新宿に来たのはデパ地下めあて
椎茸パンであった母のパンは、小麦粉に全粒粉を混ぜて少し固めに焼き上げたプチパンに、×の形に2本のクープ(切れ込み)を入れたものだった。よくあるプチパンの形だと思う。
全粒粉やクープの具合といったパンの特長からして、どちらかというと街のパン屋さんというより、ハード系のパンが揃うような“ブーランジェリー(フランスのパン屋を指す言葉らしい)”なんていわれるようなお店にたくさんあるのではないか。
そう推測し、それならデパ地下が手っ取り早かろうと目を付けた。
まずは新宿や渋谷のデパ地下を巡り、これはと思うものを片っ端から買ってみることにする。
「キノコ」と呼ばれるパンの存在
その前にちょいと触れておきたいのが、そもそも「キノコ」と呼ばれているパンがあることだ。「シャンピニオン」である。
店ごとに形は微妙に違うもののコロッとした形に平べったい円形の傘が乗っかっているのが普通。シャンピニオンとはフランス語でまんまキノコの意味らしい。
フランスの方にはドンピシャなのかもしれないが、日本人の感性からするとこれがキノコかといわれると正直「?」だ。
このままフランス人の感性に「コノ パン ガ キノコパン デース!」と言わせておいていいのか! いや、よくない! 日本人が心から「これはキノコである」といえるパンは、やはり椎茸の形をしているべきなのではないか! |