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ちしきの金曜日
 
北九州の工場がすごい

セメント工場とプチ工場群に誘われて

深追いはさらにエスカレート。ぼくの脚はすでにぱんぱんだ。だが、先に見えるのは…嗚呼、素敵なセメント工場。


巨大なフレーム状の構造物に収められた太いパイプ。最上部でぐにゃりと魅力的に曲がったり、下の方で思い思いにくねる様や、錆びた色合いなど工場鑑賞初心者にも分かりやすいプラントの魅力が集約された逸品。

コンビネーションも工場鑑賞上欠かせない楽しみ。左の比較的複雑な構造物に対し右には鈍い銀色の大きなかたまりと日常ではまずお目にかかれない巨大なパイプ。そして2本の褐色のキュートな煙突。この複雑と単純の対比がたまらない。通常だといやがられる電線もここではかっこいいよね。

そうなのだ。ぼくはあまたある工場構造物の中でも、特にセメント工場がお気に入りなのだ。って言われても困ると思いますが。

巨大なフレーム状の構造物に収められた太いパイプ。ぐにゃりと魅力的に曲がるさまを鑑賞する喜びは何物にも代え難い。工場鑑賞やってて良かったなあ、と心から思う。



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場所はここ。ここから北東の方へずるずると歩いていってしまうことになる。

しかし、公道からこれほど間近に見られるというのはとてもうれしい。日本中の観光客がここに押し寄せてしかるべきと思うのだが、大型トラックが行き交うばかりでひとけがない。まったくどうかしている。

そして、少し離れたところにはプチ工場も。


色・大きさも様々だが、よく見れば形もみんな微妙に異なる。タンク本体はいたって単純だが、その周りにあるハシゴや柵の細かい造作は見ごたえ充分だ。

もう住宅街だ、と思って油断していたところに突然素敵なタンク群。またもや歩かされるはめに。嬉しい悲鳴である。

ともあれ、工場鑑賞の対象としては一見小規模で地味に見えるが、なかなかどうして工場鑑賞プロをも唸らせるみごとな造形である。「工場鑑賞プロ」の意味がよく分かりませんが。

 

前日の反省もどこへやら、またもや歩き出す

疲労困憊で翌日

以上が一日目の成果だ。ホテルへ戻ったときは疲れ果てて食事をしに出かける元気もなかった。泥のように、というか生コンクリートのように眠った。

そして翌朝、性懲りもなく別の工業地域で同じ目にあうのだ。自分でもバカではないかと思う。でもしょうがないよねえ、工場がこんなにも素敵なんだもの。


向かったのは日豊本線の苅田(かんだ)駅。いよいよ北九州工場鑑賞も佳境である。駅前からすぐの道路から見えるのが上のグレイトな風景。苅田っ子のおもてなしだ。東京の神田といえば江戸っ子のメッカだが、ここ苅田も心意気では引けをとらない。粋だねえ。

ひときわ目をひく背の高い煙突はおそらく発電所のもの。普通の市街地と異なり工業地域の道はスケールが大きく、方向音痴の人は迷いやすい。そんなときは発電所を目印に移動すると良い。これは豆知識だ。それにしても駅を出てすぐにこんなすてきな工場ビュー。立ち会い直後いきなり平手打ちを食らったかっこうだ。この先どんな工場四十八手がまちうけていることか。楽しみである。



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場所はここ。苅田と書いて「かんだ」と読む。わざわざこんなところに来る観光客は工場マニア以外あり得ない。

それにしても歩いた。前日の比ではない。しかし、その甲斐はあったのだ。

苅田の工場鑑賞のハイライト。まさにセメント工場のマスターピースである。ほんとに素晴らしい。持って帰りたい。

これだ。これのために歩いたのだ。報われない努力はない。工場懸賞においては。

サイロをはじめとする、マッシブな構造物と、四角いフレームにおさめられたやや複雑な機構。それらをつなぐパイプの魅力的な交錯具合。微妙な錆び具合とカラーリング。どこをとっても完璧なフォルムを見せる、まさにセメント工場のマスターピースである。ほんとに素晴らしい。持って帰りたい。 九州土産だ。

周辺にはざくざくと素晴らしい構造物が目白押しだ。


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