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フェティッシュの火曜日
 
富山湾でホタルイカを捕ってきた

生で食べると寄生虫がいるので茹でて食べる

せっかくのホタルイカ、やはりここは生きたままで踊り食いといきたいところだが、事前に調べておいたところ、生のホタルイカは内臓に旋尾線虫という寄生虫を持っている場合があるらしい。

寄生虫を回避するには、十分に熱を通すか、一度冷凍してから食べる必要がある。


このままツルンといきたいけれど、この取材旅行はまだまだ続くので我慢。今日が世界の終りだったら、迷わず丸のみします。

綺麗に内臓を取り出せばお刺身にもできるらしいが、午前三時のアウトドアでそんな面倒くさいことはやってられないので、単純に茹でて食べる。そのためにわざわざガスコンロやら鍋やらを持ってきたのだ。


生きたまま沸騰したお湯で茹でるという海外だと逮捕されそうな料理法。今思えば、お湯に塩を入れるの忘れたな。 熱湯に入れると一瞬で白く色が変わった。30秒以上茹でれば寄生虫の心配はないそうです。

 

うまくない訳がない

ピンク色に茹であがったホタルイカを割りばしでつまむと、市販のものよりもフワフワとしていて、強くつまむと肝があふれだしてしまうほどに柔らかい。

ホタルイカといえば酢味噌なのだがすっかり忘れていたので、コンビニで買ってきた醤油をつけていただく。


柔らかすぎて、箸でつかむと内臓がはみ出ちゃう。

本当にうまいものって、肉でもマグロでもチョコレートでも、口の中ですぐに溶けてなくなってしまいがちなのだが、このホタルイカもそうだった。

その身は上質の和菓子のように柔らかく、噛むとはじけ出る内臓のほのかな苦みと甘みが口いっぱいに広がり、そしてすぐにこの世から消えていく。イカない。いや、はかない。

やはりホタルイカは内臓がうまい。


普通は口に残る目玉までもが柔らかく、噛んでもぜんぜん気にならない硬さなのにも驚いた。 「ウメー!」 もう笑うしかない味なんです。

捕ったばかりの生きたホタルイカを茹でたんだから、うまくない訳がないとは思ったけれど、予想以上にうまい。

埼玉のスーパーで買うボイルホタルイカもそれはそれでうまいものだが、これはもう別の食べ物。食感がこんにゃくゼリーとパンナコッタくらい違う。

その味に、寒さからではない鳥肌が立った。

単純に楽しかったです

ホタルイカ捕り、最高です。ふわふわと呑気に泳いでいるその姿、捕まえた時に青白く光る触手、茹でたてのその味わい。この発見、捕獲、食事という一連の流れの楽しさは、自分の好みから言わせてもらえば、世界で五指に入るレジャーだと思います。

生活に時間と金銭の余裕があれば、来年は最低二週間は富山に滞在して、身投げを待ちたいところです。でもそれはきっと無理なので、富山の方、来年ホタルイカの身投げが起こったらメールください。いけたらいきます。

せっかくなので沖漬も作ってみました。生きたホタルイカを漬けて持ち帰り、一度冷凍したもの。細胞がしっかりしている感じがします。当然うまい。

薄々はわかっていたのですが、自分は「なにか捕まえて食べる」という行為が本当に好きなんだなと実感させられた体験となりました。


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