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ロマンの木曜日
 
俺の決めポーズを考える

ポーズがある人は0.2秒で決めます。

あなたは「決めポーズ」を持ってますか?まぁ、何十人ものファンとサインして決めポーズで写真撮らなきゃいけないアイドルな人や、世界を守るために変身・巨大化するポーズを取らなきゃいけないヒーローな人はなかなかいないので、無い人の方が多いだろう。

「決めポーズ=写真を撮られる時のポーズ」くらいの意味にしても、これ!というのは普通はない。自分のポーズ作りたいなあ、本当の自分らしさ溢れるポーズを!ということでカメラマンとプロレスラーに話を聞き、自分の決めポーズを考えてみました。

大坪ケムタ



にじみ出てくる決め顔、決めポーズ

皆さんはカメラを向けられるとどんなポーズをとりますか?これ、なかなかオトナになっても決定打が出ない。子供の頃なら何も考えずにピースとかするけど、第二次性徴期を過ぎたあたりからポーズをとるのも恥ずかしくなってくる。ただ素で立つのも気恥ずかしいし、笑顔を作るのもどうも違和感がある。よってぼんやり立ちポーズ。そんな人も少なくないはず。

そして30過ぎるとまた恥じらいがなくなる人もいるが、それはまあ人それぞれ。


プロレス好きはカメラを向けられるとすぐ表情とポーズを作る。これ豆知識な。

まずはポーズをとらせる、もしくは決めポーズを見切るプロ、と言っていいであろうカメラマンに話を聞いてみよう。今回インタビューしたのはカメラマンの中ノ子美香さん。これまで椎名林檎さんのライブカメラマンなどを務め、彼女以外にこれまで撮影したアーティストはeastern youth、OCEANLANE、PE'Z、THE COLLECTORS、ギターウルフなどなど。

掲載用にお借りした2枚、なんか自然体なのに、いや「だから」?カッコイイですよねえ。決めポーズでなくてもキマッてる。やはりそれを切り取れるのがプロカメラマンの腕!ですな。

こちら中ノ子さん。これも決めポーズか?

ちなみに中ノ子さんのポーズは決めポーズではなくて「カメラマン撮るの緊張しますよー」「いやワタシも撮られ慣れてないから!」とかのあげくのポーズです。普段からコレじゃないから!

まずお聞きしたいのは、スタジオやインタビューでの撮影について。こちらの方がカメラマンからポーズを指定することは多そうだけど…。


−−アーティストを撮る時ってポーズって指定するもんなんですか?

「あんまりしないかもしれない。アッチからしてくる人はいるけどね、面白系な」

−−でもどっちかというと自然体ですかね。

「そうねー、なりがちかもしんない。ビジュアル系とかだとポーズとかもあると思うけど、そっちからは呼ばれないから(笑)」

−−どっちかというと肉体系バンド多いですもんね、中ノ子さん。

「ナゼかそうですね(笑)」

−−イメージとしては、最初からパンパン撮っていって慣れてきた頃にいい写真が…ってイメージがありますが。

「私の場合、長ければ長いほど最初に撮ったショットの方がよかったりする。慣れてきて緊張感なくなったりすると『もうダメだね、やめよう』ってなりがちかも。時間でいえば、3時間くらいが限度かなあ」

−−最初の方がいいって意外ですね。

「なんだろねー、『こういう雰囲気でああ撮ろうこう撮ろう』ってアーティストと話して緊張感ある時の方がいいのかも」

−−ちなみに、いろいろ撮ってみてカメラマンが一番いいと思った写真とアーティストが一番いいと思った写真にズレがあるって事はあります?

「あるある!知り合いのカメラマンで、毎回指名されるんだけど毎回自分の選んだのより他のを選ばれるから外してくれって言った人がいた(笑)」

−−選ばれてるのにフビンだ…。やっぱどちらも感性の世界の仕事ですからねえ。


そっかー、ポーズ指定したりするわけではないのだな。そもそもカメラマン自らスタジオ指定したり、服コーディネイトしたり…といった仕事は「もっと名前がないと!」だそうで、どちらかというと限られた時間と場所で頭フル回転して完成させる仕事が多いという。構成力もだけど、そのアイデアを出すスピードも大事なんですね。

では、ライブの撮影はどうだろう?ポーズの指定をつける事は当然出来ないが、その人の中から出てくる自然な「決めポーズ」が見えてくるのではないか。


−−やっぱりギターソロとかそういうのは自然と決めポーズになりますよね。

「そうねー。やっぱり彼らなりの『型』みたいなのがあるから、それを感じ取りながら撮ってるつもりではあるんだけど」

−−型かぁ。

「中には『今俺を撮って!』ってアピールしてくる人もいるけどね(笑)。両方いますね、見られるの意識してるのとしてないのと。あとはバンドのパワーバランスもあるなあ」

−−パワーバランス?

「ギターはボーカルより前に出るな、とか(笑)。ビジュアル系じゃなくても様式美みたいなのはあったりするんじゃないかな、バンドって」

−−音楽も格好良さの表現ですからねえ。バンドの美しさを考えると、個人の決めポーズは無くなっていくかもしんない。

「やっぱり撮ってて面白いのは演奏第一みたいなバンドかなー。何が起こるか?みたいな期待感があるしね。イースタンユースとか淡々としてるけどヨカッタなあ。3人とも撮ってて絵になるの!」

−−そういう「風格」が一番のポーズってことかなあ。


風格がポーズかぁ…。そんなん言われても!戸惑う37歳。とりあえず「俺の決めポーズを考えてください」とお願いしてみる。なんという無茶ぶり。

「う〜ん、大坪さん撮るならねえ…。普段は机向かって仕事してるんだよね?だからあえて屋上でビーチパラソルとか(笑)。それか見た目男くさいから、真逆にパリッとしてみるとかね」

ということで、風格こそが決めポーズ!ということで中ノ子さんのディレクションで新宿の街で一枚撮ってみました。

うわ、超恥ずかしい…。しかしまあ、自分の写真でなければ「おお、雰囲気あるなあ」って言ってるような。ちなみに見ての通り新宿の寄席の前で撮影したのだけど、「普段と真逆でパリッとしてみる」のテイストが入ったのかもしれない。

自然体な決めポーズになってるか…は世間の評に任せたいと思います。amazonのレビューとか。


急なお願いですいませんでしたー!コンパクトカメラだし。

でも、自然体というかにじみ出てくるものが決めポーズというのは何となくわかる気がする。今回はムリだったが、ギタリストのギターソロを撮るように自分がPCのキーボードを打つ姿とかはまた素晴らしい決め写真が…撮れるのかしら。いつか中ノ子さんに撮ってもらおう!

続いて、自らポーズつけまくるプロ!ということでプロレスラーに話を聞いてみました。


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