一口ぺろりといってみると、強烈な刺激が口の中に広がる。
鼻がツーンとする。
目から涙がでてきた。
食べてみてわかったのだが、これはわさびの入ったソフトクリームではなくて、ソフトに溶かれた練りわさびそのものだ。苦悶の表情を浮かべる私を見ながら、店員さんが笑っている。
泣きながら店員さんに話を聞いてみると、なんでもこの店のオーナーは業務用練りわさびを扱っている会社を経営しており、このソフトクリームのような練りワサビの塊は、回転寿司などのわさびを大量に使うお店用に開発した、練りわさびを捻り出す機械によるものだそうだ。
オーナーが友人をからかうために使わなくなった機械を持ってきたのだが、持って帰るのが面倒なのでそのままお店に置かれて、知らずに注文したお客さんを困らせ続けているのだという。
事情を知っている地元の人は絶対に頼まないというこのわさびソフト、困った名物料理があったものですね。 |