亀はステキだ。なにしろ甲羅がある。そんなの当たり前だと思っていたが、よくよく考えてみたら相当すごい。 人にも甲羅があったらいいのにと思う。生きるうえで物理的な危険はあまりに多い。甲羅があれば幾つものそれを回避できるだろう。精神的な危機だって、甲羅の中で現実から目を逸らしているうちに、いつのまにやら解決していることもあるかもしれない。まあ、それはあまり健全な甲羅のありかたではないと感じるが。 人間にも甲羅がほしいと考えたとき、なにをそれに使えるだろうか。これについてはそれほど迷う必要はない。タライだ。 よし、タライを買いにいこう。
(櫻田 智也)
●大きなタライを買うということについて
さて、甲羅のかわりになるようなタライというと、これはけっこう大きくなくてはいけない。ただ、そんな大きなタライがふたり暮らしの家庭に必要かといえば、必要ではない。いらないというだけではなく、あったら邪魔だ。うちは収納場所が少ないのだ。 記事を書くという目的があるにしろ、そういったものを購入していいか、これにはやはり妻の承諾を得ることが重要だ。 3月13日、ホワイトデーの前日に、大きなタライを買っていいかと妻に切りだした。
可愛い感じでお願いしてみる
収納場所に関してはなんとか考えること、もちろん自分のお小遣いで買うことを条件に、許可申請をだす。妻は渋い顔だ。しかしこれは見慣れている。デイリーポータルZの企画について話す際、妻はだいたいそういう顔をするのだ。
さらに可愛く
ホワイトデーの前日、チョコのお返しに頭を悩ませる男性もいれば、亀になりたいからタライ買ってもいいかとお願いする男性もいる。男って、大変だよね。
だからタライをこうしてね
家にあったタライで趣旨を具体的に説明するも伝わっている気がしない。むしろ雲行きがあやしくなったと言ってもいい。
最終的に、こう
やばいと感じて得意技をくりだしたところ見事に許可がでたので、さっそく翌日タライを買いにいくことにした。
●だいたい大きなタライは売っているのか
タライを買うために大きなホームセンターにでかけてきた。そもそも人の甲羅になるほどのタライはふつうに売っているのか。
このサイズでは話にならない
これに入るのはちょっとな
目立ちすぎると天敵に捕食される危険度が増す
これだと象ガメみたいになるか
お、でかい!
かなり大きなサイズのものを発見。札をみると、タライではなく水槽と書いてある。
いや、おも
試しにかぶってみたら重量感が尋常ではなかった。さすが水槽、つくりが丈夫。価格も3万円とヘビー級だ。
●亀についても研究する
タライさがしを中断して、ここで亀の様子をみてみることにした。このホームセンターには水生生物が売っているのだ。実際の亀を観察し、いざ自分がそうなった場合の参考にしたい。
ほう
ほほう
ほほほう!
こ、こうかな?
隣でいっしょに亀をみていた女の子が、ぼくが首を伸ばした途端にやや遠ざかったので、亀の観察はこのくらいにしてタライの件をかたづけることにした。