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はっけんの水曜日
 
水族館"片隅ツアー"への招待


動物園や水族館に行くのは楽しいものだ。かわいい生き物を見れば和み、珍しい生き物を見ては驚愕し、やはり地球には人間以外にこんなに生き物がいるんだ、人間だけのものではないんだ地球は!という認識を新たにする。

いやそこまで熱い気持ちになることはないが、特に水族館。動物園もいいが、水族館は生き物をより近くで感じられるというメリットがある。それにこれからの季節、涼しげなので より魅力的。

そんな水族館の、新しい楽しみ方を今日は提案したい。主役ではなくひたすら脇役を見つめ続ける「水槽の片隅ツアー」である。生き物を間近に感じられる水族館、ならではの楽しみではないだろうか。しかしいったいそれは楽しいのかどうなのか?いや楽しいに決まっている!

なぜならば、そんなツアーに同行してくださるのは、あの「へんないきもの」シリーズですでにおなじみ、作家の早川いくを氏だからである。無駄に豪華なゲストを迎え、片隅ツアー、スタート!

乙幡 啓子



しょっぱなのページはほぼウツボの話です

というわけで、本日のゲスト、早川いくを氏である。


潮風が心地いいぜ、というようなポーズをとっていただいた。

思えば私が「へんないきもの」を書店で手に取り、その面白さに思わずレジに直行したのは5年も前。なのに今頃こんな企画にひっぱり出してしまって申し訳ない、と思いつつも、この企画にはぜひお連れしたいと思って声をかけさせていただいた。

逆に、「それならば“えのすい”がいいのでは」とおすすめいただいた。ありがとうございます。
では参りましょう、新江ノ島水族館へ、江ノ電に乗って!


相模湾沿いの絶好のロケーションにえのすいはあります。
今日はこちらには見向きもしない予定です。

私は新江ノ島水族館は初めてである。ここ“えのすい”の名物といえば、高さ9m・容量1000トンの「相模湾大水槽」や、「クラゲファンタジーホール」、「深海コーナー」に「イルカショー」など華々しいものばかり。他にも、趣向を凝らした展示やイベントが目白押しであるようだが、今回はいっさいそれら本道には触れず、ただひたすら隅っこをゆくのだ。

入館後、まっさきに目に付いた例の大水槽。しかしその隅っこも隅っこへと寄ってく私たち。早速早川氏が声を上げる。

「トラウツボです」

ウツボですかー。早くも「隅っこ道まっしぐら」な展開である。


ほら、こんなんなってますよ!うれしそうである。
・・・で、背に乗ってる仰向けの魚は?

早川(以下「早」) ― これ、エサのいわしが背中に乗っかってるんだけど、見向きもしないんですよ。
乙幡(以下「乙」)― で、こっちに向かって何事かを訴えている、と。ウツボってそう見えがちですよね。
早 ― あのトラウツボが体を収縮させると、それに合わせて背中のイワシが「トン、・・・トン、・・・」って、そばの岩をたたいてますよね。
乙 ― 民具みたいだ。ずっとそれを繰り返してますね。エサなのに食べようとしないで、ずっとこっちに何かしら訴え続けてる。
早 ― この意味不明な感じが、なんとも。

 

この調子で4ページ続きます

乙 ― 早川さんって、やっぱり普段から水族館にはよく来たり?
早 ― いや、まあふつうの人と同じくらい、ですかね。
乙 ― 水族館、見るならここが好き!ってところありますか?
早 ― 昔は意識してなかったけど、無脊椎動物でしょうかね。キレイな魚とかは、スルーしちゃうかな。


トラウツボからまたさらに隅っこに目をやると・・・
ここが好きなのか。

隅っこだ!なぜその隅っこに行くかな。

人間と同じように、やはり個体の中でも変わり者はいるのだろう。他の者はふつうにそこらを泳いでいるというのに、縦になってまでこの際どい場所にたたずんでいたいのか。
そばを泳ぐ仲間も、なんとなくそばにいたそうな、一緒になってここに入りたそうな感じで横目で見ている。魚だからまあ全員横目なんですけどね。


擬態するツバクロエイ。
微妙に左右非対称なのが気になっている早川氏。

たまにでかいエイとかがふらーっとやってきて、たまげる。


早 ― ・・・ここでね、またさっきのトラウツボを見てみるんですよ。
乙 ― やっぱりおんなじことやってる!


誰も気に留めない。
変わらず訴えかけてくる。

この際、動画でもこの わからなさをご確認下さい。


早 ― 他の魚があんなに近づいてるのに何もしないですね。この3者・・・まったくお互いに無関心な感じがまた・・・1匹は死んでるけど。
乙 ― 彼はほんとに何してんだ。いつまでこうしてるんでしょう。
早 ― たぶんすっとこうしてるんでしょう。

早 ― ここの水槽にこんなにかじりついてるの、我々だけですね。
乙 ― こんなにかじりついてりゃ、魚も本望ですね。
早 ― トラウツボは、何かいつも訴えてるんですよ。
乙 ― 懇願調ですよねいつも。ひたむきささえ感じます。
早 ― 穴に入る習性があって、土管をすえてやると皆が皆、そこに入ろうとする。
そいつらが穴から顔を出していっせいに何やら訴えてる様は、まるで労働争議みたいです。


別水槽のマアナゴ。この長い生き物も、同様に穴に入ってなにやら争議中か。

他の来訪者と微妙に違う視点で、観覧は続きます。まったりとお楽しみ下さい。


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