漫画「美味しんぼ」 で、登場人物一行がベトナムへ行く話があった。 そこで山岡と栗田がうまいうまいと食べまくっていたのが、ホビロンという「孵りかけのアヒルの卵」である。 それを見た富井副部長は悲鳴をあげて逃げ出してしまうというストーリーだったと思う。 美味しんぼは沢山の物語があるが、なぜかこの話だけは忘れられなくて困る。孵りかけのアヒルを山岡と栗田があまりにも美味しそうに食べているのが印象的すぎたのだ。
今回ベトナムに行くことが決まってから、ホビロンの事ばかり考えていた。
(ほそいあや)
夜着の便でホーチミンにやってきた。ちょうど帰宅ラッシュの時間にあたり、街はバイクで溢れかえっていた。
あからさまに混んでいる店を狙ったら、さすがにどれも安くておいしい料理ばかりでテンションがあがる。
そしてお客が高確率で注文している焼肉がとても気になった。
前菜(?)の焼肉を食べ終わり、いよいよメインディッシュの時間です。 店員さんにきくと、ホビロンがあるという。さっそく注文をした。
この葉っぱは?
「旅の指さし会話帳」によると、この葉っぱは「たで」の葉らしい。「たで食う虫も好きずき」のたでである。 なるほど、これがたでか。もっとまずそうなイメージがあったが思ったより野菜っぽい。
学校でこのことわざを習った時、一体どんな味がするのかと気になっていた。大人になり、孵りかけの卵と一緒に食べられるとは。意外と珍しい食べ物はまとまってやって来るのかもしれない。
そしてホビロンを食べる事に対してもぴたりとあてはまるようなことわざなのですごいと思った。
これが全貌です。足とくちばしは形状化している。全体的に毛が生えているのがわかる。 なかなかグロテスクではあるが、殻を剥いた瞬間に大量の湯気と一緒にホワ〜っと良い匂いがのぼる。するととたんに食欲が湧いてきた。
これで何も匂いがしなかったら食べる気がしないという人も多くなるかもしれないけれど、食べ物を認識するとき、人は視覚より嗅覚が優先されるみたいだ。すくなくとも自分はそうらしい。
おいしい
トリ肉と卵。この二つが好きな人には夢のような食べ物ですよ。ほんとうに良いとこドリですよ!思わずだじゃれがでる程に! 食感は歯ごたえもあり、ゆでたトリ肉とゆで卵の中間くらいの硬さ(例えが悪いが、消しゴムを噛んだかんじに近い)。
足の部分がサクっとしていて、トロっともしている。ここは肉の味だ。ちょっとだけ生レバーのような味がする。おいしいぞ!
すっかりはまってしまい、次の日も同じお店にホビロンを食べに来た。店員さんが「今日は何個?」みたいな事を言ったので、私たちがホビロンを気に入った事はばれていたようだ。
さて、ベトナムのホビロンはここまでです。次は昆虫を食べたいと思います。急展開で申し訳ありませんが、あと1ページほどおつきあいください。