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土曜ワイド工場
 
カツカレー焼きそば紀行


大塚 幸代

山の中を走り抜け、
田園の街へー。

会津には「カツカレー焼きそば」なるものがあるー。
それは、当サイトの投稿コーナー(ここ)で知った。

なんてダイナマイトなルックス!
そそるフォトジェニック!!
興奮した。

地元の人はフツーだと思っているけど、よその人からすると「変わっている」と思うもの、それがB級グルメだと思う。
今、B級グルメは発掘されつくされ、町おこしのために、捏造までされている状態だ。
でもどこかに、まだひっそりとあるはず、と思っていた時に出会ったのが、この素晴らしい「カツカレー焼きそば」であった。

「で、そういうものがあって、食べに行きたいんだよね。でも調べたら、車で行かないと行けない場所に、お店があるんだよね…」
と、運転免許のある友人にいってみたら、
「んー、運転しようか? 高速が1000円になったことだしさ」
との返事。やった!
この話を他の人にもしてみたら、「面白そう、私も行くー!」というモノ好きがあらわれ、なんと総勢6人になった。
各自のスケジュール事情により、「日帰り」ということになった。福島まで、行き5時間、帰り5時間運転の強行軍。
大丈夫なのか? と思いながら朝4時起床で待ち合わせる。
都内から、北上。
「どんな味だろね」
「まあ、とんかつ、カレー、焼きそば、全部おいしいものだから、食べられないことはないと思うけど」
「ふーむ…」


一件目の目的の店は、田園の中にあった。
店の隣は、休ませている畑で、クローバーが咲き乱れていた。花の匂いがした。
想像していたよりも、もっともっと、緑あふれる場所。
周囲に競合店はおろか、民家すらほとんどない。
何だ、このものすごくいい景色は…。


遠くに山がみえる。

でも、お店の名前は「印度カレー食堂」。


印度カレー食堂
福島県河沼郡会津坂下町大字合川字場化1462-2

いろんな意味で、唐突過ぎる。

中に入る。熟年のご主人とおかみさんとが、二人で切り盛りしていた。
地元の方らしきお客さんが、普通に「カレーライスとカツカレー焼きそば!」と、頼んでいた。
さっそくメニューを見る。


あるある、あるあるある、カレー関係メニュー。

「どうしようか?」と皆で話し合う。

食べ歩きするためには、ここでがっつり、6人前頼むわけにはいかないので、
なるたけお店の迷惑にならないように、カツカレー焼きそばと、カツカレーチャーハンなるメニューと、ドリンク類4人分を頼んだ。
お店のかたは嫌な顔をしなかったが…。

カツを揚げる音がして、しばらくすると、完成品が出て来た。


これが! カツカレーやきそば!

そしてカツカレーチャーハン!

皆がデジカメをかまえた。思わず撮らずにはいられないルックスだ、2つとも。

わけわけして食べてみる。

「麺が太いね」
「喜多方ラーメンの麺なのかな?」
「それに近いのかもしれないね」
「カツがカリッと揚がってるねえ」
「焼きそばのほうは、キャベツともやしが入ってるから…、カレーとキャベツともやしのハーモニーっていうのが、新鮮かも」
「カレーチャーハンは、ほぼカレーライスだね!」
「カレーの味は全てに勝るね…」
「うーん、全部がハイテンションな味だから、カツを食べてると安心するね。カツが箸休め、的な感じ」
「カツが箸休め、ってすごいよねえ」
「でもここ、カレー自体が美味しいよ。インドカレーの味ではないけど…」
「家庭の二日目のカレーを、もっと美味しくした感じ、かなあ」
「まあでも、両方とも、想像より食べやすい。なぜか違和感はないね」
「そうだねえ、食べられるねえ」
あれこれ言いながら食べる。とにかく初体験だから、慎重に味わう。
結果、やきそば支持派とチャーハン支持派、半々に分かれた。
ま、両方美味しかったということだ。
「ここのカレー美味しいから、白米にかけて食べるともっと美味しいんじゃない?」
と、企画的にだいなしなことを言う人もいた。まあ、そうかもしれないんだけど。


意外とスイスイ食べることが出来て、あっというまに完食。

「こういう所で、こういうお店やって生きていくのも、いいかもしれないなあ…憧れるなあ」
と友人が言った。
確かに、不思議な雰囲気の店だった。良い景色の中、何故ここに一件だけあるのか、何故印度カレーなのか、客はどこから来ているのか、よく分からなかったから。


もっとカツカレーやきそば食べます。 >
 

 
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