飛行機で日食は起きるのか
空に浮かんでいて動いているもの、それはずばり飛行機だろう。最初鳥も考えたが太陽に対して小さすぎるのと、神出鬼没すぎることから見送った。
飛行機が自分と太陽との間にちょうど入ったとき、それはもう日陰を越えて日食といえるのではないか。僕はこの現象に飛行機日食と名付けることにした。
さっそく飛行機日食を観測しに行こうと思う。
梅雨明けした関東、ものすごく天気の良い日に飛行場の近くで月の代わりになる飛行機を探した。
空港の近くに数分間隔で飛行機が頭上を飛んでいくスポットがある。このあたりにいると、たまにでかい影がものすごいスピードで移動していくことがあるのだ。
あれこそまさに飛行機が作る影の軌跡だろう。あの下に行くことができれば飛行機日食が体験できるはずなのだ。
飛行機日食は観測できるのか
飛行場が近くて高度が低いことも関係するのだと思うが、飛行機の影はくっきりとしていてものすごい速さで通り過ぎていく。この下に意図的に居合わせることはできるのか。
とりあえずさっき影が通った付近で待ってみることにした。
飛んでいる飛行機を間近で見るというのは何とも言えない感動がある。あの中に何百人もの人が乗って浮かんでいるのだ。しかもみんな沖縄行ったりした帰りだろう。あの中にはいい思い出が数百人分つまっているわけだ。そんな塊を地上から月の代わりにさせてもらう。
「ゴゴゴゴ…」
しばらくすると轟音と共に遠くの空から飛行機がやってくるのが見えた。巨大な影を地上に携えてすごいスピードで迫ってくる。
来るか、日食が。
来るのか。
いまものすごいおしかった(鼻血)。
写真では飛行機の羽が太陽を隠しているように写っているが、見ている分には重なってはいなかったように思う。その証拠に飛行機の影は僕の上を通らずにちょっと離れた場所を通過していった。
おしい、本当におしい。でもこの調子で少しずつ位置を微調整していけばいつか影に入れるような気もしてきた。
次は今影が通り過ぎた場所に移動して待ってみよう。ええっと僕の動機、伝わっていますか。