誰にもすれ違わない埠頭への道
日も暮れかかってきた。世間的には晩御飯の頃あいだろうが、賑わう繁華街に背を向けて、ぼくはひとり薄暗い埠頭に向かう。しんご君、きみはドSなのかい。
薄暗くて寒い。もう、風は繁華街の方に吹いていたことにして戻っちゃおうかな。
なんてよからぬことを考えているうちにフェリーターミナルに着いた。
思ったより明るくて大きな建物だ。ここならレストランくらいあるかもしれない。
到着したのは19:00。四国行きの最終便にはまだ間に合う時間だ。どうする?(なんて迷ったふりをしているが、行けるわけない)。とりあえず食堂などはないか? 何より腹が減っているのだ。
ターミナルには港を見下ろすカフェがあったのだが、残念ながらすでに閉店していた。しかし、幸いなことにその脇にカップヌードルの自販機があった。いや、幸いなのか?
旅の食事がカップヌードルというのも何だかわびしい。もう少し腹に何か入れたいし、できればお酒も飲みたい。
時刻は20:00、最後の風向きに期待し、しんごをセットした。
矢印はフェリーの方角を差した。どうしても四国に行けということか。こうなると四国方面にただならぬ運命を感じるが、大人は急に四国とか行けないんだよ。
…風に逆らって岐路についた。
風、あまり吹いてませんでした
正直にいうと、当日はあまり(というかほとんど)風が吹いていなかったので、風向計がほとんどまわらなかった。なので、しばらく待ってみて安定したときに矢印が差していた方角を「風の向き」とした。したがって本当の意味で風の向くまま行動していたかは確証が持てません。
こういうことを最後に書くあたり人間が小さい。いつかは風来坊と呼ばれるような人物になりたいもんですな(って我ながら適当なまとめだな)。