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ひらめきの月曜日
 
強迫観念から生まれた緑の食卓


鶏の竜田揚げ。しびれるほどにステキな茶色です。

 ふと気が付くと、食卓が茶色だらけのことがある。「いかにも醤油で味を付けました」的なおかずに占領されているのだ。

いや、醤油にばかり罪をなすり付けるのは申し訳ない。主犯格は間違いなく肉、及び揚げ物だ。その力強いまでの茶色っぷりにはウットリさせられるが、だからといって毎食揚げ物ばかり食べるわけにもいかない。

反面、緑の多い食卓は「ああ、体にいいものを食べてるんだな」と、とても安心した気分になる。小さい頃から「野菜を食べなさい!」と言われて育ったせいかもしれないが、こうも簡単に「茶色=悪、緑=善」という図式が成り立っていいものか。

いっちょ、検証してみました。

高瀬 克子



これが茶色い食卓だ

最初に断っておくが、下の写真は「茶色い食卓用に」とわざわざ用意したものではない。


いきなり大きな写真で失礼します。あ、茶色といえば味噌汁がないですね。

いや、作っている段階で「やけに茶色いラインナップだなぁ」ということには気づいていた。そこで、当初の予定にはなかった鶏の竜田揚げをプラス、より一層の「茶色感」を煽ることで、記事への流用を決定した次第だ。

よって、ある意味「やらせ写真」とも言えるのだが、竜田揚げを除外したとしても十分に茶色い。


ぜんまいの炒め物。悲しくなるほどに茶色。 きのこ御飯。きのこを最初から炊いたせいで茶色感アップ。 サバの塩焼きも、言い逃れできない茶色っぷり。

さらに、いろんな具材が入っているはずの煮物までもが全体的に茶色いのには驚いた。フキや昆布って、どちらかと言えば緑の仲間だろう。なにやってんだ。 「キミら、なんで茶色に染まっちゃってんの?」と説教のひとつでもしたくなったが、もしや料理の腕って、こういうところに出てしまうのか。だとしたらごめん。


いかにも「残った食材で作りました」的な。

さらに、主食を「きのこ御飯」にしたことが、悲劇に拍車をかけている。


おこげを作って喜んでいる場合じゃない。
せっかくなので、滅多なことでは飲まない瓶ビールを空けてみました。とどめの茶色。

体には悪いかもしれないが、ここらで声を大にして言わせてほしい。

「私は茶色が大好きだーっ!」

なんたってビールに合うじゃないか! ビール以外のお酒にだって合うし、御飯だってもりもり進むぞ!

 

ならば緑の食卓はどうだ

茶色い食卓を思う存分堪能したあと、決まって脳裏に浮かぶのが「緑の野菜を食べなさい」という例の言葉だ。これはもはや強迫観念とさえ言えるだろう。

「野菜を食べろ」「緑の野菜を食べろ」と言われ続けて育つと、緑の呪縛からは逃れられないのかもしれない。

面倒を起こすのがイヤで親の言うことを聞きがちだった私が、次に取った行動がコレだ。


また極端な。

「どうだ、文句あるか」といわんばかりに緑一色である。ちなみにこういう極端なことをしてシレッとしていると、親からは「物事にはバランスってものがあるでしょ!」と説教を喰らうことになる。気を付けよう。

ところで、当サイトの熱心な読者の方ならば、古賀さんが以前に書いた「単色弁当」を思い出しているのではないだろうか。

古賀さんによれば、緑だらけの弁当の感想は

  • ああ、お寿司が食べたいなあ
  • 満腹感がくるのが早い
  • 緑以外の物が無性に食べたくなった
  • 目でお腹がいっぱいになった

であった。なるほど。「お寿司〜」に関しては個人差で片付けるにしても「緑以外の物が食べたくなった」には諸手を挙げて賛同の意を表したい。


天ぷらには抹茶塩まで用意。
ビールだって揃えたぞ!

さらに私の場合は「油っけが少ない!」というのが辛かった。すべてがあっさりしすぎている。

「眼鏡、眼鏡…」と言いながら自分の眼鏡を探す漫才師のように、食卓の上を見回しながら「アブラ、アブラ…」と油分を必死に探すのだが、油はドレッシングと揚げ物にしか使ってない。圧倒的に足りない。

満腹感はあるのだが、いまいち「食べた」という実感が湧かないまま食べ終えた。ビールに合うかどうかは言うまでもないだろう。ビールってのは油で飲むもんだ。

きっと体にはいいんだろう。でも、なんだか「わしゃ馬か!」と言いたい気分になった。悲しかった。


これだって緑といえば緑か。

悲しみのあまり、緑のたぬきを買ってきたほどだ。でもこれはパッケージは緑でも中身は茶色なんだよな。

…はっ。打開策はここにあるかもしれない。



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