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ちしきの金曜日
 
韓国は団地天国だった

  団地マニアとしてならしているぼくですが、これまで海外の団地に関してはぬかっていました。見に行きたい団地は世界中にあるんだけど、なかなかねえ。

 と嘆いていたら、ひょんなことから韓国に団地を見に行くことができたので、その成果をレポートしたい。そんなレポートは誰も求めていないことは重々承知しているがさせていただく。だってすごいんだもん、ソウルの団地。

大山 顕



■空港からのバスの車窓がすでにやばい

まどろっこしいから結論言いますが、韓国は団地天国です。団地マニアは韓国行かなきゃだめだよ。なんでぼくは韓国に生まれなかったんだろう、と思ったよ。だいたい、空港からソウルの市街地に向かうバスの車窓から見える郊外の風景が既にパラダイスなわけですよ。「運転手さん!ここで停めて!」って韓国語でなんといえばいいのか。言ったところで停めてくれはしないわけだが。


バス車窓から。心拍数が急上昇。車内にお医者さまはいらっしゃいませんか。

もしかしてとんでもない国に来てしまったのでは。

中心市街地商店街のすぐ隣は高層団地群があたりまえ。それがソウル。

どこを見ても、団地。ひゃっほう!

なんだか、いい意味でまずい感じがする。ちょっとこれは気合いを入れていかねばならない。準備体操をしないまま肉離れを起こすパターンだ。

で、慎重に精神的団地ストレッチをほどこしつつ実際ソウルの中心部に着いてみたらそこは団地エルドラドだったわけ。だってどちらを向いても団地しか見えないんだよ。


ソウル都市部を流れるハンガンの川べりから見た団地パノラマ。見える建築物のほとんど全てが団地だ。【写真をクリックすると誰も求めていない大きな画像がお楽しみいただけます】

ソウルがこんなにも団地パラダイスだとはきいてなかったよ。観光案内書にもそんなこと記載されてなかったし。なんで書かないの?それ、京都観光案内で寺社仏閣について一言も触れないのと同じぐらい不自然だよ?おかしくない?

きけばソウルに住むということは団地に住むこととほぼ同義らしい。韓国全国民のおよそ5分の1がソウル市民で、およそ半分が首都圏在住という極端な一極集中のため、ここでは高層集合住宅があたりまえなのだ。すばらしい。

韓国ドラマで、ソウルが舞台なのに団地が出てこない作品があったらそれはファンタジーだと言ってよかろう。ほんらいどこにカメラむけても団地が映るはずだ。「韓流」とはすなわち「団地流」であるべきなのだ。

 

■滞在期間中ずっと団地巡ってました

いやはや、半ば本気でソウルに移住したいと思った。だって地下鉄乗って、適当な駅で降りると、そこは、団地。そんな繰り返しなのだよ、ソウルは。全ての駅前が都営三田線高島平駅みたいな感じ。ほんとに。もうソウルって名前やめてダンチってしたほうがいいよ。


地下鉄駅出口の案内板。どの駅もこんな感じ。これ見たときは「おー!」って声出しちゃったよ。

ソウルにおける団地の特権的位置づけぶりがうかがえるのが、この地下鉄駅出口にある市街地案内地図だ。ご覧のとおり、なぜだか団地だけ充実した表現になっている。すばらしい。

しかも団地ごとにちゃんとその造形を描き分けてもいる。これはとんだ団地先進国だ。

だって、なんで丁寧に団地だけ立体表示?いや、うれしいけど。  

そんな団地天国のおもてなしをうけながら、滞在期間中、ずっと団地をめぐってました。ほかの観光地まったく行ってません。というか、これがソウルの観光名所だよ。


筋金入りの団地マニアをも唸らせる名品団地。タワーのアシンメトリーなポジションと、色あせたピンク色の凹部分がキュート。
ホワイトを基調としながらも一部唐突に桃色に色づく。団地における素っ頓狂な色彩感覚は日本も韓国も同じだ。
一方、こちらは団地としてはどうかと思うカラーリング。日本でも80年代以降のマンション作品にときおり見られるご乱心だが、ここソウルではぎりぎり団地らしい無骨な造形がすべてをまるくおさめている。すばらしい。
これはいかにもソウルの団地らしい造形。エレベータータワーのアグレッシブな出っ張り具合が勇ましい。おそらく1980年代に建設されたもの。この時代のものが個人的にはいちばんぐっときた。
どこか見慣れた感じの佇まい。見慣れてるんですよ、団地マニアにはね。海外に長く滞在すると日本食が食べたくなるものだが、これは団地界における日本食だ。1970年代後半の作品はどこか和風だった。

えーと、どうしよう。この調子で団地写真が100枚ぐらいあるんだけど。全部紹介したらたぶんデイリーのライター首になるよね。

ぼくも大人になったものだと思う。ここはぐっとこらえて次ページでは最小限の団地写真で、韓国の団地の特徴を紹介するにとどめよう。な、大人だろ?


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