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土曜ワイド工場
 
チェコの領収書用紙にぐっときた!?


大塚 幸代

「東神田にチェコ雑貨店が出来たので、そこで店番をすることになりました。『アジ紙フェア』というのもやっていますので、是非遊びに来てください」
というおハガキを、チェコ総合情報誌「CUKR(ツックル)」編集長、梶原さんから頂いた。

え、チェコ雑貨専門店…?
の、店番…? 
それも吉祥寺とか下北沢じゃなくて…神田??
ていうか、『アジ紙』って何だ???

…分からないことが多すぎる、と思ったので、梶原さんに逢いに、実際にお店に行ってみた。

東神田は、微妙な場所だ。秋葉原とか東京駅とか銀座とか、すごいところへもチャリ圏内なのに、徒歩だとどこへも遠い。
私は都営新宿線、馬喰横山から下車して向かった。アパレルの問屋街があって、服がとんでもなく安い値段で売っていた。「素人に売ってくれるのかな…」と眺めながら歩く。

こんなところに? という場所に、お洒落げなカフェがあったり…、変な雰囲気の場所であった。後できいたら、そのあたりは都市の空洞化なんたらで、町おこしのために、若いクリエイターに場所を提供したりしている、知る人ぞ知る一帯なんだとか。

そんなわけで、道に迷いつつも、なんとか辿り着いた、チェコ・東欧雑貨店、チェドック東京店。
本店は神戸にあるお店だ。


明るく広いフロアに、チェコ雑貨がいっぱい。

…で、何でまたお店のスタッフをやることになったんですか…? ときいてみた。
「ここでCUKRの作業をしながら店番をしているんです。でも実は、生活の変化に、とまどってるんですけどね…」

なにしろお店は、4月末にオープンしたばっかりだという。
ずうずうしく、レジ横のテーブルで、お茶とお菓子を頂きながら、話をきく。

「このへんって、変わった町なんですね」
「そうなんですよ、私も知らなかったんですけど、いろんなスペースがあるらしくて…。このビルにも、上はアパレルブランド、下には有名なドイツ雑貨店、レバノン料理屋、ギャラリーなんかがあって…、まだ町全体を把握出来てないんですけどね、一部では有名な場所らしいです」
「チェコ雑貨屋さんが神田に出来るの、不思議だなあって思ってたんですけど、理由があったんすね」
「『チェコ雑貨をみにいくぞ!』って気構えのあるお客さんがいらっしゃるから、説明不要というか、お迎えする側として楽です」
「ああ、『何すか、コレ? チェコってどこの国?』みたいに訊かれない、ってことか…、ふうむ。
マニア向けのショップって、分かりにくい場所、マンションの一室にあったりしますよね。私もマイナーなCD買いに行ったりするので、分かるんですが。そういう店ってだいたい薄暗いけど、ここは明るいし広いし、風も通っていいなあ」
「内装とかは、全部、スタッフで塗ったんですけどね」
「マジすか。いや、いいお店ですよ」

ぼやー、と商品を見る。確かに、下北沢や吉祥寺の雑貨屋さんのように、ポップでキャッチーな、絶対売れるものを厳選して置いてある…というよりも、いい意味で不親切というか、なんとなくハードコアな品揃えではある。
いや、可愛いもの好きな女子なら、萌えられるものだらけ、ではありますが。


チェコのキャラクター、クルテクものなんかは、ありえないくらい充実の品揃え。

「ところで『アジ紙』フェアって何ですか?」
「ああ、ここでやってるんですけどね…」



「チェコ・東欧の、味わいのある紙=アジ紙を、大阪にある『チャルカ』という雑貨店が集めているんです。その展示です。実際に売ったりもしてます」
「チェドックは神戸の店、チャルカは大阪の店なんですね。関西、チェコシーンが熱いですね」
「そうなんですよ、なぜか東京より盛り上がってて…。
あ、これがいま、人気があって売れている、チェコのハンバーガー入れです。」



「……可愛いけど、何に使えばいいんだろ、これ」
「他、いろいろみてみてくださいよ。色やプリントだけじゃなく、手触りとか風合いとか、面白いので…」


パン屋さんの袋。プリントされてるパンが、東欧風。

 

かわいい紙ナプキン。にわとりの形がいいなあ。

 

ビールなどのラベル。チェコは地ビールが多く、ビールの種類が多いので、集めるのは絶対楽しそう。

 

遠い国の人の書いた古ハガキ…、って、萌えます。書いた人は元気に暮らしているのかしら。

 

何かのチケット、もしくは荷物預かり票に使うもの。

 

左:お菓子の袋、右:カレンダー付きの袋。カレンダー付きの袋は、何に使うのかな。

私がいちばんグッときたのは、このチェコの領収書。色とか文字とか、ナンバリングしてあるところとか、よく分からないが全体的に何だかイイ! 「お品代」とか、どこに書けばいいのか分からないけど、イイ!私がお店にお邪魔している間、他雑貨店のかたが買っていかれたんですが…、実際に使うのかな?

 

これは「チャルカ」さんが、日本の包装紙使って、封筒にしたもの。色柄と、ペラペラ感がたまりません。

これは、「チャルカ」さんが、チェコの気に入った柄を、紙にプリントして、包装紙にしたもの。

「チャルカ」さんがぐっときたチェコの紙を使って、チェコで製本したノートブック、これが3種類あって、皆紙質が違うんです。手で触ると気持ちいいのです。

古本を表紙に使って作ったノートブックも。これもかわいい。

いちばんハードコアな商品は、この「チェコの薬袋」ではないでしょうか。大きさはポチ袋くらい。なんともいえない質感、あたたかみ感。実はレアなものだそう。

 

「すごいですね、アジ紙」
「これ、チャルカさんが、実は1冊の本にまとめて、発売したんですよ」
……見ると、みっしり、チェコ・東欧の紙について、書いてあった。

アジ紙-東欧を旅する雑貨店チャルカの、好きで好きで仕方のない紙のはなし(アノニマスタジオ刊)


うーん、すごい。
そこで、梶原さん、チェドックさんに紹介して頂いて、
大阪の「チャルカ」久保よしみさんに、メールインタビューを試みた。

---アジ紙というネーミングは、いつ思いついたのですか
お店を始めた直後です(10年前)。
東欧の質の悪い紙を「日本のつるつるの白い紙と違って、味があっていい紙やな〜」と言ってて、略してアジ紙となりました。

---自分のなかで、いちばん好きなアジ紙はどれですか(書籍内で紹介していらっしゃったら、ページ数で言って頂けると嬉しいです)
p112に載っているチャルカのオリジナル商品、『アジ紙の手紙セット』に使用している紙です。
(筆者注:薄い、本当に味わいのあるベージュ系の柄無しの紙。確かめたいかたは、本をお手にとってみてみてください)

---本文に、「当初、日本の包装紙で封筒を作って売っていた(それが雑貨店運営の原点)」「でも探したら、好きなもの(好きな紙)は東欧にあった」とありますが、
日本で現在入手可能なものの中で、 好きな「アジ紙」はありますか?(私は、文房具屋さんでノートなどを買うと入れてくれる、何か楽し気なイラストがプリントしてある、薄い紙袋が好きです)
パン屋さんの薄く透け感のある、白い紙袋が好きです。

---切手など、価値が既に決められてしまっているものだけじゃなく、自分がいいと感じたものに価値を見いだす、というスタイルがとても素敵に感じました。それに自分で値付けする時、どういうふうに考えてつけてらっしゃるのか、興味があります。どんな感じなのでしょうか。
えっっっと、どれぐらい好きかで値段は決めています。
どれぐらい好きか
同じような物に今まで出会った頻度
状態
売りたいか、売れなくてもいいか
こんなところで、さっくり決めています。

---チャルカさんが作ったノート等は、もったいなくて使いにくそうなんですが、何に使ったらベターなんでしょうか。おすすめを教えてくださると嬉しいです。
チャルカではよく、ノートを育てる、と言います。
お気に入りの物を持つ、使う、プレゼントすると、自分がなんだか気分良くなります。
具体的には仕事のメモ、打ち合わせ帳、アイデア帳 、自分で日付を振って(ハンコを押したりして)スケジュール帳として、日記として 、など。

……実はわたくし、「何かアジ紙のノート、買て帰ろうっと」と思って、棚の前に座り込んで、紙をさわったり、なでたり、していたのだが…。
なんだかもったいなくて、買えなかった。
別に高価なものではないのだけれど、こんなノート、使ってもいいのかな、というオーラを放っているのだ。
「……選べないです」
と言うと、梶原さんに苦笑いされた。

今度行く時は、育てられるノートを買いたいと思う。

チャルカ 
https://www.charkha.net/
チャルカ通販HP 
https://www.charkha-okaimono.net/

CEDOK TOKYO STORE(チェドック トーキョー ストア)
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ・竹澤ビル404
電話番号:03-6240-9500
営業時間:13時から19時まで
定休日:日曜、第2第4月曜
https://www.cedok.org/

取材協力:チェコ総合情報誌「CUKR(ツックル)」
https://cukr.net/


 
 
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