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はっけんの水曜日
 
寝台列車の個室の狭さを堪能する


あの下の窓の部屋に乗るのだ、と勇んで撮ったはいいが大して特徴のない写真。

今年、前々から乗りたいと思っていた寝台列車に初めて乗ってみたら大ハマリ・・・以来、取材や旅行の折にどうやって旅程に組み込んでやろうか、虎視眈々とその乗車機会をうかがっている有り様だ。

とはいうものの、実績はサンライズ出雲に2回乗った程度。寝台列車が気になりだしたとたんに「はやぶさ」「富士」が廃止になってしまったもんで、こりゃ早く乗らないと!と気が気ではないのだが・・・。

そんな折、東北方面に出かける用事ができた。東北!じゃ、あれだ、「あけぼの」に乗れるじゃないか!

ついでに記事も書けるといいな。調べてみたところ、その個室がえらい狭さ、らしいのである。狭いところは大好きだ、任せろ。というわけで今回はその「狭さ」を堪能しつつ、本州を北上してみたいと思う。

乙幡 啓子



専門的な記述はいっさいありません

上野駅、13番線ホームに「あけぼの」が入ってきた。この寝台特急で、これから青森へと約12時間半の旅をするのだ

ところでこの調子だと、最後まで「寝台車って、いいよねいいよね」というような、寝台車好きのための記事になりかねず、それに列車に興味ない方に「13番線」なんて思いをこめて(こめてたのです)書いても、さてね、といったところだろう。


あけぼの、入線。彼らを入れて撮る私、の後ろにも私を入れて撮る人々がいるはず。

よって今回、「いかにあけぼののB個室ソロがオモシロ狭かったか」に絞ってレポートしてみたい。まだ寝台初心者なので、詳しい歴史やデータは他の方に譲りたい。

しかしまず概要は説明せねばなるまい。私の取った席は、今申したように「B個室ソロ」。あけぼのの個室はこの上に「A個室シングルデラックス」というグレードのものがあり、そちらはスペースも広く洗面台やらアメニティーグッズまで用意されている。

本当はそちらがよかった(グッズが欲しかったので)。しかしお金を浮かせるため(JRの「フリーきっぷ」だったので)、やむなくB個室に。グッズは手に入らないが、面白いことが待っている予感が大いにする。なぜなら・・・


なぜならこの環境だから。

ソロ寝台の集まる号車に乗り込んだとたん、自分が でかくなったような、小人の国に迷いこんだような錯覚におちいった。上の写真がその通路で、わかりづらいかもしれないが、ドアが明らかに低い。茶室のにじり口かというような低さ(ここ伏線)。

乗り込む他の乗客とすれ違うのにたいへん苦労しながら、やっと自室にたどり着くと、まるで夢に出てくるような体験だと思った。ドアが、低い上に幅もすごく狭い。でかいカバンは、やっとねじ込んだという感じ。何かの操縦室かってくらい、思い切った狭さ。


ビルケンシュトック4足分の幅。

ドアの高さはこれくらい、という証明写真。自分撮りしながらも、低さにおののいている。

室内これほぼベッド(たためば座席になる)。うなりを上げて襲い掛かってくる「狭さ」、ドドドドド。

部屋自体の幅がだいたい1メートル。ベッド幅は推して知るべし。狭さも最高潮、ウォー(ウェーブしながら)!

B個室ソロには1階席と2階席があって、今回は1階席に乗車する。事前に室内写真を調べたら、2階は憧れの屋根裏部屋みたいになっていた。まあ屋根裏のような狭さもいいが、1階なら上部にこのような面白構造がついてきてお得感がある。


2階席室内の階段部分が張り出していて興奮する。

今この部屋は全て私の支配下にある。 狭さがK点越え。

もちろん天井は直立できないほど低く、横幅は上の写真のとおりだし、まるでカプセルホテルだ。

狭いところがダメな方には、この部屋は絶対向いてない。でも私は昔から、廊下の隅っこに座布団でバリケード作って遊ぶのが好きな子供だったので苦にならない。かえってこの「こもり具合」が、ぬくぬくと気持ちよい。


もちろん足も届く(走行中やると気分悪くなる)。
狭いながらも最小限の設備あり(手を伸ばせばすぐそこ)。

圧巻はこの角!狭さのホットスポット(もちろん足側)。
はまってみたりする。 狭さの臨界点。

とかいろいろやってるうちに列車はいつの間にか出発していた。

車掌の個別訪問を終え、鍵をかければもうそこは自分の世界。家にいる感覚でぐだーっとしていても、なぜか仕舞いには目的地についてしまっている。そういうところが本当に好きで、今後も何度でも乗りたい。

まあ、広い個室はそれはそれで「こんな立派な部屋まるごと運んでくれてるのか!」という興奮はあるが、この狭ーい個室も「こんな穴蔵のような部屋まるごと運んでくれてるのか!」という別の興奮があるのだ、ということは感じてくださるだろうか。

とはいえ、写真ではなかなか実際のスケールを伝えづらいところである。もっとこの、ガンガン迫ってくる狭さをうまく伝えられないか、なおも北上しながらいろいろ考えよう。


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