この週末、西伊豆へ行った。目的は温泉という、ごくごく普通の家族旅行だ。しかし心の片隅には「あわよくばデイリーの記事になるようなネタを仕入れて来よう」という野望を秘めての旅でもある。
「そういえばあの辺はわさびが名産だったな。わさび田に行った記事なんてどうだろう。うん、それがいい。そうしよう。他にも何かあるかもしれないぞ」
そんな思いで旅の当日を迎えた私を、伊豆は春の嵐で迎えてくれた。
(高瀬 克子)
ダメだこりゃ
人生、ままならないことだらけだ。
わさび田があるのは山の中だというのに雨は一向に止む気配を見せず、夜はニュース速報で暴風注意報まで出る始末。
「もういい。今回の旅は空振りだ。伊豆での取材は全てパーだ。こうなりゃ温泉に入りまくってやる!」
すっかりふて腐れ、皮膚がふやけるまで湯に浸かった。そして翌日。帰る頃になってやっと雨が上がった。なんなんだ。
意地を張るのはもうやめよう。天気が悪かったのは伊豆のせいではない。きっと私の日頃の行いとか、なにかそういう類のものなのだろう。
駅に直結した土産物屋の大量のわさびを見ていたら「ま、仕方ないか」という気分になってきた。
そういえば旅館での夕食にも本わさびが使われていたが、鼻にツーンと来る辛さがなかったように思う。
…これか? わさび田には行けなかったが、これについて書けってことなのか? 本わさびの辛さを検証すればいいのか? そうなのか?
しかし立派だ。こんな大きな本わさび、手にしたことがない。さすが本場は違う。スーパーで売ってるような物とは比べ物にならない。
「わさびは目の細かい鮫皮で円を描くように下ろすと辛みが増す」という話なので、ここは器具にもこだわろうじゃないか。
デイリーの原稿を書いていると「もう二度と使わないんじゃないか?」と疑いたくなるようなグッズが増殖するものだが、これはその最たる物かもしれない。
でもこういう物を買うのは楽しいものだ。売店のお姉さんに向かって、なんの躊躇もなく「一番大きいのを下さい!」と声を張り上げていた。
いつも食べてるのも比べてみよう
本わさびだけでツーンの検証をしてもよかったが、どうせなら普段使っている物も比較の対象にした方が本わさびのうまさが引き立つに違いない。
そんな思いから、チューブ入りの2種類も用意した。
当サイト編集部の安藤さんによると「たしかチューブのワサビって生ワサビじゃなくてワサビ大根なんですよね?」とのことであった。その話は私も聞いたことがあるが、原材料名にワサビ大根の表記は見られない。
なんだろう。うっかり高いチューブを買ってしまったんだろうか。ま、相手にとって不足はない。これで本わさびに挑むとしよう。