デイリーポータルZロゴ
検索天気地図路線このサイトについてランダム表示ランダム表示
アット・ニフティロゴ


ちしきの金曜日
 
「はやぶさ」に乗るということ

 

   九州を走る最後のブルートレイン、「富士」と「はやぶさ」が3月14日を最後に廃止される。「富士」は東京=大分間を、「はやぶさ」は東京=熊本間を、17〜18時間かけて走る寝台列車だ。

 これにより、九州を走る寝台列車は全滅することになる。富士・はやぶさ引退については、たぶんあちこちのニュースサイト等でも記事になってるだろう。が、デイリーポータルZ的にも、何か書かなければいけないだろう。

 というわけで僭越ながら私が九州在住のライターとして、
「はやぶさ」に乗るということはどういうことなのか、書きたいと思う。

T・斎藤



チケットが取れない

 はやぶさに乗って酒盛りをしたかった。

 内田百閧フ有名な随筆に「阿房列車(あほうれっしゃ)」という作品がある。何も用事はないけど、列車に乗って旅に出る。旅に出ても用事はないから何もしないで帰ってくる。という、鉄道に乗ることそのものを楽しむ行為を書いたもの(現在の「乗り鉄」の先駆け)。これを読むとブルートレインに乗って、車内で酒盛りをしたくなってくる。

 そこで、廃止される前にと思ってみどりの窓口に駆け込んだものの、とにかくチケットが取れない。以下、まずはチケットが取れないという話から。


みどりの窓口

 JRのチケットは乗車日の一ヶ月前の午前10時に、全国のみどりの窓口で一斉に発売される。なので私も発売初日となる一ヵ月後のチケットを狙って、きっちり朝10時にJRのみどりの窓口に買いに行った。

 最初、2月14日(土)の東京発熊本行きを取りたかった。2月14日は世間ではバレンタインデーとか呼ばれる日みたいだが、私には関係ない。

 ちょうど1ヶ月前となる1月14日の10時ちょい過ぎくらいに窓口に行ったのだが、その時点で既にA寝台、B寝台共にすべて満席状態。発売からまだ10分も経ってないのに!

 3月14日で廃止になるのでただでさえ駆け込み需要が高まってる上に週末の便はさすがにダメか。と思って、週末ではなく平日の便を狙う作戦に変更。

 

でも取れない

 平日狙いで再びみどりの窓口に通ったものの、平日でもこんなに取れないのか!と思うくらいぜんぜん取れない。

私が取ろうとしてたのはA寝台またはB寝台の個室を2名分。他に、B寝台開放というタイプの席があるが、そちらは個室ではなく、4名ごとにパーテーションで区切られた2段ベッドの席。空いてる時なら2名とかでもひとつのパーテーションを独占できるのでむしろいいくらいだが、混んでる時は知らない人と一緒になるので、酒盛り目的で乗るにはちょっと迷惑かもしれない。そう思ってそこは避けた。
(B寝台開放だったら少しだけ空きがあったこともあった。 )

B寝台開放は4人ごとにパーテーションで区切られている
グループで乗るならある意味修学旅行みたいな席

 1人ではなく2名分、というのは、林さんに同行をお願いしていたから。というのも、先ほどの「阿房列車」の内田百關謳カは必ずヒマラヤ山系氏というお供を連れ、車内で酒盛りをしていたから。そこは真似したいポイントだった。

 ちなみに、私に「阿房列車」を読むように薦めてくれたのも林さんだった。
僕がやりたかったのはこういうことだったのかもしれない
と、本の帯みたいなセリフで巧みに阿房列車を薦めてくれたのを覚えている。林さんはあまり前面に出さないが、実はものすごく鉄道好きだ。


問合せスキルだけが向上

 そういうわけで「個室」「2名」という条件で何度も繰り返しみどりの窓口に問合せたが、いっこうにチケットは取れなかった。

 問合せをするのだけはすっかりうまくなった。予約は窓口まで行かなくても電話でできるが、さらに電話をしなくても向こうから電話してくれて取れたか取れなかったか教えてくれるというワザも覚えた。(JR九州だけかもしれないけど)

 しかしそれにしても、平日の昼間の便が一瞬で売り切れるって、これは一体どういうことだろう。日本ってそんなに自由な国だったんだろうか?


A寝台個室の室内
昨年夏の「ブルートレインの車窓から(東京⇒長崎)」より。
今思えばこの時乗っておいて本当によかったと思う。

魔が差す

 そういうわけで、何度も問合せたものの結局チケットは取れなかった。個室ではなく開放なら…、個室1名なら…という惜しいパターンは何回かあったものの、私の望む条件では取れなかった。

 取れないものは仕方がない、今月の「やらなかった記事」のネタにでもするか、と失意の中、気持ちを切り替えようとしていたところ、ウェブマスターの林さんから
はやぶさ、乗れそうですよ。
という連絡が入った。

え、本当ですか?
しかし一体どうやって?

半信半疑のまま、私は指定された待ち合わせ場所へと向かった。


つぎへ >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
アット・ニフティトップページへアット・ニフティ会員に登録 個人情報保護ポリシー
©2012 NIFTY Corporation