念願の五右衛門風呂が目の前に
30分後、待ち合いスペースの電話におばさんから連絡が入った。
「清掃が終わりましたので、どうぞ」
ピラミッドを見るよりも難しい(あくまでも個人の感想です)Beat WAVEの五右衛門風呂に、いよいよ入れるのだ。
エレベーターで3階に上がり、305号室の中に入った。
部屋の置くにチラッとそれらしき物が見える。 あそこか?
ん? これが五右衛門風呂なのか?
確かに風呂釜は鉄製だが、正式な五右衛門風呂は底が鉄で出来ていてふちは木桶のはずだ。また、風呂釜が高温になるので木製の踏み板か下駄を履いて入浴するはずである。
しかし、踏み板も下駄も見当たらない。
そうか……。 これがBeat WAVEの五右衛門風呂なのだ。
思い描いていた五右衛門風呂とは随分違う。
入りたかった五右衛門風呂とはひと味違うBeat WAVEの五右衛門風呂に入ってみた。
三脚を立ててタイマー撮影した。 写真をプレビューしてみて、シャンプーが邪魔な事に気付いた。
もう1枚撮ろう。
シャンプーを下に降ろしてみたが、まだ雰囲気が出ない。
タオルだ。 タオルを頭の上に乗せてみよう。
素っ裸で風呂釜と三脚の間を何回も行ったり来たりした。
そして、思った。
帰ろう。
五右衛門風呂という名前は、石川五右衛門が釡茹での刑に処せられたことに由来すると言われている。そんな五右衛門風呂がラブホテルの中にある。そんな「処刑」と「休憩」の組合せが面白いと思ったのだ。
だが実際は、そんなに五右衛門風呂じゃなかった、という淋しい結果に終わってしまった。
でも僕は諦めない。
ピラミッドを見るより先に、本格的な五右衛門風呂に入る。これを当面の目標にします。