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フェティッシュの火曜日
 
この店でいちばんすっぱい梅干しを頂戴。


選ばれし者たち

 こうして4つの店から、4者4様の理由による「この店でいちばんすっぱい梅干」がそろった。


セブンプレミアム「紀州産南高梅しそ漬け」

いいとこどり「匠の梅」


三年蔵で熟かせた「小田原梅干し」

紀州産南高梅はちみつ入り


 さて、果たしてどれがいちばんすっぱいのか。食べ比べてみよう。

 とはいえ、「すっぱい梅干を食べたことがない」なんて言い出す僕だ。もしかしたら味覚がおかしいんじゃないか、という可能性もある。検証のために、編集部のメンバーにも集まってもらい、食べ比べ会を開催することにした。


試食は塩分の少ないものからいくことにしました

左から安藤、工藤、古賀。それに筆者石川をくわえて4人で挑みます

 

 

いただきます!

紀州産南高梅はちみつ入り

購入場所・値段:近所のファミマ、398円
選ばれた理由:これしかなかった

■石川評:
  甘い。すっぱくない。
  言われてみればちょっとすっぱいような気もするけど、たぶんそんなにすっぱくないと思う。

すっぱさレベル(石川):★

■編集部評:
・すっぱいのは最初だけで、後味は甘い。(古賀)
・すっぱさが鼻に抜けない。おむすびに入っていたらがっかり。(工藤)
・梅の味が残っているように思う。後味にちょっとだけ酸味が(安藤)

すっぱさレベル(平均):★

■解説:
 肝心の梅干しだが、すっぱくない。甘い。すっぱい梅干しとしては落第点だ。

 ところでこの批評、梅干しがどうこうの以前に、味に対する圧倒的なボキャブラリーの違いが暴露される結果になっていないだろうか。「後味」とか「鼻に抜ける」とか、そういう気の利いた(というかむしろ基本か)表現が一切出てこない石川評。この原稿の先が思いやられる。

 

これはすっぱい!

果肉の色がすごく黄色

いいとこどり「匠の梅」

購入場所・値段:成城石井、798円
選ばれた理由:特殊な技術でクエン酸を残したままにしている

■石川評:
すっぱい。さいしょ、ちょっと渋いような感じがあって、あとから酸っぱさがじわじわ効いてくる。複合的な味わい。
汗が出てくる。

すっぱさレベル(石川):★★★★★

■編集部評:
・すっぱい汗が額に出た。キューッとなる(古賀)
・舌に痛みを感じる。梅の香りは少ない。食べていて疲れる。(工藤)
・渋味と、後に引く酸っぱさがある。歯ががくがくするぞ。お茶漬け向き。 (安藤)

すっぱさレベル(平均):★★★

■解説:
 確かにすっぱい。しかしよく見ると、材料に他の梅干しには使われていない酢が使われていた。梅干し本来の酸っぱさだけでなく、酢がきいているのかも。工藤さんの「梅の香りが少ない」というのはその影響だろうか。

 ちなみに石川評、ボキャブラリーがないのにちょっと含蓄のあることを言おうとした結果が「複合的な味わい」。つたない感じでよい。あと編集部評に比べて星の評価がすごい甘い。どの口で「すっぱい梅干食べたことない」とか言いだしたのか、と問いたい。

 

思わず口がキュッとなる味

すごく赤い

セブンプレミアム「紀州産南高梅しそ漬け」

購入場所・値段:イトーヨーカドー、298円
選ばれた理由:しそ味

■石川評:
塩を感じる。刺激的だけど、酸っぱさだけによるものではない。しょっぱい。口がキュッとなる。

すっぱさレベル(石川):★★

■編集部評:
・すっぱい。カリカリ梅のような、駄菓子屋のあんずのような味(古賀)
・やや塩辛く、ご飯に合いそう。破綻のない安定した味で、一生食べるならこれかも。(工藤)
・カツオ出汁みたいな旨味がある。後味がさっぱりしていて残らない (安藤)

すっぱさレベル(平均):★★

■解説:
 よくある梅干しという感じ。こうやってじっくり食べてみると確かに少しすっぱい。でもしょっぱさがそれより前に出てしまうため、いつもボーッと食べていた僕はその奥にあるすっぱさを見落としていたのだろう。

  石川評、いろいろ言い方を変えてはいるが、おおむね「しょっぱい」ということしか言ってない。

衝撃的すぎて笑う

一同、震撼

三年蔵で熟かせた「小田原梅干し」

購入場所・値段:近所のスーパー、498円
選ばれた理由:昔ながらの製法

■石川評:
しょっぱい!単品で食べるのは無理!ご飯がいくらでも食べられそう。しょっぱさに隠れて、すっぱさはあまり…

すっぱさレベル(石川):★

■編集部評:
・スッパイ これはスッパイ、ショッパイ。口の中、ほっぺたのへりがゴワゴワする。こんなスッパイのは生まれて初めて(古賀)
・昨日やけどした舌が痛む。でもおいしい。かなりしょっぱい。でもおいしい。これぞ梅干し。(工藤)
・文句なしにすっぱい。表面がしょっぱくて、中身がすっぱい。口の中がしわしわになって、しかも後を引く (安藤)

すっぱさレベル(平均):★★★★★

■解説:
 しょっぱい!とにかくしょっぱい!

 梅干しはとにかくしょっぱいのだ。完全にしょっぱいので、すっぱくない。石川評では★ひとつ。ただ他の3人の評を見てみると、★5つなのだ。これだ、ここに僕が「すっぱい梅干を食べたことがない」と思った秘密があるのではないか。

 

 というわけで、ベストすっぱい梅干は、石川評によると匠の梅、編集部の総意によれば小田原梅干しであった。

 

すっぱい?しょっぱい?

 さて、食べ比べは終了。しかし、僕はまだ納得がいっていない。最後の、「しょっぱくて、すっぱい」小田原梅干しで、評価に大きな差が開いた。これ、しょっぱいのに、なんでみんなすっぱいって言うのだろう?

 駆けずり回って試食会まで開いてみたものの、けっきょく冒頭からの疑問は晴れないまま。

 こうなったら、その道の専門家に聞いてみることにしました。

 

 

 

 

 
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