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フェティッシュの火曜日
 
電池を復活させる3つの方法


これ使います

実験1・携帯電話で何分話せるか

出先でバッテリーが切れがちなものといえば、ダントツで携帯電話だ。携帯でこの復活電池を生かしていきたい。

携帯はあらかじめバッテリーを切らしておいた。そこにアルカリ電池を使える充電器で電力を供給。その状態で何分間通話ができるか、比べるのだ。

ところで、いきなり電話で実験といっても、特に人に電話をかける用事はない。そこでどうせなら、最近連絡を取っていない知人に積極的にかけてみることにした。復活した電池の性能がよければよいほど、近況などたくさん報告しあえ、僕の人間関係が円滑になるという寸法だ。

 

まずはなにもしないで試してみる

復活電池の性能を調べる前に、まずは電池がなくなってからなにもしていない、復活させていない状態の電池で調べてみる。


取りだしたてほやほやです

空の電池と、旧友との対話

最初に電話するのは小〜中学校の同級生、K君。

K君は高校卒業後、東京の大学に行き、そのまま研究の道に進んで、去年から大学の助手(正確にいうと「助教」というポストらしい)になった。大阪の大学に通っていた僕が就職で東京に来るとき、なんどか家に泊めてもらったり、いっしょに部屋を探してもらったりと、なにかとお世話になった。それからお互い忙しくなって、最近は年に1〜2回会う程度だ。

最後に連絡を取ったのは半年前。たった半年とはいえ、それなりに積もる話もある。この心許ない使い古し電池が、二人の中を何分間支えてくれるだろうか。


電源入った!バッテリー表示は1
通話もできた!

久しぶりの語らい

なくなったと思っていた電池は使えたし、なんと通話もできた。話した会話はだいたいこうだ。

K君:「お、久しぶり」

石川:「久しぶり」

K君:「どうした?」

石川:「いや特に用事はないんだけど」

K君:「え、そうなの?」

石川:「いや、ほんとはサイトで携帯の電池がいつ切れるかの実験やってて」

K君:「あ、そうなんだ。どういう実験?」

石川:(実験主旨を説明)

K君:「どういう手順でやってるの?」

石川:「まず電池を使い切って、そこから冷やしたり温めたり…」プツッ


切れた

だいぶ端折って書いたけど、だいたいこんな内容で、話せた時間は4分強。ほんとうは近況などをきくつもりだったのだが、用もないのに電話したのが忍びなく、ついつい企画の説明をしてしまった。積もる話の消化率、ゼロ。

しかし実験の方法まで突っ込んで聴いてきたのはさすが研究者、という感じだ。


なにもしていない電池:4分17秒

 

 

 

保冷剤に包んで持参

冷やした電池と、大学時代の恩人

さてここからが実験本番。なにもしなくて5分なら、蘇生処置をすればけっこう長く話せるんじゃないだろうか。まずは冷やした電池。取りだすとすぐに、電池の周りに水滴がついた。かなりしっかり冷えているようだ。

ここで電話するのは、大学の同級生のYさん。彼女は同じ学部で、なにかと仲良くしてもらった。彼女がノートを見せてくれなかったらたぶん僕は大学を卒業できなかったと思う。

卒業後はSEをやっていたのだけど、結婚退職してからはいつのまにか仕事のためにフランス語を習いに行っていたり、そうかと思えば知らないうちにWEBのエンジニアをしていたり、いまいち近況のつかめない人である。この機会に、お互いの近況を知れたらと思う。


冷たいものがラップの中から出てくると、「なんかおいしそう」って思ってしまった。電池なのに
よし、電源ON!……あれ?

電源が入らない

どういうわけか、冷やした電池をセットしても電源が入ってくれない。冷蔵庫は電池をおいしそうに見せる効果はあったが、肝心の電力は復活させてくれなかった。ということは、あのマンガはうそか。あの野郎。(漫画のタイトルは忘れたので、あの野郎がどの野郎かわからないけど)


冷やした電池:0分

 

 

開けるとこんなことに。アチャー

温めた電池と、元同僚のメールアドレス

次は温め蘇生法。実はネット検索で調べたところでは、冷却よりも圧倒的にこちらが多数派であった。期待できるぞ。

しかしここで出鼻をくじく事態。毛布を剥がすと、なんと電池が液漏れを起こしていた。温めすぎた!

幸い液漏れは4本中1本だけだったようで、生き残ったうちの2本を使って実験を続行。

今回の電話の相手は、前の会社の同期、F君だ。退職して以来何年か会っていなかったのだが、彼が去年の12月に結婚。僕も2次会に呼んでもらった。その時に何枚か写真を撮ったのだが、メールアドレスがわからなくて、まだ送っていない。ずいぶん経ってしまったのでどうしようかなと思っていたのだけど、この機会にメールアドレスを聞こう。


見事な液漏れです
漏れてない電池を使って、電源ON……え、また?

やっぱり電源が入らない

電源ボタンを長押ししても、電話はウンともスンとも言わない。冷やしてもダメ、温めてもダメ。温度変化は電池をよみがえらせてくれないのだろうか。

電話がつながらないせいでF君のメールアドレスがきけなかったので、二次会の写真を送るのもまた先送り。ここまできたらいっそのこと送らないでいて、結婚10周年の日にでもサプライズ的に送ったら喜ばれるだろうか。それまで結婚記念日を覚えておかないと…、いやダメだ、そもそもアドレスわからないんだった。


温めた電池:0分

 

 

手のひらに挟んでこすります。30秒程度で効果があるとの噂

こすった電池と、山で撮ったビデオ

もうなんとなく先が読めてきたけど、念のためのこりの実験もやっておこう。

最後に電話するのはT君。小中学校の同級生で、最初に話したK君とも仲がよかった。この2人を含む5人くらいで、よく家に集まってパソコンでゲーム作ったり、ビデオカメラ持って家の裏にある山に探検ドキュメンタリー撮りに行ったりした。先進的といえば先進的な(いやなといえばいやな)子供だったと思う。

今は塗料メーカーに就職している。彼とも半年くらい連絡を取っていない。これまでの展開からいくとだいぶ実験の先は読めてきたが、できることなら、彼に近況など聞けたらなあ、なんて…ね…。


…はい。やっぱり入りませんね。

予想どおり電源が入らない

まあそんなことだろうとは思ったけど、やっぱりダメでした。電源が入る気配すら見せやしねえ。


どのくらいダメかっていうと、実験器具の上でテントウムシが交尾し始めるくらいダメ

こすった電池:0分

 

一応グラフ作ってみました

 

友達紹介コーナーか

見てのとおり、全然ダメだ。最初のなにもしていない電池がいちばん成績がよかったわけだが、僕の考察によると、あれはアルカリ電池の方ではなく、携帯自体のバッテリーに電気が残っていたのだと思う。

まずい、このままではこの記事、僕の友達紹介コーナーである。それだけはなんとかして避けたい。次のページでは別の方法で実験してみます。

 

 

 
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