なぜボールペンを読まないのか
そもそもリーダはいったい何を読んでいるんだろうか。まずはそこを聞いてみた。
「リーダは波長940nm(※)の近赤外線をセンサーから出して読んでいます。これが鉛筆に含まれている炭素に反応します。ボールペンのインクはこの近赤外線をほとんど吸収しないので読みません」(※nm[ナノメートル]、長さの単位。人間の可視光の範囲はおよそ波長380〜770nm)
なんと! マークシートは可視光ではなく、眼に見えない近赤外線でマークシートを読んでいたのだ。だから人間の目には同じ黒に見えても、目に見えない赤外線の吸収の仕方が違うボールペンは読まなかった、というわけだ。
じゃあボールペンは絶対にマークシートで使うことはできないのだろうか?
「いや、読むことはできますよ。センサーを標準の近赤外線のものから、660nmの赤色光に交換すれば、可視光で見えるものを読むようになるので、ボールペンでも鉛筆でも読みます」
なるほど。標準のセンサーを鉛筆に合わせているので基本的には読まないが、読むように機能改変もできると。ではなぜ可視光ではなく、鉛筆に標準を合わせているのだろうか。
「教育に使われることが多いマークシートは、答えを消しても書き直せる鉛筆が一番正確なデータを集められるからです。逆にアンケートなど、そのときに持っている筆記具を使えることが重要な場面では、可視光でマークを読むこともあります」
鉛筆は消して書き直せるから。なんだか当たり前のことを聞いたようで恥ずかしくなった。ただ、可視光でマークシートを読もうとすると、マークの記入用紙自体の印刷色に制限が出てしまうので、標準は近赤外線にしてあるとのこと。なるほど!
と、ひととおりマークシートリーダの基本を学ぶことができたところで、カテゴリ1の結果をまとめたいと思う。 |