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ひらめきの月曜日
 
枝豆は本当にビールの友なのか

確認するにはアレがなくては

2ヶ月半かけていよいよ「ビアフレンド」とビールの友達具合を探れるようになりました。茹でた枝豆をテーブルに並べただけでグッと夏気分になります。食べ比べて味を確認・・・と、その前に。


こいつを用意しなくては。3度注ぎで泡を盛り上げます。

ビールを注いでこれで完璧に準備が整いました。早速食べ比べていきましょう。

 

「ビアフレンド」 どのぐらい友達なの? 

まずは当然「ビアフレンド」から。名前の通り本当にビールの友達なのか。2ヶ月半かかっての確認。期待が膨らみます。


この状態ではそれほど強い香りはしません。

2ヵ月半手間をかけた結果が今分ります。


見た感じは普通の枝豆です。そのままではそれほど強い香りはありません。


まずは枝豆を。おっ、旨い!

そしてグイッとビール!


食べてみて最初に感じたことは甘味が強い。今まで食べたことがある枝豆の中ではかなり甘みの強い方です。そして枝豆の香りを強く感じる。やはり採ってきたばかりの枝豆は香りが違います。自ら育てなければこれは味わえない。

そして、甘さを感じた後から豆独特の旨さがジワッと広がり始めてきます。しかし、後を引くような感じではなくサラッとなくなる。ビールの味を邪魔せず呼び込むようです。

これならビールの友達と呼んでもいいでしょう。確かにビールと一緒に食べると美味しい。相手を呼び込み邪魔はせず。爽やかイケメン系。けど、それを鼻にかけることなく相手を立てる。いい奴です。


お前、旨いなあ!友と呼ばせてくれ!


ビアフレンドはビールの友達であることが分りました。続いて「夏の装い」を食べてみましょう。

 

「夏の装い」「夏の調べ」も食べてみよう

まずは「夏の装い」から。「夏の装い」は黒豆なので種の段階では真っ黒です。鞘から出した豆はよく見る枝豆と同じく緑色をしています。枝豆は大豆が熟す前の未熟果なので、収穫せずに育てていれば種と同じになります。


種だけ見ると枝豆には見えません。

鞘から出すと緑色です。よく見る枝豆と同じ。


「夏の装い」は食べた直後は「ビアフレンド」と違って淡い感じの味がします。しかし、後半から旨味と甘味が強く広がります。採れたて、茹でたてだけに香りも強い。旨いです。

ビールを飲んだ後にもその味がぼんやり残るのがちょっと気になりますが、これはこれで美味しいです。「ビアフレンド」が爽やかイケメン系ならば、こちらは主張の強い優等生か?分りづらいですね。

続いて「夏の調べ」です。これは3種類の中で一番収穫が少なく、育ちもやや悪かった。


茶豆なので種の段階ではこんな色です。

鞘から出すと同じく緑色。やや中心が黒いか?


「夏の調べ」は香りはハッキリしているのですが味は淡い。「ビアフレンド」「夏の装い」に比べるとかなりサッパリした味です。ビールと合わせるとサラッとしていてやや味の主張が足りない気がします。しかし、十分豆の味はするのでなかなか旨いです。

存在感は薄いがやるときはやって予想外の力を発揮する。後ろの方の席に座っている音楽部の佐藤君のようです。ますます分りづらいですね。


ビールも既に2杯目。


時間をかけて栽培した枝豆はどれもとても美味しかったです。しかも採れたてなので香りもいい。みんないい奴。ビールの友達でした。

これだけでも結構満足してしまいましたが、買ってきた枝豆がまだあるのでそちらの味も比較します。よそから来た奴らはどんな味を見せてくれるのか。

 

予想外の展開

 まずは「味緑」からいってみます。


緑色が濃くて鞘も栽培したものより大きいです。

豆の粒も栽培したものより大きい。


やはり購入品は鞘が大きく形も揃っています。ついでに豆の粒も大きい。これと比べてしまうとプランタで育てた枝豆はかなり見劣りします。

しかし、自ら栽培したものは採れたての枝豆。見た目ぐらいの差があっても美味しさは負けないはず。実際既に食べた「ビアフレンド」も「夏の装い」も「夏の調べ」も美味しかった。

とにかく食べてみましょう。


種類を変えてビールも3杯目に突入。さて購入品の枝豆の味はと・・・

あれっ?


えーっと・・・

購入した「味緑」の方が「ビアフレンド」などより旨いです。

香りも味も濃い。最初は穏やかな甘味と爽やかな青い香りがして、後半からグワッと豆の旨さが来ます。甘味より旨味の方が強いけれどもバランスはよく、味に落ち着きがあります。豆の味がビールの味をしっかり受け止めています。凄くいい奴です。是非友達になりたい。

もう一つの購入品。「くろちゃん」も試してみます。


「くろちゃん」も緑色が鮮やか。

なにしろ豆の粒が大きい。


こちらは旨味よりも甘味が強いです。旨味が「味緑」よりも少なく感じるためか、全体的に軽やかな感じ。「くろちゃん」というより「クールブラック」と呼びたい。ビールの味を邪魔しない感じは「ビアフレンド」に似ているかもしれません。運動系部活の副部長とでもいいましょうか。もう全然分りませんね。

とにかく、購入品は豆がでかくて旨い。品種の問題か?とも思ったのですが、決定的に出来の違いでしょう。そりゃプロの育てた物と、栽培方法もよく分らない素人の育てた物では完成度が違うのは明らか。購入品2品も間違いなくビールの友達と言えます。


ビール4杯目。結局のところ美味しければみんな友達ですよ。

確かに友達でした。出会いについては調査中。

「ビアフレンド」は確かにビールの友達でした。しかし、それ以外の枝豆もビールの友達どいえる美味しさ。いや、むしろ自分で育てたものよりビールの友達だったかも。今回食べた枝豆の美味しさにあえて順位をつけるとこんな感じになります。

1. 味緑
2. ビアフレド
3. くろちゃん
4. 夏の装い
5. 夏の調べ

2位の「ビアフレンド」と3位の「くろちゃん」は大体同じレベル。自分で育てた思い入れの差でビアフレンドを2位としました。「味緑」はダントツに美味しかったです。このあたりは好みもありますので、気になった方は食べ比べてみてください。

ところで、サッポロビールの広報の方に聞いたところ、明治32年に日本で最初に出来た「エビスビヤホール」では枝豆ではなく、「塩豆(塩茹でしたえんどう豆)」が食べられていたそうです。その後、ライオンのビヤホールのメニューに枝豆が確実に出てくるのは戦後になってからなのだとか。戦前の資料は残っている物が少なく、いつらメニューに載ったか正確には分らないそうです。

枝豆とビールがいつから友達になったのか。その出会いについては今後も調査していきたいと思います。夏の宿題。

手前に写るのが塩豆。味は塩茹でしたグリーンピース。
現存する日本最古のビヤホール、ライオン銀座七丁目店にて。


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