カブトムシがおいしそうにクヌギの樹液を舐めているのを見て、真似してすぐ後悔したのは小学生の私。
さて人間にもおいしい樹液といえばメープルシロップである。採れたてのメープルシロップを一度舐めてみたいなと前から思っていたのだが、産地であるカナダはちょっと遠い。
しかし調べてみたら、わずかではあるが埼玉県秩父市でもメープルシロップが採れるというので、さっそく舐めにいってきた。
(玉置 豊)
メープルシロップはお菓子屋さんが作っている
今回の取材でお世話になるのは、「秩父お菓子な郷推進協議会」という、お菓子屋さんの集まり。これからいくメープルシロップの材料となる樹液採取は、普通だと農林業者の仕事っぽいイメージだが、ここ秩父ではお菓子屋さんが担当している。
詳しくは後述するが、お菓子屋さん達自ら、自分達で作るお菓子の材料として、秩父の森で樹液を採り、メープルシロップを作っているのだ。
樹液採取の現場を見せてもらうため、会の方について秩父市街から車で1時間程走ったところで、山の斜面に生えた木々の根元に、赤いだるまみたいなものがたくさん置いてあるのが見えた。
夢の世界っぽい樹液採取場に到着
なんだなんだと思っていたら、前を走っていた車が止まった。どうやらここが採取場所のようである。
車から降りて見てみると、赤い物体の正体は、灯油を入れるポリタンクだった。
なんだか「キツネにだまされている人用のガソリンスタンド」みたいな、ある意味幻想的な景色である。