さだまさしの歌に似たような歌詞があったような気がする。街には慣れたか? 友だち出来たか?
一通り症状を書き込んで受付に渡すと、すぐに放送で名前を呼ばれた。
「住正徳さん、一番の診察室へどうぞ」
住正徳と小さい住正徳で、一番の診察室へ入った。
若い男性ドクターが座っている。30代前半だろうか。肌がつやつやしている。ドクターの横には看護婦さんが1人、こちらを向いて立っている。椅子に座るよう看護婦さんから促された。ドクターはこちらの方を見ていない。ゆっくりと椅子に腰掛けるのを見届けてから、ようやくドクターが僕の顔を見て聞いた。
「どうされましたか?」
抑揚のない声だ。患者に羞恥心を感じさせない為に敢えてそうしているのか、それとも毎日肛門ばかりを見ているうちに自然とそうなったのか。多分、後者だろう。僕だったら自然とそうなると思う。
1週間ほど前から痛くて触るとイボがある、と告げるとドクターは黙って頷いてから「じゃあ、見せてください」とやはり抑揚のない声で言った。すると看護婦さんが僕の横に立ち、「お尻が全部見えるくらいまで、ズボンと下着をおろしてください」と指示を出してきた。バスタオルを広げて見えないようにしてくれている。脱ぎ終わると「脱いだらそこの絵のような姿勢でベッドに寝てください」と次の指示が。ベッドの上に胎児の姿勢でお尻を出して横たわっている男性の絵がある。 |