螺旋状のスロープで上り下りする立体駐車場。ふだん何気なく利用しているけど、あのスパイラルが街中に突っ立っている様子は、まるでニューヨークのグッゲンハイム美術館のようで、よく考えるとすごく不思議な光景だと思います。
建築界の巨匠、F.L.ライトの代表作と比べるなんて怒られそうですが、この不思議な建物を「グッゲンハイム駐車場」と名づけ、思う存分めぐってみました。
(萩原 雅紀)
新宿のお馴染みグッゲン
まずはもっとも身近なグッゲン物件を紹介します。
東京近郊に暮らしている方なら、いちどくらいは見たことあるのではないでしょうか。新宿五丁目の交差点にそびえる伊勢丹のグッゲン駐車場。
もちろんこのスパイラル部分は上り下りのためのスロープであって、これ自体は駐車場ではないのですが、便宜上グッゲン駐車場と書かせてください。
ここは人通りが非常に多く、夜にはライトアップもされるので、日本一有名なグッゲン物件かも知れません。
色遣いや全体的なシルエットなどが、いちばんオリジナル(いやこれのオリジナルではないですが)に近いと思います。ニューヨーク行ったことないので適当ですけど。
でも、ここは誰もが知っている超入門用物件。グッゲンハイマーとしてはやや物足りないので、まだ見ぬグッゲンを探しに出かけました。
まずは東北自動車道に乗るたびに気になっていたあの場所へ。
久喜グッゲン
たまに東北自動車道を走ると、久喜IC付近で道路の壁の向こうに巨大なグッゲンがチラリと見えるのが気になっていました。
遮音の高い壁を越えて顔を覗かせるので、さぞかし大きな物件ではないかと思います。
というわけで久喜ICで降りて高速道路脇の道を走ると、目の前に巨大なボスキャラが現れました。
周囲に高い建物がないせいか、これは衝撃的な大きさ。一瞬らせんに見えないほど巨大なスロープで、なんと内部で大型トラック同士がすれ違えるほどの幅だそうです。いやー、歩きでもいいから上ってみたい。でも残念ながらここは倉庫なので、関係ない一般人は入れず。
デザイン的には、下からすっと伸びた柱とその柱を繋ぐ梁が目立って、グッゲンハイムのような滑らかさはありません。スロープの壁がカーブを描いているものの、円というよりは12角形と見る方が強い印象。どちらかと言えばトミカパーキングの方が近いでしょう。
ちなみに、この倉庫の周囲は現在新しい道路が造られていて、今まさに高架の橋脚がどんどん建てられています。また、橋脚の向こうには新幹線が走っていて、さらにこれも巨大なゴルフ練習場のネットも建っています。まさにデイリーポータルの土木建築乗り物好きにとってエルドラドと言っていい場所。つまりすごく気に入ったということです。
理想郷はアマゾン川の上流ではなく、東北自動車道の道路脇にあったのです。
堪能したところで久喜を離れ、東京に戻ります。今度は港湾部の倉庫街へ。2大流通企業のグッゲンが対峙しているという場所に向かいました。