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はっけんの水曜日
 
東京で美味しい餃子を食べ歩き
餃子にはやっぱりビール。昼間から飲んじゃったよ!


友人のKさんは餃子が好きだ。餃子以外の大概の食べ物も好きだそうだが、中でも餃子が好きなのだという。どこかの街に用事があれば事前に餃子屋を調べて寄って食べてくるのだそうだ。餃子ハンター。

今回はそんな餃子ハンターの友人と一緒に六軒のお店を廻って餃子を食べてきた。その記録をご覧下さい。

松本 圭司

二児の父。重そうな体してクライミングではガリガリ登る。筋肉の塊の武闘派クライマー。

では、先生よろしくおねがいします

今回のゲストは餃子先生のKさんです。Kさんはクライミングの師匠であり、かれこれ4年の付き合い。

松本(以下松)「よろしくお願いします」

Kさん「どもども」

松「最初のお店は西巣鴨の『華興』ですか」

Kさん「ここはナンジャタウン(※)の餃子スタジアムにも店を出してるんだけど、ナンジャタウンが出来てからずっと変わらず出店してるんだよ。人気があるからいつも行列。でも西巣鴨の来れば並ばず食べられるんだ」

松「それは楽しみだね」

※・・・池袋のサンシャインシティにあるテーマパーク。餃子スタジアムとかスイーツなんとかとか、食べ物のテーマパークが多い。


お店の外観は普通の中華屋さん。特別な雰囲気は薄いのだが

一軒目西巣鴨『華興』

華興は中華料理屋さん。都営地下鉄西巣鴨駅から歩いて5分くらいのところにある。人気店と聞いていたので昼時は行列でもできてるのかと思ったらそんな事はなくやや拍子抜けした。店内のお客さんも三グループほど。

テーブル席に座ると早速注文。

Kさん「華興餃子と円満餃子、それからビールください」

華興はナンジャタウンの餃子スタジアム内でも人気が高く、2008年には売上躍進度でNo.1になったそうだ。これは最初の店から期待できる。

大根のお通しを食べながらビールを飲んでいると華興餃子が運ばれてきた。


華興餃子500円5個


丸い餃子って珍しい。5個500円なので1個100円の計算。今回も壁紙付き。自由に使って下さい。

丸い形の華興餃子。汁が凄いので最初の一口は注意。

華興餃子は丸い形と厚めの皮が特徴。具は玉ねぎ、ニラ、白菜、豚肉。皮のモチモチ加減が素晴らしい。皮を厚くするのは肉汁を閉じ込めるためで、肉汁袋と言って良いほどの汁っぷり。


断面写真。書きながら思うよ。また行きたい、って。

松「あつっ!凄い汁だね、これ」

Kさん「皮も厚いでしょ。これだけの厚みがあるとなかなか火が通らないと思うんだよね。焼く前に蒸してるんじゃないかな」

松「そうなんだ。たしかに厚いのにちゃんと火が通ってるね」

熱い熱い言いながら華興餃子を食べていると円満餃子がやってきた。


円満餃子500円4個


独特の包み方の円満餃子。中には海老が一尾入ってます。1個125円。

円満餃子の美味しさは本物。食べた瞬間、これまで食べてきた餃子と違うなと思った。

餃子も恋も理由はない

具にエビが一尾入っている。他には卵、ニラ、豚肉、白菜、春雨などなど。食べ物の味を表現するのは割りと得意だと思っていたのだが、上手く説明できない程美味い。単に「美味い」って書くのは全然説明になっていないので食べ物記事では御法度なのだが、すみません、美味いとしか書けない。まだまだ修行が足りませんね。

松「これは凄いね。全然説明できないけど美味いよ」

Kさん「美味いっしょ。ナンジャタウンの人気投票で一位取るのもわかるでしょ」

松「うん、わかるわかる。でも味を説明できないし具もよくわかんない」

Kさん「いいんだよ、そんなの。餃子とかB級グルメは、がっと食べてビールをギューと飲んで、『美味い!』でいいんだよ。理屈や分析なんていらない。食感と匂いで食べるものだしね。恋に理由はないのと同じだよ」

松「あ、なんか名言っぽい事言った。餃子の話なのに」

とにかく凄い餃子だった。ビールを飲みながらここで餃子を食べ続けたい気もしたけど、それじゃ記事にならないので移動することにした。次は蒲田の二店です。


赤い看板が目立つホワンヨン。店内は結構混んでました。

二軒目蒲田『歓迎(ホワンヨン)』

二軒目は蒲田の歓迎と書いてホワンヨン。蒲田は餃子の聖地と呼ばれているほど餃子屋さんが多いそうで、ホワンヨンはその中でも人気が高いのだそうだ。

Kさん「羽根付き焼き餃子と水餃子ください」

松「羽根付き?」

Kさん「そう。焼き餃子の上に小麦粉と片栗粉で出来た、パリパリの羽根が付いてるんだよ」

店員さんはほとんど中国人。みんな中国語で会話してて、注文を取るときは片言の日本語。雰囲気がありマスネー。


羽根付き焼き餃子300円6個


確かに羽根付き。どうしたって多い日も安心とか書きたくなるオッサンの性。1個50円と激安。

羽根部分はパリパリ。皮は手作りっぽい厚さでもムチムチ。

6個もあって300円だ。餃子の王将に匹敵する安さ。見た目のインパクトで羽根に目を奪われがちだが、注目は皮。手作りで不揃いの皮は厚くムチムチ。焼き餃子はムチムチとカリカリの二つの食感を楽しめるのが美点。裏を見ると餃子特有のヒダが無い。これはKさん曰く、

Kさん「ヒダの隙間から普通は水蒸気を逃がすんだけど、これは水蒸気も逃がさないようにピッタリ閉じているんだね。その為に水分が外に出なくて汁が多い餃子になっているんだ。これは水餃子の作り方で、ここの餃子は水餃子用に作った物を焼いて出してるんだな」

具は生姜、白菜、肉、かな(ネット情報によると15種類の漢方薬入りだそうだ)。中国餃子は本来ニンニクはいれないというが、確かにニンニクが入ってない。白菜が甘くて生姜の香りが爽やかだ。やや蒸しが足らないか、皮に芯が残った感じがあるが、やはり水餃子用に作られた物だからだろうか。

という事は水餃子はもっと美味しいはず。


水餃子480円8個


確かに餃子自体は焼き餃子と同じっぽい形。1個60円なので焼き餃子より1個あたり10円高い。

全体に不均一な皮。食感が変わるのが面白くて嬉しい。

皮がツルツルすべって、箸で上手くつかめない。モチモチ度は焼き餃子よりも高く、ボリュームたっぷり。中国では餃子はおかずではなく主食だというが、これならたしかに主食になりうる。中国人から見ると日本の餃子定食ってのはお好み焼き定食みたいなもんなんだろうか。

皮も包むのも手作りだから、餃子に手のシワが刻まれていた。


こういう風に両手で握るとシワが出来るんだ、とKさん。

餃子の裏を見ると利き手がわかる

Kさん「餃子の裏を見ると、手のシワが刻まれてるでしょ。これを見ると、どういう風に作ったかわかるんだよ。利き手もわかるな」

餃子を包むときの手の形とか手のシワが作る餃子の形とか、そんな事今まで考えたこともなかった。どんだけ餃子好きやねん、と突っ込まずにはおられなかった。

Kさん「餃子の皮ってのは、厚さが不均一な方が美味しいと思うよ。刀削麺もそうだけど、不均一な小麦粉グルテン食は、食感に変化があって良いアクセントになるんだよ」

松「おー、確かに。この水餃子の皮は刀削麺に似てるね」

なるほど、手作りの皮ってそういう良さがあるのだ。


ツルツル水餃子に思わず顔がほころぶ筆者。

次のページに行く前に、餃子の王将について

Kさんは餃子の王将のファンであり、王将も幾度となく通っているのだという。

Kさん「王将で美味しいのは武蔵溝ノ口店だね」

松「なにが違うの?餃子自体は工場で作ってるんだよね」

Kさん「そう、餃子は同じなんだけど、焼き方が上手いんだと思うよ」

松「焼き方?」

Kさん「餃子ってのは焼きが命で、焼く前にどれだけ綺麗に鉄板を掃除したか、どれだけちゃんと蒸し焼きに出来たかで味が決まるんだよ。鉄板の手入れと水加減、焼き加減に失敗したら同じ餃子も味が全然変わるんだよ」

松「餃子も奥が深いんだねぇ」

Kさん「王将は値段と味を考えたら相当レベル高いよ。ただ、あそこの餃子はニンニクタップリで匂いが強いから人に会うときは食べられないな」


二軒のお店で四種類の餃子を食べたが、これで大体三分の一くらい。まだまだつづくので頑張って読んでね。でもって、今日の夜か明日のお昼は餃子で決まり!僕も明日食べるよ!

次は蒲田の有名店 >
 

 
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