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はっけんの水曜日
 

F1のコースを7時間走る(ママチャリで)

必死。

F1のコースをママチャリで走る大会があるのだが出ないか、というお誘いを頂いた。F1のコースを走れるという時点でうれしいし、なにより普段ママチャリで駅まで通っている僕としては少々の自信もあったので「もちろん!」と二つ返事で参加させてもらった。

そうしたらそれはもう、すごいレースだったのでした。

安藤昌教


ママチャリには自信あります

ママチャリは通勤通学、その他ちょっと近所へ買い物へいく時なんかに非常に重宝する乗り物だ。僕も最寄りの駅までママチャリで通っている。

そんなママチャリでF1のコースを走れるレースがあるという。音速の乗り物が走る場所だ、それだけで興味あるのだが、加えて毎朝ママチャリに乗って、駅までの道のりを一分でも縮めることに命をかけている僕にとってこれは一つの舞台ではないかと思えた。

 

こういう気分で行ったらえらいことになった。

舞台は富士山の麓に位置するサーキット、富士スピードウェイ。F1日本グランプリが行われる公式コースだ。今回参加するレース「スーパーママチャリグランプリ」はシリーズ最終戦(シーズン中のレースはカートコースで行われていた)、F1の本コースを走る7時間のチーム耐久レース。時間内の周回数でその記録を競う。

合計1000台以上のママチャリがエントリーしていることもあり、大会ホームページには「とにかく混むので朝4時までに会場入りすることをお勧めします」と書かれていた。僕は前日入りしたのだが、それでもすでにかなりの渋滞が始まっていた。

現在2時。  
レーシングマシーン(ママチャリ)搬入中。 着いたはいいが夜だ。
ここはレース場内です。 あまりの寒さに凍り付くテント。

午前3時。凍ったアスファルトを滑りながらパドック(普段はレース車両を置いておく場所)に向かうと、そこはすでにテント村と化していた。

会場の富士スピードウェイは富士山の麓に位置しており標高も高いことから平地よりもちろん寒く、当日の最低気温はマイナス7度の予想だった。この寒さの中、いつから暮らしているんだろう、という雰囲気の人たちがテントの周りで火を囲んでいる。炭のくすぶる音も話し声も夜の闇に吸い込まれて静寂。みんなF1コースをママチャリで走るためだけに集まってきているのだ。

歩くよりも滑った方が速い。  

すごい規模のレースでした

このときはまだ暗くてよくわからなかったのだが、日が昇り周囲の様子が把握できるようになってくると事の重大さに気づく。

そう、これはものすごい規模の戦いだったのだ(ママチャリの)。



明るくなるにつれどこまでも続くテントにびびる。 火を絶やすな!(凍えるぞ)
ぞんざいに放置された今回の主役。 テントが無い人はF1のピット内で寒さをしのぎます。

 

 

 
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