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はっけんの水曜日
 
人面石を鑑賞しよう

石にもドラマあり!

これまでは有名人などに似ている「そっくり人面石シリーズ」を見てもらいましたが、その他に、人面石にシチュエーションの説明を添えた「ドラマチック人面石シリーズ」というのもあるのだ。

どういうことかというと


ワッハハ、何を言ってるんだい

まあこんな感じで、人面石の表情からシチュエーションを想像していくというもの。


子供を抱いているお母さんです

確かにそういう風に見える! 白と黒とのコントラストが、なんとも叙情的な気分を喚起させてくれます。


この酒はうめえ酒だ、飲みすぎて青くなったり赤くなったり

なんちゅうすさまじい酔っぱらい方。でも僕も、しこたま酔うとこのくらいの顔色にはなります。


さて、突然ですがここでクイズです

これはどういうシチュエーションの顔なんでしょうか!? みんなも想像してみてね。

僕の予想。え〜っと、えーっと……「ものすごく眠くてウトウトしている人」! これでどやっ!?

 

<正解>


今になって好きだったと言われても仕方ないわ、なんで一人者の時に知らん顔をしてたのよ

おっちゃん曰く

「何年ぶりかに再会した男から『あの頃、君のこと好きだったんだ』なんて言われたけど、今更もう遅いわよ、もう私には旦那さんがいるの。私だってアナタのことを憎からず思っていたのに……、どうして私がひとりで寂しい思いをしている時に好きだって言ってくれなかったのよ!」

……と、軽蔑した顔をしている女性の顔、とのこと。

う〜ん、そこまでの発想はさすがに出来なかった! でも、そう言われてみると、そういう風に見えてくるから不思議。人面石鑑定の道はなかなかに険しい。

つづいて、どっちかというと「そっくり人面石シリーズ」に属するのだと思うけど、僕としては一番ドラマを感じた人面石


ロシア娘・ナターシャ

芸能人や歴史上の人物に似た人面石の中にポツーンと置かれていた聞き覚えのない名前のロシア娘。「こういう有名な人がいるのかなー?」と思っていると

なんと終戦後、おっちゃんが捕虜としてロシアに収容されている時に出会った少女なんだそうな。

「色白で、えらい美しい人でねぇ……あんな人と一緒になりたかったなぁ……」

と、遠い目をしながら語るおっちゃん。確かに白くてつるつるした綺麗な石です。

「まあ、今はこうして石のナターシャと一緒に暮らせているからね」

そこまで人面石に思いを込めているとは……まいりました!

 

もう、石が気になって仕方がない

それではつづいて、

「この石はちゃんと写真を撮っておいた方がいいよ!」

と、おっちゃんがイチオシしてきた人面石!

この石には「神童」と名前が付けられている。確かになんとも神々しい雰囲気!

直径30センチほどもあり、かなりインパクトの強い人面石! これはスゴイ!

50年以上前に、当時の月給分くらいのお金をつぎ込んで買い取った、おっちゃんがはじめて手に入れた人面石なんだそうだ。

もちろんコレも人の手は加えられていない自然のままの石。二種類の材質が混ざり合った石の中に、貝の化石が埋まっているんだとか(目と口の部分)。

ふぇー! こんな石がその辺に落っこちてたらビックリするなぁ。

最後に、根本的な質問を……

「面白いじゃん」と思いついてチョロッと変な形の石を集めて……という人は結構いると思うけど、そんな思いつきを50年以上も継続して、これだけの量を集めてしまう(さらに博物館まで作ってしまう)人は他にはまずいないでしょう! すごいよ、おっちゃん。

「自然ってのは面白いよねぇ、こんなふざけた形の石を作っちゃうんだから。ここにある石、ひとつも同じ顔はないからね」

……確かに面白いと思います!

その気になって見なければただの石ころにしか見えない石たちだけど、いったんその気になると、どれもこれもちゃんと顔に見えてくる。

帰り道に見かけた


こんなところや……

あんなところも、もう気になって仕方がなかった

本気のコレクターはやっぱりスゴイ!

今まで変な石を集めるなんて「おバカな趣味」だと思っていたけど、どんなことでも長年に渡って本気で取り組んでいる人には妙な説得力が出てくるもんだなぁと思った。

おっちゃんは、とある中国人から「一億円でこの石たちを全部売ってくれ!」と頼まれたことがあるそうだけど、「明治時代に浮世絵や鎧、刀など、日本の誇る芸術が外国にどんどん売られてしまい、今は国内にあまり残っていない。同じようにこの石も日本の芸術なんだから外国に売るわけにはいかない」ということで断ったんだとか。……い、一億円を!

でも確かに、ただの変な石ころも、これだけ集めれば芸術だ! 是非ともいつまでも守り続けて欲しい。

こんな石を見つけたよ。か、かわいい!

●秩父珍石館
埼玉県秩父市上影森 764-6
【電話】 0494-22-5382
【開館時間】春・夏 9:00〜18:00  秋・冬 10:00〜17:00
【休館日】毎週火曜定休(火曜祝日の場合は開館、翌日休館)
【入館料】大人(高校生以上)400円  子供(中学生以下)200円
https://www.din.or.jp/~chinseki/

※基本的に館内は撮影禁止です、今回は特別に許可を頂いて撮影しました


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