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フェティッシュの火曜日
 
「ヘキサで20代。」業界別 定番ジョーク集


建築編

 

足の裏の飯粒 (建築設計)

「建築士の資格なんか、 足の裏の飯粒だなあ」
「それはなんですか?」
「取らないと気持ち悪いけど 取っても食えないってことさ」

資格がないと仕事ができない医者なんかと違って、建築士は『受験資格に実務経歴が必要』です。つまり最初はみんな無資格、就職してから資格試験を受けます。でも、資格がなくても実務には影響ありません。だからこういう会話が伝統になってるんだと思います。  -- (natsu さん)


 なんと、ハンドルネーム「おじさん」から、博士号に関するジョークとして同じ内容の投稿をいただいています。どちらがオリジナルかわかりませんが、他業界に伝染したケース、興味深いです。

 

 

コンクリートに埋める (建築会社)

たちの悪い失敗や寒いギャグを言うと、「コンクリートに埋める。」と脅されます。
それから、生ビールのジョッキや焼酎グラスを、一人で2つ並べて飲むことを「2台付け」といいます。

2台付けというのは、土を掘るときに、1台のパワーショベルにダンプカーが2台並んで待ち構えている状態のことです。 -- (しら さん)


 同じ建築関係でも、現場となると迫力が違います!2台付けのほう、自分=パワーショベル、ジョッキ=ダンプカーって、こんなパワフルなたとえ、なかなかないですよ。

 

 

 

あいつはカラスだ (建築業)

鳶職人さんが手際が悪かったり、ミスや怪我などをすると
「あいつはカラスだ」
と言われる。

建築現場では鳶職人さんは花形らしいので、いろいろ技術を持っていないと、「鳶職人じゃない」という意味で「カラスだ」と言うそうです。最初聞いたとき、まったく意味が分からず黒っぽい作業着を着てるからか…と勝手に解釈していました。 -- (mogo さん)


 ○○じゃないから××っていうパターン、よくありますよね。トンビじゃないならタカでは、と一瞬思ったのですが、それじゃランクアップしてるからダメなのか。

 

 

お金・法律編

 

指の指紋が無くなっちゃうよ (経理)

指の指紋が無くなっちゃうよ(景気がいいときの口癖)
危なくなったら俺すぐ逃げるからね。(経理部の特権)

飲みに行くたび全部聞きます。 -- (新野 さん)


 10個くらい書いていただいたのですが、独断でふたつ選ばせていただきました。どちらも会社のお財布事情が手に取るようにわかる、経理部ならではです。

 

私に言われればタダですよ (税理士事務所)

お客さん「おまえ、税務署みたいに指摘が細かいな〜」
わたし「いや、税務署に言われると税金かかりますけど、私に言われればタダですよ」

お客さんの帳簿を見ていて問題がありそうな時、内容を指摘するのですけど、それが細かいとよく言われます。そんな時によくこの言葉で返すと、結構うけてくれます。 -- (ばにっと さん)


 不満をシニカルなユーモアで切り返す、大人の会話術の見本みたいな定番ジョークです。この一本で僕は「税理士=大人の仕事」のイメージになりました。

 

大晦日に生まれた子どもは親孝行 (法律事務所)

「大晦日に生まれた子どもは親孝行」

年末調整や確定申告の時期に聞くジョークです。所得税の扶養控除が12月31日時点の人数で決まるため、1日しか扶養していないのに1年扶養したのと同じ控除が受けられるのです。 -- (teisi さん)


 専門知識に裏付けられたジョーク。こういうのをさらりと言われると「かっこいいなあ」と思うのですが、実は定番ネタだったのか。くそう。

 

その他編

 

きったはったの商売 (高校教諭)

「教師はきったはったの商売だから」

生徒に宿題プリントを作る時に、よく参考書をコピーして必要な問題だけ切り抜き、一枚の紙に貼り付けて作成していたものでした。今よりも、パソコンの普及率が低かった時代の話です。 -- (ぱり丸 さん)


 ちなみに一般的な「きったはった」の意味は、「切ったり殴ったり、乱暴なことをする」です。教師のイメージとのギャップがおかしいです。

 

JIS丸めなら、まだハタチ (環境調査/環境分析)

環境分析業界の女性が25歳になり年齢を気にしてひとこと。
「私、来週の水曜日で25なんだあ。四捨五入すればもうアラサーだよ」
「大丈夫。JIS丸めすればまだ20だから」

JIS丸めとは端数の丸め方の一種。いずれにしろ25.2歳(25歳と2ヶ月と13日)を過ぎればアラサーになってしまうのですが。変形として、「アラフォーにおびえる未婚の先輩」「40の声が聞こえる上司」にも使っていました。 -- (小栗ともこ さん)


 2ヵ月半だけ夢を見させてくれる、ロマンチックなシステムですね。JIS丸めは難しくて、説明を読んでもよくわかりませんでした。(計算方法はこちら) 。

 

なくなったよ (介護)

「佐藤さん(の予定)なくなったよ。」
「え、どっち?」

「なくなる」は亡くなるだと自動的に思ってしまいます。
この手のジョークが軽く出てくる、大笑いできるくらい達観してないと、介護の仕事はやれないし向いてない。 -- (うひゃ さん)


 現場の空気感が現れていて好きなジョークのひとつです。ジョークのむこうにおおらかな性格が透けて見えますね。

 

緑膿菌育てよう (臨床検査技師)

「緑膿菌育てようか。」

病院の検査室で、血液などの検査をしています。扱う検体は血液だけではなく、尿や便もあります。物が物だけにアンモニア臭がすごいことがあります。緑膿菌というのは、細菌検査用の培地で育てるといい香りがする細菌で、職場の清涼剤となってくれると思うのですが。 -- (なめこ さん)


 門外漢にはさっぱりわからないジョーク。ここまでわからないとすがすがしいです。せっかくなので詳しく聞いてみました。


検索したところ、緑膿菌はこんな感じでした

今回はメールインタビューです

臨床検査技師インタビュー・「とろみつけようか?食事はミキサー食でいい?」

石:緑膿菌のいい香りってどんな香りですか?

なめこさん(以下、な):お線香のような香りがするんです。培地によって変わってくるとは思うんですが、私が嗅いだのは血液寒天培地か、BTB寒天培地だったかと。あと嗅いだことはありませんが、NAC寒天に生えた緑膿菌はビジュアル的にきれいです。

石:普段はどこにいる細菌なんでしょう?

な:自然界に広く分布しているものですが、ひとつあげるとしたら子供の青っぱなですね。あの色の正体は緑膿菌です。嗅いでも線香の香りはしないでしょうけど。

石:職場では培養していなかったんですか?

な:細菌検査には専用の検査室が必要なのですが、私の勤務する病院には細菌検査室がないので。

石:ほかに検査にまつわるジョークってありますか?

な:検査ではないんですが、前職の老人ホームでも業界ジョークがありましたよ。「とろみつけようか?食事はミキサー食でいい?」というものです。

石:どういうことですか?

な:人間、年をとると物が飲み込みづらくなって、むせやすくなります。その場合は、水を飲むときに飲み込みやすいようにとろみをつけたり、食事はミキサーにかけたりするんです。で、職員が何かの拍子にむせたり咳き込んだりすると、「とろみつけようか?食事はミキサー食でいい?」と飛び出しますね。これはもう「聞き飽きた」レベルの大定番です。

石:どうもありがとうございました。

 

塩ひとさじ増やす頃合い (専業主婦)

(旦那に酷い仕打ちをされた時の井戸端会議)
「そろそろ旦那の汁碗だけ塩ひとさじ増やす頃合いかしらねー」

長期戦です。 -- (うめざくら さん)


 一言だけ書き残されたコメントに恐怖を感じました。

 

店員を呼ぶときに『おねがいしまーす』 (キャバ嬢)

「この前居酒屋で店員を呼ぶときに『おねがいしまーす』って言っちゃったよ」

キャバクラでボーイを呼ぶときは「すいません」ではなく「お願いします」と言います。キャバ嬢が一度は経験することです。 -- (ドライマンゴー さん)


 あるあるネタ。先生を「おかあさん」って呼んじゃうのの大人版ですね。

 

 

そこんとこ笑っといて (学生・舞台関連)

(舞台の仕込中、新人にむかって)
舞台監督「おいおまえ、そこんとこ笑っといて」
新人「?・・・は、はっはははは」
皆、爆笑

舞台関連というか、業界には隠語が非常に多いです。そのなかでも、初回の授業で教授が、学生に向かって確実に言うジョークです。

「笑う」というのは、「○○を片付ける、撤収する、どかす」という意味です。用法としては、『そのスカート、早く笑って奈落に落としといて』という感じです。スカート=セットの補強材などを隠すパネルや幕。奈落=舞台の下にある地下室。 -- (ハルキ さん)


 新人の通過儀礼みたいなものでしょうか。隠語の宝庫のような舞台業界。もっと詳しく聞いてみました。


他にも30個くらいききました

「殴り」

舞台関連学生さんインタビュー・「そこのクギ、殴りで殴っといて」

石:舞台用語にはほかにどんなのがあるんですか?

ハルキさん(以下、ハ):たとえば、「殴り」とか。トンカチのことです。「トンカチでそこのクギ打っておいて」というのは、「そこのクギ、殴りで殴っといて」みたいな。

石:ぶっきらぼうな感じが、いかにも業界用語っぽいですね。

ハ:あとおもしろいのは「セッシュウ」ですね。身長を水増しするために台に乗ることです。昔ハリウッドで活躍した日本人俳優で早川雪舟という人がいたんですけど、その人が身長が低くて、現地の女優さんと釣り合わなかったんですよ。それで踏み台に乗って演技をしたのが語源です。まだアメリカでも通じるのではないでしょうか。

石:おお、そんな形で後世に名を残すとは、名誉なのか不名誉なのか。

ハ:あとは「打ち上げ」。

石:終わったあとの飲み会のことではなくて?

ハ:一般にはそう使われてるんですけど、元々は舞台用語で「千秋楽」と同じ意味なんですよ。最終公演のことです。それがどこかで撮り違えがあって、そのあとの飲み会のことだと思われてしまっているのだと思います。

石:なるほど、いろんな業界用語があるんですね。

ハ:現場に出るまでには覚えておかないと、後々恥ずかしい思いをしますね。とはいえ初回の授業でいきなり言うのは悪い冗談だと思いますけど。

石:恥は冗談で済むうちにかいておけ、ということですね。どうもありがとうございました。

 

アルプス (ミュージシャン)

クラシック音楽業界ではギャラが安い仕事を「アルプス」と呼びます。

アルプス一万"弱"なんで。 -- (まつ さん)


 これ、うまいなーと思いました。しかし雄大なアルプス山脈も、業界が変われば安いギャラの象徴になっちゃうんですね…。

 

バベルフィッシュにかけちゃえば (翻訳業)

「いいんだよ、そういうのはバベルフィッシュにかけちゃえば」

悪い条件で翻訳を依頼された翻訳者数人から聞きました。自虐ジョークの部類だと思います。 -- (エキサイ子 さん)


 バベルフィッシュというのは機械翻訳のサイトです。それでお金がもらえるのなら僕も…って冗談なんですよね。

 

次のページからは、特に投稿の多かった業界2つを、1ページずつご紹介しようと思います。まずは研究者(学生含む)の業界(?)です。

 

 

 

 
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