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ロマンの木曜日
 
LIVE IN USA!はこんなに大変

宣伝活動、あと物販も大事です。

弁護士に資料を渡し、移民局から許可証をゲット。さらにこれを持って米国大使館での面接に合格してはじめてアーティストビザは発行される。

なんという手間の多さ‥しかしビザ無しでギャラが発生する演奏をしているのがバレると、強制送還されてしばらく入国禁止になるのだとか。まぁ、コッソリ行ってるバンドも多いらしいのだけど。


「許可証出たらアメリカ大使館のサイトから申請して、アポ取りして面接に行くんです」

−−大使館サイトは日本語?

「いや、もう英語。しかも支払いも先にやらなければいけなくって。許可証もらうのに2500ドルかかって、ひとり面接するのに1万2千円。海外送金とか初めてやりましたよー。面接の費用はみずほ銀行に振込でしたけど」

−−面倒だなー。在日の大使館くらい日本語でよかろうに。

「面接自体も英語ですしね。家族とかグループ単位で呼ばれて。『何しに行くのー?』とか。『何演奏してんの?』『ロックバンド?え、ホント!』とか、結構フランクな感じで」

−−英語だけどムードはそんな雰囲気で。

「あと男性は『私は兵士ではありません』みたいな証明書を出さなきゃいけなかったですね」

−−軍歴ってヤツですな。

「面接も平日なんで2回に分けて受けに行って。そこでパスポート渡して、通ればビザが貼られて郵送で返ってくるんですけどエクスパックなんですよね(笑)。『雨降ったらどうすんだ!』って思いましたよ」


なんかその辺もアメリカぽいなあ‥「マイペースで大ざっぱ」っていうイメージの方のアメリカ。

こちらは会場バックステージにて。

やっとここまで完了して、書類関係は終了。あとは移動と現地に着いてからの準備だ。たとえば飛行機のチケット、ホテルの予約、レンタカーの手配。これもまあ飛行機の乗り継ぎ失敗するわ、レンタカーも日本の代理店と現地の話が食い違ってたりと、トラブルありつつもなんとかクリア。

ただ日本でライブやるのとぜんぜん違うなー、と思ったのがこのあたりの話。


「会場はレストランバーみたいなところだったんですけど、アメリカって会場にアンプとか機材がないんです。全部バンドの持ち込みで」

−−でもそこまで荷物は持っていけないでしょ?

「だから会場のマネージャーがコンタクトとってきてくれて『無いならこのバンドとシェアしてみたら?』ってアドバイスしてくれるんです。結局レンタルしたんですけど。業者に連絡して値切り交渉して(笑)」

−−英語鍛えられそうだなあ。

「あと日本と違うことっていうと‥会場が離れたところにあったんで、このままだと客が来ないかも、って宣伝活動したんです」


その「宣伝活動」の写真がこちら。

チラシ配りつつ路上ライブ!日本で言うチンドン屋風ですな。

さらに路上でも吹きまくり。たしかにコレは目立つ!

「旗とか前日の夜に手作りして。歩いてちょっと停まって(トロンボーン)吹くと人がワワーッと寄ってきましたね」

−−こりゃ目立つねえ。

「けっこういい宣伝になって、ライブも雰囲気すごい良かったですよ!アメリカ最高!ってくらい。とにかく分かりやすいんですよ(笑)。目ぇキラキラさせて『お前ら最高!』って盛り上がってくれて」

−−良いイメージのアメリカ人だな(笑)。

「同じホテルに泊まってた若者とライブ前日に話してたんですけど、その時は『日本ノビキニバンド?ハッハッハッ、観ニ行ッテヤルヨ!』って感じだったのがライブ翌日『オ前ラ最高ダ!』ってCD買ってくれたり(笑)」

−−言葉が違う人の心を動かすってやっぱ感動的だろうなあ。

「ミュージシャン冥利につきますね!日本で解散ライブやってたんで、心の整理はついてたつもりだったんですけど、アンコールが出た時は泣きそうになりましたし」

−−異国で最後の祭りをやりきった、て感じですかね。

「(解散について)心の整理してた、って言っても最後のライブってのがあったし、アメリカ行きについてのメンバーのやりとりや手配してるうちに太ももが嫌なもの、面倒くさいものになってくのが悲しかったんですよ。でも、それがキレイに楽しめて終われたのが良かったですね」


ちなみにさすが今時というか予想通りというか、そのSXSWの時のライブ映像が早々にYouTubeにアップされていて、それがこちら(1分40秒頃3人が登場)。途中からの米国人テンション、高っ!

−−あと何か「これやっときゃ良かった」「これ持って行けば便利だったろうな」ってあります?

「まずひとつは全員に海外で使える携帯持たせておけばよかったなと。あとはグッズをもっと持っていけばよかったと思いましたね」

−−TシャツとかCDとか物販用の?

「そうですそうです。そんなに売れると思ってなかったんで、おつりも用意せずにTシャツ20枚とか持って行ったんですけど結構すぐ売れちゃって。宣伝用に貼ってたポスターも『これ売ってないの?』って聞かれたりして」

−−大事な収入源ですからねー。日本価格そのままとはいかないでしょうけど。

「Tシャツが15ドルでそれなら(利益も)アリかな。あと帰ってきてネットの反響でわかったんですけど『カタコトの英語がかわいい』って書かれてたりして(笑)」

−−ああ、日本の外国人タレントでもちょっと言葉遣いがヘンな方が可愛く見えるもんね。

「ビビアン・スーっぽいのかなと(笑)。苦手でもバンバン喋った方がいいんじゃないのかなあ。海外でライブやる人は、もし流暢に英語喋れても、わざとカタコトなくらいの方がウケると思います(笑)」


ライブ終了後。やりきった!ってイイ表情。

「行った甲斐はありましたねー。ただ帰ってきても、休みとって行ってるだけに会社の中で『楽しかった!』って言えないのがツライですけどね」と話す、すず奴さん。金額を考えるとそう何度も行けるものではないけれど‥こういう潔い夢への投資、人生に一度くらいはしてみたいもんです。

そういえば迷ってるすず奴さんをお母さんはこう言って励ましたんだとか。

「お金を使うことがそんなに心配なの?一度結婚式あげて失敗して離婚したと思えばいいじゃない。アメリカかぁ。いいなぁ。羨ましい!」

そうだよなー、芸能人なんて今や美人ほどバツイチになってくんだもんなあ。結婚一回分より金額は安いんだし。と無理矢理ポジティブに考えて、迷ってる人はゴーだ!


いろんな意味で解放感あるよね。行けばわかるさ!

このステージ側からの一枚を撮るためにこんな苦労があったわけですな。

ふたたび目指すは海外!クセになります。

ちなみにすず奴さんは太もも解散後、「suzumiki」というユニット中心に音楽活動は継続中。当然「この2人でも海外行きたいな〜」と画策中だそうです。詳しくは太ももサティスファクションブログの方をご覧ください!ビキニの次はどんな衣装が!?と煽っておきましょう。


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