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フェティッシュの火曜日
 
マグロ解体ショー開催、ただしぬいぐるみで


「マグロ解体ショー」に、なんとはなしに憧れる。あの大きく重いマグロを、そつなく各部位へと切り分けていくダイナミックなパフォーマンス。景気良く、その場が華やぎ、盛り上がり、演者は尊敬のまなざしを一身に受ける。だいいち、名前がいいじゃないか「マグロ解体ショー」。

私も、あれ、やってみたい。尊敬のまなざしを一身に受けたい、目立ちたい。しかしキロ何万もするようなマグロを1匹買って・・・なんて絶対無理だ。金も技術も問屋も許さない。さてどうする。

布と糸で作っちゃえばいいんじゃないか。そう、解体部位そのままにぬいぐるみを作って、実演だ!

と、簡単そうに言ってはみたものの―。

乙幡 啓子



たぶん最も関係ない築地見学者

マグロ解体ショーに「なんとなく」憧れる―と、冒頭で“なんとなく”と書いたのは、実は実際には解体ショーを見たことがないからなのだった。恋に恋する、ってやつですな。

なので当サイトのお魚ハカセ・玉置さんにお願いして、早朝の築地に案内してもらった。玉置さんお知り合いの「寿司清」さんに、マグロ卸しさんへと取り次いでいただいたのだ。ありがたいことです。

もちろん、卸しさんで毎朝毎朝「解体ショー」をいちいちやってるワケはない。日々商品を回していく中で、必然的に起こる「解体」だ。ショー、ではないのだ。しかしとにかくマグロ解体の様子を見たことがないので、まずはこの目で見てみたかったのである。

しかし取材に際して「ぬいぐるみでマグロ解体ショーやりたいんです!」との本意は言えなかった記憶がある。面目ない。


6時にやってまいりました、これも解体ショーのため。

いきなりマグロ、ドーン!

卸しの「大閣」さんにお願いして、お店奥の解体場へと入らせてもらう。お忙しいところ、ありがとうございました。そこにいきなりいたのが上のマグロさんだ。すでに尾を切られて、識別用の札をつけられて、台の上に横たわっている。大きさは、頭から尾のつけねまで、両手をいっぱいに広げたくらいでしょうか。

さて解体人の登場である。慣れた手つきで、水でザザッとマグロを洗ったのち、首元に刃を入れる。


ゴリゴリと刃を滑らす。
動きに合わせて撮影人も動く。
次はお腹をかっ開く。
半身をまた半分にかっ捌く。

やはり、単純に、大きいものは解体大変なんだなあとわかる。と同時に大き過ぎて、この目の前にある銀色のモノが魚なのかどうか、よくわからなくなってくる。でも食べたら非常においしい、あのマグロなのだ、もっとわからなくなる。理解の範疇を超えている。


相方登場。共同作業でございます。
肉塊となりしマグロを次々運び出す。
写真の上左部分が内臓の入ってた空間。他は食べるとこだらけだまったく。
頭隠さず尻も隠さず。ここも食べるとこだらけ。

卸しさんはこの肉塊を商うわけで、解体はここまで。寿司屋さん店頭やイベントなどで行われる解体ショーはもっと細分化していくのだろうが、ひとまず豪快にこのあたりまでをぬいぐるみ化して、私も早く解体ショーしたい。さっそく準備に取り掛かろう。


実際はこの3倍くらい布や綿を費やしました。とほほ。

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