を入れてみようじゃないか。


豆乳&卵液に塩シャケをちぎってポイポイと放り込み、
アルミホイルの簡易容器で今回はオーブンへ。

今になれば、ひとつも甘い要素が入ってないのだからカステラを名乗ることは出来ないという判断も付くのだが、これを作った時は、ただもうひたすらに「甘くない物を我に!」という一心であった。

そして焼き上がったものは、いろんな意味で予想を超えていた。


プクーッと膨れて、なんだか妙においしそうだもの。

豆乳の量が多かったせいか、ホイルを剥がして切り分けることが不可能なほど全体がフルフルしている。仕方ないので、スプーンを突っ込んでみたところ…。


表面は膜がパリッとしているものの、
中央部はトロトロツルツルに。

豆腐カステラのつもりが、いつのまにか「焼き豆腐茶碗蒸し」という矛盾だらけの物を作ってしまっていた。

いやしかし、これはこれで非常にうまい。そしてこれは完全におかずだ。ごはんにも酒にも合うという、最強のおかずだ。

なにをやってたんだっけな

個人的には北の空に向かって「秋田の皆さん、やりましたよ!」と声高らかに叫びたいところだが、たぶん「オメーはいったい何やってんだ!」と怒られるんじゃないかという気も少しだけしている。

今回作ったものは、どれも私が勝手に考えただけの豆腐カステラであり、本物はもちろん秋田にしか存在しない。

最近ではネットなどで通販も出来るようだし、気になる方は一度取り寄せてみて「…これは、どっちなんだ!」と食べながらモヤモヤと悩むのも、きっと楽しいかもしれません。

残り2切れ、ちびちび食べよう。

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